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«NPOのための義援金・支援金の会計税務 | Main | 震災税制特例法(その1)»

2011年04月23日(Sat)

ふるさと納税と義援金・寄付金・支援金
 最近、いろいろなところで、「ふるさと納税で義援金を」という話を聞きます。


 先日、私が受けた税理士向けの研修会でも、講師の方が、「ぜひお客様にふるさと納税を進めてください」とおっしゃっていました
 

 しかし、私は無条件に「ふるさと納税を使うと税負担が少なくなるので、ぜひふるさと納税を使ってください」と言う気にはならないのです。


 今日は、ふるさと納税と義援金の問題を考えてみたいと思います

1. ふるさと納税とは



 ふるさと納税の説明について、自治体のHPからとってみました

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「ふるさと納税制度」は、ふるさと(出身地に限らず、あなたが応援したい自治体)へ贈る寄附金で、「ふるさとを応援したい」「ふるさとに貢献したい」「好きなまちを応援したい」「自分の住むまちの特定の事業に役立てたい」という気持ちを寄附金という形にしていただくものです。


 ふるさとなどの自治体へ寄附をしていただくと、寄附金の額に応じて所得税と住民税の税額が控除されるため、ふるさとに納税したのと同じことになることから、「ふるさと納税」と呼ばれているものです。



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 ふるさと納税を、大人になって地方から都会に出てきた人が、子供のころにふるさとでお世話になりながら税金を支払えなかったので、大人になって、故郷への恩返しで、都会に税金を支払う代わりに生まれ故郷に税金を支払う、と考えると、とても我々の琴線に触れるし、理解できます


 いろいろな事情で、結局、ふるさとに限らず、自分が応援したい自治体へも適用されることになりました


 なので、今回の震災における被災地の自治体への支援にこの「ふるさと納税」が浮上してきているわけです


 そして、手続きとしては、「その年の住民税を、居住地の自治体に支払わずに応援したい自治体に支払う」のではなく、「応援したい自治体に寄付をし、確定申告をすると、その寄付をした金額が翌年の住民税から控除される」という形になりました


 従って、もし、今回の震災の義援金等にふるさと納税を適用しようとすれば、来年の確定申告で申告することで、来年の6月以降の住民税が減る、ということで反映されることになります。


2. ふるさと納税の計算方法


 ふるさと納税の計算方法は、けっこう複雑で、他のところでも紹介されていますので、ここでは詳細は省略しますが、ポイントは2つ


@ ふるさと納税の対象となるのは、応援したい自治体へ寄付した金額のうち5千円を控除した金額。従って、5千円は自己負担になる


(所得税の寄付金控除の足切額が2千円になった関係で、実際にはもう少し自己負担額は少ない。どちらにしても多少の自己負担額はでる)


A ふるさと納税の対象になるのは、住民税の所得税割額の10%が限度なので、それを超えていると自己負担になる。


 とにかく計算方法が複雑で、自分でふるさと納税が最大限生かせる金額を計算するのは相当困難ですが、ネット上に、シュミレーションサイトがいくつかありますので、それを利用するといいと思います(ネットで「ふるさと納税 計算」と入れていただければいくつかでてきます)


 大雑把なイメージとしては、そこそこ住民税を納税している人であれば、あまり多額に寄付をしなければ、5千円(正確にはもう少し少ないですが)を自己負担しただけで、残りは、支援した自治体に寄付をした代わりに居住地の住民税から控除される、ということになる可能性が高いと思います


 具体的にどれくらい安くなるかの参考例が、総務省からもでています


 http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/pdf/080430_2_kojin_bt4.pdf



3. 義援金・寄付金・支援金とふるさと納税 


 義援金、寄付金、支援金とふるさと納税の関係を見ていきます


@ 義援金とは、災害により生命・財産に大きな被害を受けた方々に対する慰謝激励の見舞金であり、被災者へ全額支給されるものです


A 寄付金とは、ここでは、被災地の自治体へ、被災地の道路や港湾の復旧支援事業のために寄付されるものとします


B 支援金とは、被災地で様々な支援活動を行っている機関・団体(NPO/NGO等)の活動を支援するものです



 このうち、ふるさと納税の対象になるのは、@の義援金とAの寄付金で、Bの支援金はふるさと納税の対象になりません。


 総務省 東日本大震災の被災地への寄付金・義援金(ふるさと寄付金)について
〜あなたのふるさと寄付金が被災者支援に活かされます〜



 私は、Aの寄付金がふるさと納税の対象になるのはわかるのですが、@の義援金がふるさと納税の対象になるというのが、どうもピンときません。


 以下で、まずAの寄付金、@の義援金の順番でどういうことか、みていくことにします



4. 寄付金について
 

 被災地の自治体の道路港湾などの復旧活動のための寄付金がふるさと納税の対象になるというのは、ふるさと納税の趣旨からいって理解できることです。
 
 
 私の住んでいる目黒区は、さんま祭りを通して、気仙沼市と友好都市にあります。そこで、目黒区は、目黒区を通して気仙沼市の復興支援のための寄付金を住民に募っています。


 これにふるさと納税が使われるとすれば、とってもよく理解できます


 目黒区に税金を納める代わりに、被災された自治体の復興に充てるために気仙沼市を応援し、それによって目黒区の住民サービスが多少落ちても我慢する、ということで寄付するのであれば、ふるさと納税の趣旨に合う話だと思います。


