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2012年07月03日(Tue)

活動計算書の作り方(NPO用会計ソフトを使った場合)
今年の4月1日からNPO法が改正され、活動計算書がNPO法人が提出する会計書類となりました


従来の収支計算書から活動計算書に変わると実務上どのように変わるのか、多くの方が悩まれていると思います


NPO会計道では、3回にわたって、どのような変更が必要なのかを、「営利企業用の会計ソフトを使っている場合」「NPO法人用の会計ソフト(ソリマチ 会計王)を使っている場合」「エクセルで会計処理をしている場合」の3つに分けて触れています


3回目は、「NPO法人用の会計ソフト(ソリマチ 会計王)を使っている場合」です


会計ソフトはいろいろなメーカーから発売されていますが、家電量販店で手に入れることができるNPO法人用の会計ソフトで、NPO法人会計基準に対応しているものは今のところソリマチの会計王だけですので、この会計王を中心にして、NPO法人用の会計ソフトを使っている場合に活動計算書にどのように移行していくのかを見ることにします


なお、家電量販店で手に入れることができるNPO法人用の会計ソフトとして従来はPCA会計がありましたが、PCAはNPO法人用のソフトは今後販売しない予定になっています

1. 営利企業用の会計ソフトとNPO法人用会計ソフトの違い


 まず最初に、営利企業用の会計ソフトとNPO法人用の会計ソフトを使っている場合に活動計算書を作成するうえでどのような違いがあるのかを確認したいと思います


@ 営利企業用の会計ソフトだと、ソフトから出力された決算書をそのまま所轄庁に提出することはできず、改めて、エクセル等で決算書を作り直さないといけない


しかし、NPO法人用の会計ソフトを使っている場合に、ソフトから出力された決算書をそのまま所轄庁に提出できる(ただし、会計王のNPO法人会計基準対応版については、24年7月現在は決算書まで、会計基準に対応した形での出力はできない)


A 営利企業用の会計ソフトでは、勘定科目の設定は企業用のソフトを前提にしているので、独自に科目を設定していかないとできない

NPO法人会計基準対応版の会計王では、会計基準の別表にでている勘定科目が初期設定されているので、勘定科目の追加訂正が簡単にできる


B 複数の事業を行っている場合に、営利企業用のソフトでは、部門を設定することで部門別の損益計算書を作成することはできるが、それを会計基準の「財務諸表の注記」に反映させるためには、打ち直さなければならない


会計基準対応版の会計王では、複数の事業を行っている場合に、部門を設定することで事業別の事業費の内訳を「財務諸表の注記」に作成することが自動的にできる

2. 会計基準導入による影響


次に、NPO法人会計基準を導入することにより、今までとどのようなことが変わってくるのか、主なものを挙げたいと思います


これは、前々回の、「営利企業用の会計ソフトを使って活動計算書を作成する場合」のところで述べたものと同じものです


@ 資金の収支を記載した収支計算書から、損益計算書型の活動計算書になる


A 勘定科目が、事業費についても形態別の分類(給料手当、旅費交通費など)が基本となる


B 事業の種類別の表示は、活動計算書には表示せず、財務諸表の注記で記載することになる 


このうち、@については、会計王はそもそも営利企業用のソフトをアレンジしてできたものですので、今までのような「一取引二仕訳」が必要なくなり、やりやすくなるのではないかと思います

AとBについて、どのような影響が出てくるのかを見たいと思います


3. 事業費の勘定科目の設定


 複数の事業を行っている場合に、会計王を使っている方は、従来、事業費の勘定科目の設定については、勘定科目に事業名をつけて、その勘定科目の補助科目に「給料手当」「旅費交通費」など設定していた法人が多かったのではないかと思います。

 NPO法人会計基準では、事業費も形態別の分類ですので、会計王のNPO法人会計基準対応版では、事業費について、従来のようなやり方ではなく、勘定科目名として、形態別の分類(給料手当、旅費交通費等)が付されています
 

 勘定科目名に事業の名前を付けて、補助科目で形態別の科目を設定するという方法は、なくなります

 
 そのため、会計王では、NPO法人会計基準対応版を使う場合には、従来の科目体系は引き継ぐことができず、新たに勘定科目を付けることになります

 
 従って、期の途中まで、従来の会計王で入力し、途中からデータを会計基準対応版にコンバートして使うということはできませんので、注意が必要です。

 
 そのために、ソリマチでは、24年6月初旬に、「NPO新会計基準伝票入力ツール」がでました


 決算書の出力まではできませんが、NPO法人会計基準に対応した入力ができ、決算書までできるバージョンができた段階(年末ごろを想定)で、データをコンバートできるものです


 会計王の対応について詳しいことは下記を参照ください

 
 ソリマチ24年6月4日 ニュースリリース


4. 事業の種類別の表示


事業の種類別の表示は、会計王の場合には、部門を使って設定することになります。これは、営利企業用のソフトと同じことです


そして、事業の種類を部門別に行うと、共通事業などに計上されている金額を、配賦の割合を入れると自動的に配布してくれたり、事業別の事業費の内訳が財務諸表の注記に反映されたりすることができます


5. まとめ

 会計王で活動計算書を作成する場合について、まとめると


@ 勘定科目は、事業費も支出の形態別(給料手当、旅費交通費等)に設定する


A 事業名は部門を使って設定すると、事業費の明細まで財務諸表の注記で出力できる


B 従来の会計王とは、科目の体系が違うため、従来の会計王を使っていた人は、会計基準対応版を入れたうえで、勘定科目を新たに設定する必要がある(従来からのデータは引き継がない)


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