2019年01月15日(Tue)
助成先に対する会計報告
Q:非営利型の一般社団法人ですが、助成金を受けている関係で、助成先から会計の報告を求められています。
総会に提出する会計報告と助成先に提出する会計報告は別々に作成する必要がありますか? A:NPO法人会計基準では、財務諸表の注記で、「事業別損益の状況」の記載をすることができます。 助成先に報告する事業を1つの事業とすることで、助成先に提出する会計報告を総会に提出する法人全体の会計報告の一部とすることができます。 |
<解説> 助成団体から助成金の支給を受けている場合には、法人全体の会計報告とは別に、助成された事業に相当する部分の提出を求められます。 この場合に、どのようにするのか、NPO法人会計基準のQ&A6-1で取り上げています。 http://www.npokaikeikijun.jp/guideline/qa/q6-1/ このQ&Aは、助成先への助成金の報告が必要な他の法人にも有用だと思いますので、ご紹介しながら、解説を付け加えます(青字はQ&A本文)。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 6-1 助成事業や委託事業を行っている場合、その部分だけ区分して財務諸表を作成することが要求されることがあります。この会計基準との関係はどうなりますか? A このNPO法人会計基準は、NPO法に規定する財務諸表等の作成を念頭においています。 そのため助成金事業や委託事業の会計も含め、NPO法人全体の経理状況について報告することとなります。 →助成事業の会計も含めて法人全体の報告をすることは、NPO法人だけでなく、一般社団法人、一般財団法人、任意団体など他の団体であっても同様です。 一方、助成事業や委託事業の会計報告においては、一般に対象事業部分についてのみの報告を求められます。多くの場合、報告の科目や様式について指定があり、それにしたがって会計報告をします。 会計報告においては資金使途の制約要件を守ったかということが資金提供側の関心事項です。 →助成先に報告をする場合には、どのような会計報告が必要なのか、マニュアル等で詳細が定められていることがあります。 それを熟知する必要がありますので、マニュアル等を熟読する必要があります。 両者は目的が異なるため様式や対象期間が異なることがありますが、「単一性の原則(NPO法人会計基準第6項)」により両者に矛盾がないことが求められます。 つまり、次の二つの点が必要です。 1 対象期間が違っても、基礎となる帳簿は同じものを使うこと 2 帳簿から求められる様式にあわせた報告書の数字までの合理的な説明が可能なこと 法人の正式な帳簿としては、あくまでNPO法のものが唯一無二のものとなります。 助成金等の報告のために、一から帳簿を作り直す必要はありません。助成財団等への報告については、正式の帳簿からそのまま使えるものはそのまま使い、対象期間や勘定科目などについて加工が必要な場合は、正式の帳簿からどのような加工をしたのかの経緯を説明できる資料を作れば問題ありません。 →例えば、会計期間は10月~9月、助成金の報告期間は4月~3月であった場合に、当然、総会に提出する決算書と助成先への会計報告書は別のものになります。 その場合でも、基礎となる帳簿、つまり、現金出納帳、預金出納帳、総勘定元帳は同じものを使わなければいけません。 助成金の報告は、総会に提出する会計報告から、10月~3月と4月~9月の、事業別損益の助成事業に該当する部分を抜き出して報告する方法が考えられます。 また、助成先から求められる様式や勘定科目の指定などあり、総会に提出する会計報告と同じ様式にならないケースも考えられます。 その場合には、助成団体に提出する会計報告書が、総会に提出する会計報告書のどの部分に当たるのかを明確にしておく必要があります。 総会に提出した書類をそのまま提出すれば、助成先が受け取ってくれるようなら、法人の負担も少なく、法人全体の会計報告と助成事業の関係が明確になり、助成団体にとってもメリットがあるのではないかと思います。 助成団体ごとに会計報告のやり方が違うのは、ものすごく非効率的であり、法人の負担も増え、全体の決算書との関係もわかりにくくなります。 非営利法人の会計報告の統一化が求められる一つの理由になるのではないかと思います。 |