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2011年09月01日(Thu)

基金と法人格
最近、震災に関係して基金を作るという話をしばしば聞きます。


この「基金」ですが、新たに団体を立ち上げて、そこに「基金」としてお金をいくつかの団体が拠出する例が多いようです


この「基金」を任意団体でつくるのか、法人格をとってつくるのか、法人格でも一般社団・財団法人でつくるのか、公益認定を狙って公益社団・財団法人でつくるのか、NPO法人あるいは認定NPO法人を狙って作るのかによって課税の関係が異なってきます


そこで、どのような場合にどのような課税関係があるのかをまとめてみることにします



1. 任意団体で基金を作った場合


 任意団体で基金を作った場合の問題は、任意団体へ個人が寄付をした場合に、任意団体に贈与税が課税されるということです


 贈与税は相続税の補完税と言われています。


 つまり、贈与税がなければ、亡くなる前に他の人(親族を含む)に贈与をしてしまえば相続税の課税を逃れられるので、そういうことを防ぐという目的もあり、個人が他の人に贈与をした場合に、贈与税が課税されます


 任意団体への寄付は、他の人への贈与と同じ扱いになり、贈与税が課税されるわけです


 ただし、贈与税は110万円までは無税です。

 
 寄付者一人当たり110万円までの寄付であれば、任意団体へのものであっても、結果的に贈与税は課税されません



 しかし、個人から多額の寄付を集めようという場合には、任意団体で基金を作るのは相応しくないのではないかと思います





2. 一般社団・財団法人で基金を作った場合 


一般社団・財団法人には「非営利型」と「それ以外」があり、課税の扱いが違います。


「非営利型」については、「一般社団法人の税務」を参照ください


「非営利型」の一般社団・財団法人であれば、法人には贈与税の課税もありませんし、法人税については、NPO法人と同様に収益事業課税ですので、寄付金収入には課税されません


 しかし、「非営利型」出ない場合には、一般社団・財団法人はすべての所得に対して課税されますので、寄付金収入に課税されることになります


3. NPO法人で基金を作った場合


NPO法人で基金を作った場合には、一般社団・財団法人の非営利型でつくった場合と同様に、NPO側にも課税されることはありません。


なお、寄付者側ですが、認定NPO法人や公益社団・財団法人への寄付のように、所得控除・税額控除を受けることはできません

また、寄付をしたのが法人である場合には、一般の寄付金扱いになり、損金に算入される枠が小さくなります


この扱いは、任意団体、一般社団・財団法人への寄付でも同様です

損金算入については、「寄附金の損金不算入」を参照ください



4. 公益社団・財団法人で基金を作った場合


公益社団・財団法人になるためには、一般社団・財団法人として設立したうえで公益認定を受ける必要があります


公益社団・財団法人になると、寄付者側に大きなメリットがつきます


個人が寄付をした場合に寄付金控除(当面は所得控除のみ)の適用があります


法人が寄付をした場合には、その寄付をした金額が損金に算入される枠が広がります


さらに、震災関係の基金であれば、一定の制約を受けますが、25年12月31日前の寄付については、国税局の指定を受けると、寄付をした金額が全額損金扱いできることになります


5. 認定NPO法人で基金を作った場合


認定NPO法人で基金を作ると、公益社団・財団法人と同様に、個人が寄付をした場合に寄付金控除(所得控除又は税額控除の選択制)、法人が寄付をした場合には、損金に算入される枠が広がり、震災関係の基金であれば、震災特例法の適用を受け、国税局の指定を受ければ全額損金扱いが出来ます


ただし、認定NPO法人になるためには、過去2事業年度の実績で要件を判定されますので、今からNPO法人として基金を作っても、認定されるのは早くても2年くらい先ということなります。


これは、今回のような震災がある場合には、認定NPO法人制度の大きな問題点だと思います


その点、公益社団・財団法人の場合には、計画で公益認定がされますので、法人を設立してから認定をとるまで、スピーディーに行うことが可能と思います


孫正義さんが中心になって作っている「東日本復興支援財団」は、6月14日に設立して、7月11日には公益財団法人になっているようです


東日本復興支援財団HP



6.まとめ


ある程度の規模で基金を募ろうと考えると、公益社団法人か財団法人を目指すのが王道かと思います


なぜならば


@ 個人が寄付をすると、寄付金控除設けられる(税額控除の寄付金控除を受けるには、過去2事業年度の実績が最低でも必要)ため、寄付をする個人が出しやすくなる


A 法人が寄付をすると、損金に算入する枠が広がるだけでなく、震災指定がされれば全額損金扱いが出来るようになり、企業にとって寄付を非常にしやすくなる


B 認定NPO法人よりもスピーディーに公益認定を受けることが可能


C 公益認定を受けるためには、一定のガバナンスや組織の透明性が求められ、社会的な信用も増すだけでなく、経営の安定性も増す


ただし、公益認定を取得するのは、手続きとしては大変です


それほどの規模を想定しておらず、様々な寄付者からお金を集めるというつもりがなく、寄付者側の優遇措置が必要ないのであれば、一般社団・財団法人やNPO法人で基金を作るという方法も考えられると思います


任意団体で基金を作る場合には、個人から110万円以上の寄付を受けている場合に贈与税が課税されますので気を付けてください


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