2012年06月21日(Thu)
活動計算書の作り方(営利企業用ソフトを使っている場合)
今年の4月1日からNPO法が改正され、活動計算書がNPO法人が提出する会計書類となりました
従来の収支計算書から活動計算書に変わると実務上どのように変わるのか、多くの方が悩まれていると思います NPO会計道では、3回にわたって、どのような変更が必要なのかを、「営利企業用の会計ソフトを使っている場合」「NPO法人用の会計ソフト(ソリマチ 会計王)を使っている場合」「エクセルで会計処理をしている場合」の3つに分けて触れていきたいと思います まず、初回は、「営利企業用の会計ソフトを使っている場合」です。 具体的には、弥生会計や勘定奉行など、営利企業用の会計ソフトで日々は会計処理をしており、それを決算の時に所轄庁の様式などに合わせてエクセルなどで作成しているような場合です このようなパターンで今後も活動計算書を作成しようとする場合に、どのようなことが必要になるのかを述べたいと思います |
1. 会計基準の導入による変更点 NPO法人が作成する計算書類が活動計算書になり、NPO法人会計基準が推奨する会計基準となりました。NPO法人会計基準を導入することにより、今までとどのようなことが変わってくるのか、主なものを3つ挙げたいと思います @ 資金の収支を記載した収支計算書から、損益計算書型の活動計算書になる A 勘定科目が、事業費についても形態別の分類(給料手当、旅費交通費など)が基本となる B 事業の種類別の表示は、活動計算書には表示せず、財務諸表の注記で記載することになる 他にもいろいろとありますが、会計ソフトを使う上で一番影響を受けるということで、この3点を挙げたいと思います @ については、営利企業用の会計ソフトを使う場合には、営利企業の会計ソフトは損益計算書をベースにして出来ていますので、あまり問題にならないのではないかと思います ここでは、AとBを中心に述べていきます A とBはいずれも会計ソフトの初期設定に関わってくるので、ここをちゃんと設定していないと、難しくなって来ます 2. 勘定科目の設定 勘定科目の設定で、従来は、事業費は事業別(○○普及事業、○○政策提言事業など)の分類をして、管理費は、形態別(給料手当、旅費交通費)などの分類をしていたところが多いのではないかと思います 営利企業用のソフトを使っている場合には、売上原価のところを事業費の事業名で使い、販売費及び一般管理費のところを管理費の科目で使っていたところも多いのではないかと思います NPO法人会計基準では、事業費も支出の形態別の分類で、しかも、人件費とその他経費に分けて表示しなければいけません 営利企業の会計ソフトで対応すると、以下の2つの方法が考えられるのではないかと思います @ 売上原価のところに事業費の科目を、「人件費に関する科目」(給料手当、通勤費、法定福利費等)、「その他経費に関する科目」(旅費交通費、会議費等)の順番に追加する。管理費も、販売費および一般管理費のところに「人件費に関する科目」「その他経費に関する科目」の順の設定にする。 A 販売費および一般管理費に、「事業費に係る人件費に関する科目」(給料手当(事業費)、通勤費(事業費)等)、「事業費に係るその他経費に関する科目」(旅費交通費(事業費)、会議費(事業費)等)、「管理費に係る人件費に関する科目」(給料手当(管理費)、通勤費(管理費)等)、「管理費に係るその他経費に関する科目」(旅費交通費(管理費)、会議費(管理費)等)を設定する NPO法人会計基準では、人件費とその他経費に分けて勘定科目を分類しますので、配列もそれに合わせて設定したほうがやりやすいと思います また、勘定科目名についても、NPO法人会計基準の別表に勘定科目の例示がありますので、これを参考にして再検討する必要があるのではないかと思います 別表の科目は例示ですが、あまりにその法人独自の勘定科目名が多い場合には、一般的な勘定科目を中心にしながら、その法人にとって必要な科目は別表になくても付け加えるという形の方がいいのではないかと思います 3. 事業の種類別の扱い 事業の種類については、会計基準では、財務諸表の注記で記載することになっています。 そのためには、会計ソフト上は、事業名については、部門別会計で対応するのがいいではないかと思います つまり、複数の事業を行っている場合には、事業を会計ソフトの「部門名」と考えて、部門会計に事業名を入れていく感じです そうすると、会計ソフトで部門別の損益計算書がでますので、それが、「財務諸表の注記」の「事業費の内訳」又は「事業別損益の状況」の基礎資料になります 複数の事業に共通する経費や事業費と管理費に共通する経費は、事業費の「共通部門」に入力しておくか、管理費に入力して、月に1回あるいは決算の時に、各事業に配布をします 会計ソフトによっては割合をいれると自動で配布してくれる機能もありますので、そのようなものを使えば、配布計算は割と簡単にしてくれると思います 4. 会計基準のフォームにあわせる 営利企業用のソフトですと、でてくる決算書は、営利企業のフォームになっていますので、そのまま所轄庁に提出しては、会計基準のフォームにはなりません そこで、ソフトから出した数字を会計基準のフォームに直していく必要があります NPO法人会計基準協議会が作っている、「みんなで使おう!NPO法人会計基準」のHPには、会計基準対応の標準フォームをいくつかご用意していますので、それを使うといいのではないかと思います みんなで使おう!NPO法人会計基準 の 「NPO法人会計基準/作成ツール」からサンプルパターンのうち、自分たちにあったものを選んで加工していただければ、それをベースに翌事業年度からはできるのではないかと思います しかし、そうはいっても、この作業はかなり大変で、日々の入力作業を行っていけば活動計算書や財務諸表の注記までできるソフトの方がずっと便利です 次回は、NPO法人会計基準に対応したNPO法人用の会計ソフトを使う場合にどのようなことが必要なのかを見ていくことにします
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