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«NPO法の「その他の事業」とは | Main | その他の事業の利益を全額繰り入れること»

2019年03月12日(Tue)

その他の事業が赤字の場合
内閣府のホームページあるNPO法のQ&Aを解説しています。

https://www.npo-homepage.go.jp/qa

今日は、22回目のQ&Aです。

1-3-4と1-3-5で、NPO法の「その他の事業」について取り上げられています。

この2つのQ&Aから、「その他の事業」について考えていきます。

今回は、1-3-5です。

青字はQ&Aの内容、黒字及び赤字は私の解説です。


1-3-5 法第5条第1項において「その他の事業を行う場合において、利益を生じたときは、これを特定非営利活動に係る事業のために使用しなければならない」とありますが、具体的にはどういう意味ですか。 【第5条1項】



A

この規定は、「その他の事業」が特定非営利活動に係る事業に支障がない限りで行うことができるものであり、特定非営利活動を主たる目的として行う法人である以上、利益は当然にして特定非営利活動を支えるために用いられることが確認されたものです。



<解説>

この内閣府のQ&Aは、納得できるものです。

「その他の事業」は、本来のNPOの目的とする事業ではないわけですから、そのことによって生じた利益は、本来の事業に使うべきものです。

しかし、「その他の事業」について、東京都が出している運用方針は、踏み込みすぎではないか、と思っています。

東京都の運用方針をもとに、「その他の事業」について、考えていきたいと思います。


下記の運用方針のP6〜7に書かれている内容です。

青字が運用方針です。

なお、「運用方針」は法律ではなく、所轄庁ごとに出している法律解釈の考え方のようなものです。

この「運用方針」を知ったうえで業務を行ったほうがいいと思いますが、このとおりでなければいけない、というものではありませんし、所轄庁によっても扱いが違います。


http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/houjin/npo_houjin/laws/files/0000001200/shin-guideline2904.pdf


(3)その他の事業の収支

ア 経営

<運用上の判断基準>

@ 認証基準

その他の事業において、設立当初の事業年度(又は定款変更の日の属する事業年度)
及び翌事業年度ともに赤字計上されていないこと。

A報告徴収等の対象となり得る監督基準

その他の事業において、2事業年度連続して赤字計上されている場合


<説明>
NPO法人は、特定非営利活動を行うことを「主たる目的」とした法人であり、その他の事業は、あくまでも特定非営利活動に係る事業に「支障がない限り」行うことが認められたものです。

したがって、「その他の事業」の実施に当たっては、特定非営利活動に係る事業の実施に必要な財産、資金、要員、施設等を圧迫してはならず、事業計画又は事業報告上、その他の事業が赤字計上されている場合は、「支障がない限り」行われることが意図されているとは認められません。



→「その他の事業」が赤字を意図して実施されるわけではないことは異論がないのですが、「赤字計上されてる場合には、支障がない限り行われることが意図されているとは認められません」というのは、ちょっと踏み込みすぎではないか、と思います。

私は税理士として、営利法人もいろいろと関わることがありますが、「必ず黒字になる」なんていう幸せな事業は、ほとんどありません

不動産賃貸業のように、入居者が経常的にいれば黒字になりやすい事業はありますが、それも、ずっと入居者がいなければ赤字になることもあります。

「その他の事業」の中には、昨日の、障がい者支援の団体が、障がい者関係の書籍以外に一般の書籍を出すといった、本来の目的の事業との相乗効果が高いので、実施するケースもあるかと思いますが、一般の書籍の売れ行きがちょっと悪かったら、「それはやめなければダメだ」というのも極端な運用ではないでしょうか。


新規の事業であれば、事業開始後しばらくは赤字が続くということもあり得ます。


本来の目的ではなく実施する事業で、赤字になるような事業は、好ましくないのはわかるとしても、それを「2事業年度連続して赤字計上されている場合」ということで判断するのは踏み込みすぎではないか、と思います。


「その他の事業が本来目的の事業に支障がなく行われているのか」ということの目安程度で運用するのであればいいと思いますが。


私は、10年以上前に、あるNPO法人の方から、「東京都から、その他の事業で赤字なので、このままでは取り消します、と通知が来ました。どうしたらいいでしょうか」と相談を受けたことがあります。

その法人は、会報に掲載する広告料を「その他の事業」としていたのですが、人件費等の経費を収入割合で按分していたために、その他の事業が赤字になっていました。

会報の掲載は、毎年同じ団体が掲載されており、広告掲載にほとんど人件費がかかっていないことは明らかでしたので、人件費を大幅に減らして、その他の事業の経費がほとんど出ず、その他の事業で黒字になる決算書を作成して、東京都に説明に行ってもらったら、取り消しは回避されました。


「その他の事業」が本当に赤字の場合もあるかもしれませんが、経費のつけ方がおかしくて赤字になるケースもあるのではないか、と思いますので、注意をしていただければと思います。

長くなったので、もう一つの「その他の事業」の運用方針は、明日掲載することにします。



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