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2018年09月24日(Mon)

任意団体の会計(2)
任意団体の会計に、NPO法人会計基準を広めたいという思いで、記事を書いています。

ここでは、任意団体を、複数の人が集まって何らかの目的のために作る団体と考え、公益的な目的だけでなく、PTAや同窓会、クラブ活動や単発のイベントなども想定しています。

そのような団体に共通する、会計の目的は何なのか?共通する会計の目的を達成するために最低でも満たさなければならない基本的なことは何なのか、というのが今回のテーマです。



会計の目的は様々です。助成金をもらっていれば、助成団体に、適正にお金が使われたことを報告しなければいけません。公益法人や社会福祉法人など税制上の優遇を受けている法人であれば、それぞれを所轄する行政機関に、会計の報告をする必要があります。

任意団体にも様々な会計の目的があると思いますが、どんな団体であっても、共通する会計の目的が1つあります。

それは、「受託責任の明確化」です。

「受託責任の明確化」とは、言葉は難しいですが、簡単に言うと、「お金を預かった人が、お金を預けた人に、適正に使われたことを説明し、納得してもらう」ということです。

自分で稼いだお金を自分で使う場合に、通常、会計報告はしません。

もちろん、家計簿をつけて、どんなことに使われたのかを管理することはあるでしょうが、家計簿を会計報告という人はいないと思います。

自分で稼いだお金を自分で使う場合には、誰かにお金が適正に使われたのかを説明したり納得してもらう必要はないからです。

しかし、複数の人が集まって何らかの目的のために一緒に活動し、その活動のためにお金が流れるとする場合には、そのお金を扱った人が、ほかの人に、適切にお金を取り扱ったことを説明し、納得してもらう必要があります。


だから、どんな小さい団体であっても、お金の流れがある団体であれば、会計報告を行います。

任意団体でも、多くの場合、監事に相当する人がいますが、これは、会計報告を作る人とは別の人がその会計報告をチェックすることで、よりその会計報告への信頼が増すからです。

じゃあ、次に考えることは、「誰に対して、受託責任を明確化するのか」ということです。

ここがはっきりしないと、会計報告をする意味がわからなくなるし、どこまで細かいことを報告するのかも、この「誰に対して、責任を明確化するのか」によって違ってきます。

私がたまに見るのが、小さな団体で、お金の規模もそれほど大きくないのに、ものすごく細かい会計報告をするケースで、「本当にここまで必要なのか、ボランティアでやっている会計担当者がちょっと気の毒すぎるのではないか」と思ってしまうことがあります。

本当に会計報告を受ける人が、そこまでの細かい報告を求めているのか、会計担当者が大変な思いをしてまでそこまでやる必要があるのか、ということについて、会計報告をする人、会計報告を受ける人で合意したうえで、どのような会計報告をしていくのかを考えていく必要があるのではないか、と思います。


細かい会計報告をしているのに、基本的な資料がそろっていないという本末転倒なケースもあります。

そこで、まずは、受託責任の明確化のためには、最低でもこれだけは必要、ということを以下に4つ挙げていきます。

これは、私見ですので、ほかにもあるかもしれません。

この4つの基本を抑えたうえで、団体によって、もっと細かい会計報告が必要であれば、それを付け加えていく、という形がいいのではないかと思います。


1. 収入(又は収益)、支出(又は費用)がある程度細かく表示されていること

「収入が300万円で支出が290万円で10万円が残りました」というのでは、報告としては不十分でしょう。

お祭りの出店くらいでしたらこれでもいいかもしれませんが、ある程度の期間(通常1年間)継続してお金の出し入れがあるような団体の会計報告であれば、「どんな収入があり、どんな支出があって、その結果どれくらい残ったのか(足りなかったのか)」ということを報告するのは、お金を預かった人の最低限の義務でしょう。

じゃあ、収入、支出は、どのように分けていけばいいのか。

それぞれの団体が独自に決める、というのもいいかもしれませんが、NPO法人会計基準には基本的なルールがありますので、後日にそれを説明することにします。


2. 今期の収支(損益)の差額に前期からの繰越額を足した金額が、実際にある預貯金やその他の資産・負債と整合性が取れていること


任意団体の中には、貸借対照表に相当する会計報告書がないところが非常に多くあります。

資産、負債が現預金だけなら貸借対照表は不要ということかもしれませんが、もしそうであったとしても、その場合には、現預金が期末段階でいくらあるのか、ということを明示したうえで、その現預金の金額が、今期の収支の差額に前期以前の繰越額を足した金額と合っていることを明示する必要があります。

もし、実際の現預金などの資産、負債と、今期の収支差額の間の整合性がどう取れているのかを正確に説明できなければ、数字に根拠がない、ということになってしまいます。

私の経験では、このことに無頓着な団体が非常に多くあります。

いくら決算報告を細かく書いたとしても、数字の整合性が取れていなかったら、意味はありません。

そして、その整合性をとれていることをきちんと示すためには、任意団体であっても、貸借対照表は作成し、収支(損益)を示す会計報告と整合性が取れていることを明確にすることをお勧めします。

フローの計算書である収支計算書(あるいは活動計算書)と、ストックの計算書である貸借対照表がある、というのが会計報告の基本的な形ですので、任意団体といえども、この2つの決算書は揃えるべきではないか、と思います。

3. 勘定科目の明細を記録した総勘定元帳に相当するものがあること

これも私の経験からよく見るのが、会計報告の勘定科目は非常に細かく表示されているのに、その勘定科目の明細を示す帳簿がない、というケースです。

勘定科目の明細を示す帳簿を通常「総勘定元帳」といいます。

この「総勘定元帳が」がなく、現金出納帳や預金出納帳からいきなり決算書が作られているケースを非常によく見かけます。


現金出納帳や預金出納帳が、多桁式といって、エクセルで横に科目ごとに展開している形で作られていればいいのですが、それもなく、決算書の数字がどの出納帳の数字から引っ張られてきたのかがわからないと、監査はものすごく手間がかかり、お手上げです。

私が任意団体にも会計ソフトの使用を進めるのは、会計ソフトを使うと、この総勘定元帳が簡単にできるからです。


4. 一つ一つの取引について、証憑書類が揃っていること


いくら決算書の数字が立派でも、その数字を証明する書類がなければ、これも数字に根拠がないことになってしまいます。

決算書の数字の明細が明らかであり(これが3で述べた総勘定元帳)、その明細ごとに証拠になる書類が揃っていることが重要です。

入金伝票や出金伝票は、原則として証拠書類にはなりません。

場合によっては領収書を受け取れないケースなどもありますが、そのような場合に、代わりの書類としてどのような書類を作成していけばいいのか、考えなくてはいけません。



1〜4ができていることが受託責任を明確にするために最低限必要なことで、その先のことは、この4つができて余裕があったら考えていくべきことです。

例えば、プロジェクトごとに細かい明細があったり、予算と決算を比較したり、前期との比較をしたり、というのはそれ自体は有効だと思うのですが、例えば、収支計算書と預貯金の整合性が確認できなかったり、総勘定元帳に相当するものがなく、科目の明細が確認できなかったりするのに、細かい分析資料などがあったりすると、「順番が違うでしょ」と言いたくなってくることがあります。


次回は、この4つのルールを守った会計書類を作成するにはどうしたらいいのか、ということを、NPO法人会計基準をもとにしてもう少し詳しく説明したいと思います。


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