• もっと見る

«シンポジウムの参加料や展示料、広告協賛金等の収益事業の判定 | Main | NPO法人、一般社団法人等の均等割りの申告及び免除申請»

2017年01月12日(Thu)

割引特典のある会費等の消費税における取扱い

知識などを体系化して、人に伝える、普及啓発型の一般社団法人やNPO法人などの課税上の問題点を連載しています。


1回目は、研修会や講習会の受講料、2回目はシンポジウムの参加費や協賛金、ブースの出店料等の法人税法上の取り扱いでしたが、今回は、割引特典のある会費の取扱いについて見ていきたいと思います。




1. 問題の所在

一般社団法人、一般財団法人、NPO法人が受け取る正会員(議決権のある会員)の会費は、その団体を支えるものですので、収益事業樽事業ではなく、法人税の収益事業にもなりませんし、消費税の課税対象にもなりません。

一方で、これらの法人が受ける会費の中には、賛助会員、特別会員などの名称で、施設を割引で利用できたり、研修を割引で受講できるなどの特典がついているものが多くあります。


このような会費は、その法人が提供するサービスと、会費との間に明確な関係があるのか、微妙です。

このような会費が、消費税の課税対象になるのか、そのサービスの内容が収益事業の34事業に該当する場合に、法人税の対象になるのか、ということが問題になります。


2. 対価性についての取扱い


このような会費について、消費税基本通達5-5-3に以下のような規定があります。

5−5−3 同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。

(注)
1 同業者団体、組合等がその団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用をその構成員に分担させ、その団体の存立を図るというようないわゆる通常会費については、資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱って差し支えない。

2 名目が会費等とされている場合であっても、それが実質的に出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員研修の受講料又は施設の利用料等と認められるときは、その会費等は、資産の譲渡等の対価に該当する。

3 資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難な会費、組合費等について、この通達を適用して資産の譲渡等の対価に該当しないものとする場合には、同業者団体、組合等は、その旨をその構成員に通知するものとする。



つまり、明確な対応関係があるかどうかについて判断が難しい会費については、法人側で継続して対価性がないものとしており、それを支払う側にも伝えている場合には、消費税の課税対象外と考えていいこととしています。

ただし、名目が会費等とされている場合であっても、それが実質的に施設の利用料や研修の参加費と認められるときは、その会費等は、消費税の対象になります。


3. 私の経験


私も何年も前に、関与先で、対価性が微妙な会費について、消費税の対象になるのか、税務署とかなり揉め、意見書などを税務署に提出したことがあります。

最終的には、その関与先が、その会費を「特別会費」として位置づけ、パンフレット等でも、「この特別会費は団体を支えるためのものです」とはっきりと明示していたこと、会費と提供するサービスとの間に明確な対価関係がなかったことなどから、課税されませんでした。

先日、関与したお客様では、「会員募集」のパンフレットがあり、「会の趣旨に賛同し、○○を購読される会員を募集しています」としており、一般会員と特別会員、法人会員の制度を作っており、このパンフレットを税務署に持っていき、消費税の対象外として認められました。

このような割引特典等がある会費については、その会費が、会の趣旨に賛同して支払われるものであること、その団体を支えるために支払われるものであることなど、会費の趣旨を明確にしたうえで、消費税の対象外であることを記載したパンフレットやWEBページなどがあるといいのではないか、と思います。


ブログパーツ


トラックバック
ご利用前に必ずご利用規約(別ウィンドウで開きます)をお読みください。
CanpanBlogにトラックバックした時点で本規約を承諾したものとみなします。
この記事へのトラックバックURL
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
トラックバックの受付は終了しました

コメントする
コメント