 (しかし、目黒区に気仙沼市の支援のための寄付金を出したら、控除のことも何にもない目黒区の領収書をもらったので、この前、区長にお会いした時に、「これって控除がないのはおかしいんじゃないですか?」と言ってきました。)


5. 義援金について


 一方で、義援金にふるさと納税が使われるというのはどういうことだろうか?と考えてしまうのです。
 

 義援金は、本来被災地の支援ではなく、被災された方の支援のために出されるものです。


 これがなぜふるさと納税の対象になるかと言えば、義援金は、義援金配分委員会を通していったん被災者の地方公共団体へ配分された上で、各被災者へ渡されるという手続きを取るため、税法上は地方公共団体への寄付として扱われることになっているからです


 そのために、この義援金も、解釈上、ふるさと納税の対象にできるということで、総務省は「日本赤十字社や共同募金会などを通して行われた義援金もふるさと納税の対象になります」とアナウンスしています


 しかし、義援金は、本来、「被災地を支援するため」のものではなく、「被災された方を支援するため」のものです。


 「被災者を支援するためのお金」を、本人が負担するのではなく(もちろん最低でも5千円弱は負担しますが)自分の居住地の自治体が負担する、というのが、どうも私にはピンときません

 (ユニクロの柳井さんのように、明らかに自分が支払う住民税よりも多くの義援金を出している人は、ふるさと納税を使ったとしても、完全に本人負担の部分のほうが多くなります)


 目黒区は、つい最近、朝日新聞の記事で「目黒ショック」として連載で取り上げられたくらい財政状態が悪化しています。
 

 区の保養所が廃止されたり、小学校校舎の改築・大規模改修が延期になったりして、住民サービスにも影響が出ています


 目黒区は、今、一生懸命、気仙沼市への寄付金以外に、赤十字社を通しての義援金も募集しています


 しかし、この目黒区が行っている義援金は、集まれば集まるほど区の財政を圧迫する可能性がある、ますます住民サービスの低下につながる可能性がある、ということになるわけです。

 これが友好都市である気仙沼市を支援するためのものであれば理解はできますが、被災者支援のための義援金が、結果として区の財政を悪化させる可能性があるという仕組みがほんとうにいいのだろうか?多くの方が義援金を出した自治体ほど財政が悪化してしまうという可能性を秘めた制度が本当にいいのだろうか?と思ってしまいます

 (現実に義援金を出した人のうちどれだけの人がふるさと納税を使うかわかりませんが、もし多くの人、特に高額納税者でたくさんの義援金を出した人が使うとしたら、区の財政に深刻な影響を与えるのではないかと思います。余計な心配かもしれませんが・・・)



6.まとめ


 来年の確定申告では、今までにない多くの方が確定申告をして義援金・寄付金・支援金の還付を受けることが予想されます。


 私は、その還付金が、次の被災者支援につながれば、素晴らしいな、と思っています。


 被災地支援は継続していくことが大事ですから、お金の流れが、そのような形でできて、次に支援するときは、今回以上に「本当に被災地・被災者の支援に役立つお金の使い方はどんな使い方だろうか?本当に被災地に役立っている団体はどんなところだろうか?」と多くの方が考えた上で支援したら、とっても素晴らしいことだと思っています


 そんなお金の流れが出来るように、情報発信もしてきたいと思っていますし、会計基準や寄付税制などの支援もしていきたいと思っています


 ふるさと納税の話も、このことで、納税者が、自分が支払う税金の使途について考える機会があれば、意義があるかもしれない、と思っています。


 つまり、義援金を出した人が、その出した義援金を、翌年の自分の住民税から控除するのかしないのか、所得税の還付を受ける金額や住民税が減る金額で、新たな支援をしようと考えるのか、地域住民サービスとしての住民税をどう考えるのか、そんなきっかけになるといいのかな、と思っています。


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コメント
脇坂さん

先日、ブログのコメントでふるさと納税について質問させていただいた者です。ありがとうございます。よく理解できました。

今般の新たな公共支援事業の枠組みでどうにかして被災地支援をできないかと思っており、それでふるさと納税を使えないかと思った次第です。

ありがとうございます。
Posted by: 小嶋新  at 2011年05月08日(Sun) 11:00