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2019年02月02日(Sat)

返礼品のある寄付金D(まとめ)
これまで4回にわたって返礼品のある寄付についての取り扱いを述べてきました。

最後にまとめとして、会計、認定NPO、ふるさと納税、税制の4つのカテゴリーごとに、返礼品のある寄付についてまとめ、私の意見も述べたいと思います。


1. 会計の取り扱い

NPO法人会計基準

<基本の考え方>

寄付者にそのNPO法人の活動を支援したいという気持ちがあり、それに対してNPO法人が感謝の気持ちを形にして示すことは、寄付者とNPO法人とのコミュニケーションを広げ、NPO法人の支援者を増やしていくことにつながりますので、返礼品があることをもって、直ちに「直接の反対給付がある」ということにはならない。

<寄付金とならないもの>

返礼品の金銭類似性や換金可能性が高い場合や、一般的な使用価値が高い場合は、NPO法人の活動との関連性や、寄付額と返礼品の価格の割合などを含めて、NPO法人が行う寄付活動が、返礼品の提供による資金の獲得を意図している活動と推定される場合があります。こうした場合には、寄付金として処理することはできず、物品販売の対価(事業収益)として処理することになる。

<具体的な指針>

以下のことを総合して考える

@  返礼品の金銭類似性や換金可能性が高い場合や、一般的な使用価値が高いかどうか

A  返礼品がNPO法人の活動とは関連性がほとんどないものであるかどうか

B  寄付額に対する返礼品の調達価格の割合(返礼割合)が高いかどうか

<その他>

NPO法人会計基準以外の会計基準には返礼品のある寄付についての取り扱いは記載されていません。


2. 認定NPO法人制度の取り扱い

<基本の考え方>

返礼品をお返しすることは可能。

例えば、寄附者に対してお礼状や無料の会報誌などを送付する場合やNPO法人が運営する施設等の作業の一環として作った「手芸品」などを寄附者にお返しする場合、NPO法人が主催する「活動報告会」を寄附者に案内する程度であれば寄附金として認められる。

<寄付金とならないもの>

PSTが広く市民からの支援を受けているかどうかの判断基準であることを踏まえれば、対価性のある返礼品をお返しした寄附金は、PSTの算入の基礎となる寄附金に該当しない。

<具体的な取り扱い>

書籍等を発行して、書店で販売しているようなものを寄附金のお礼としてお返しするような場合は、PSTの算入の基礎となる寄附金に該当しない場合がある。

<その他>

公益法人、社会福祉法人などにおいては、寄付金の有無が認定又は許可の有無に関係しないので、返礼品のある寄付金についての解釈はない。


3. ふるさと納税(税法上は地方公共団体に対する寄付)

<基本的な考え方>

寄附が経済的利益の無償の供与として行われており、返礼品(特産品)の送付がある場合でも、それが寄附の対価としてではなく別途の行為として行われているという事実関係であることが前提となっている。

<寄付金とならないもの>

当該寄附金が経済的利益の無償の供与であることを踏まえ、寄附の募集に際し、返礼品(特 産品)の送付が対価の提供との誤解を招きかねないような表示により寄附の募集をする行為を行わないようにすること。(平成31年度の税制改正で、ふるさと納税の対象とならいない=寄付金とはならないものを規定する予定)


<具体的な指針>

次に掲げるようなふるさと納税の趣旨に反するような返礼品(特産品)を送付する行為を行わないようにすること。
・ 換金性の高いプリペイドカード等

高額又は寄附額に対し返礼割合の高い返礼品(特産品)

・地域資源を活用し、地域の活性化を図ることがふるさと納税の重要な役割でもあることを踏まえれば、返礼品を送付する場合であっても、地方団体の区域内で生産されたものや提供されるサービスとすることが適切である

<その他>

税法上にふるさと納税における返礼品の特例があるわけではない。

あくまでも解釈の問題。


4. ふるさと納税以外の税法上の取り扱い

・返礼品のある寄付について直接触れられた法令、通達、国税庁の質疑応答等はない。

・香典と香典返しの取り扱いや、会費の対価性の有無についての取り扱いをみれば、以下のような整理になると考えられる。

<基本的な考え方>

寄付と返礼品は、別途の行為であるということが前提

<寄付金とならないもの>

名称が寄付金だとしても、取引の相手先から収入する料金等と経済的に同じ性質といえるものは寄付金とはならない。

<具体的な取り扱い>

対価性があるかどうか、判定が困難な場合には、もらう側、払う側がいずれも対価でないと認識していれば、対価性なしと考える。


5. まとめ

返礼品のある寄付金について、認定NPO法人制度における、「対価性のある返礼品をお返しした寄附金は、PSTの算入の基礎となる寄附金に該当しない」という考え方は、会計とも税制とも取り扱いが異なると考えられます。

しかし、税制優遇団体の認定をしていく上での判断基準になっているということは、実務には大きな影響を与え、実際にこの指針で会計処理もしている団体は多いと思われます。

寄付文化の醸成のためには、寄付者が寄付をしてよかった、という思いを持ってもらうことが重要であり、そのためにも、NPOと寄付者のコミュニケーションは欠かせません。

その過程で、多少の金銭的な価値のある物をお返しするということは、当然あってもいいことと思われます。

それを否定するような取り扱いがされるのは、NPOの活動を狭めてしまうのではないか、と考えます。

一方で、今のふるさと納税のような、返礼品のために寄付をするというのは本末転倒な話で、寄付の概念からも外れます。

NPOも、「ふるさと納税がいいのだから、NPOもいいのだ」という考え方では世の中には受け入れられないように思います。

一定の規律を持ったうえで、様々な工夫の中で、「感謝の気持ちを表す一つの手段として、返礼品(多少の経済的な価値があるものを含む)を送る」ということが寄付の選択肢としてもっと広まっていければ、寄付者にとってもNPOにとっても幸せになっていくのではないか、と思います。



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