2019年01月21日(Mon)
役員に対して業務委託費を支払うことは可能か?
Q:当法人の理事のなかに医師がいます。
その理事が、当法人の利用者のために、毎月巡回してカウンセリングをお願いしています。 その場合に、理事に支払う報酬は、役員報酬とはせずに、業務委託費として支払うことは問題ありませんか? A:理事に専門性があり委託することに合理性があると考えられる場合には、業務委託と考えられます。 その場合には、理事への委託費の支払いは、法人と役員の利益相反取引になりますので、理事会の決議を得る際は、当事者が加わることができません。 また、財務諸表の注記において、「役員及びその近親者との取引」の記載が必要です。 |
<解説> 非営利法人が、通常は無報酬の役員に、なにか専門的な業務を委託することがあります。 その人の専門性や時間的な拘束も鑑みると、無報酬というわけにもいかず、対価を支払うが、かといって、役員報酬というのにはなじまないケースもあるかと思います。 その際に、このような役員に対する報酬を「業務委託費」としていいのか、という疑問を持つことがあるかと思います。 この件について、NPO法人会計基準の質問掲示板に質問が出ており、NPO法人会計基準の回答委員から回答されていますので、その回答をまとめます。 @ 理事と法人は委任関係にある。 A 委任された業務とは、(1)目的事業の実施、(2)事業を実施するための管理業務、であり、その範囲の業務の対価は役員報酬になる。 B 理事への業務委託があるとすれば、理事に専門性があり、委託することに合理性があると考えられる場合 C 委託業務の範囲は、法人の事業に直接かかわるものではないと推察されるもの D 業務委託費として支払う場合でも、法人と役員の利益相反取引になるので、理事会の決議を得る際は、当事者が加わることができない E 一定の要件に該当すれば、財務諸表への注記が必要 下記の質問掲示板に、詳しいことが出ていますので、参考にしてください。 http://www.npokaikeikijun.jp/phpbb/viewtopic.php?f=4&t=1197 |