2011年03月15日(Tue)
義援金と活動支援金
東北関東大震災が起こってから、自分には何ができるか、考えました
多くの方も考えられたと思います このブログに与えられた使命は、複雑な問題をできるだけわかりやすく説明することですので、ここで、今、多くの方が自分にできることとして実践されている募金、義援金、支援金について、自分なりにまとめることで、このような形での支援を考えている方の後押しができればと思いました |
1. 義援金と活動支援金
全国で様々な募金運動がされていますが、このような募金には、大きく分けると、被災者へ直接渡される「義援金」と、現地で被災者支援を行う機関やNPOへの「活動支援金」に分かれます。 それぞれどのようなものか、見ていくことにします。 2. 義援金 (1) 義援金とは 日本赤十字社のHPでは、義援金について、下記のような説明をしています 「日本赤十字社では、義援金を「国内で発生した災害による被災者の当面の生活を支えるために市民の自発的意思によって寄託された金銭」と定義しています。 したがって、日本赤十字社の事業そのものに対する寄付である「寄付金(社費)」とは、その性質や使途が異なります。 寄付金(社費)は、寄付の際に指定された事業のために使われますが、義援金は、災害により生命・財産に大きな被害を受けた方々に対する慰謝激励の見舞金の性格を持つもので、受付けた義援金は原則として全額被災された方々に迅速かつ公平に配分されます。」 つまり義援金は、被災者への見舞金であり、全額被災者へ支給されるものであるということです。 それでは、誰が、どのようにして、どの被災者へいくら支払うのかを決めるのでしょうか? それを決めるのが義援金配分委員会というものです。 (2)義援金配分委員会 さらに日本赤十字社のHPでの説明です 「義援金は日本赤十字社だけでなくマスコミなど多くの団体で受付けられるので、被災された方々へ配分するためには1か所にとりまとめる必要があります。 そのための第三者機関として、被災自治体、日本赤十字社、報道機関などで構成される義援金配分委員会が設置されます。 義援金配分委員会では、各機関で受付けた義援金をとりまとめるとともに、配分基準を作成し、被災された方々へ配分を行います。」 つまり、日本赤十字社やマスコミなど「義援金受付団体」があり、そこで集めた義援金はすべて「義援金配分委員会」というところに集約され、そこで配分について審議・決定された上で被災市町村を経て各被災者の世帯へ配分されるという手続きをとるようです。 新潟中越沖地震の義援金配分委員会のHPが下記に掲載しておきます 新潟中越沖地震義援金配分委員会 (3)義援金の集め方 義援金の集め方としては、日本赤十字社やマスコミ各社が行っているように、直接自分たちが義援金受付団体として受け入れているところもあれば、「寄せられた義援金は義援金受付団体(日本赤十字社等)に全額寄付します」というようにしているものもあります。 いろいろなルートを駆使しながら、義援金として集め、それを直接又は間接に義援金配分委員会に集約したのちに被災者に見舞金で支給するというのが、義援金と言われるものの使い方です (4)実際の義援金の状況 実際に義援金がどのように集められ、使われたかについて、大阪ボランティア協会の早瀬さんが、阪神淡路大震災の時のことを言論NPOのインタビュー記事の一部で述べられていたので、そのままの形で抜粋します 言論NPO 「災害で一番多くの現金が集まったのは阪神淡路大震災で、1700億円以上集まりました。 被災者にどう配られたかというと、分子は大変大きかったのですが、分母となる被災者の数も大きいので、結果的には最も沢山の現金を受け取ったのが、親を亡くされた子どもさんで、100万円でした。 2000億円近いお金が集まっても、被災者となる分母が多すぎるから、結局は、1人10万円という世界でした。 実際に、阪神淡路大震災の時には、1月17日に地震が起こって、29日に第一次を配りました。凄く早いでしょ。 三次まであったのですが、第一次で、全壊家庭に対して10万円、半壊家庭に対して半額の5万円を支給しました。 これがまた大変だったのですが、罹災証明を出すために大混乱が起きました。今おっしゃったように、行政はどこまでいっても公平原理なので、公平にやろうとすると今みたいなことが起こるわけです。 次に、第二次を4月に配ったのですが、4月に先程言ったように子どもさんに100万とかいう話があって、これもずっと議論してきました。で、第三次が翌年の3月に払いました」 3. 活動支援金 (1) 活動支援金とは 義援金は、被災者にとってとても重要なものになりますが、現金での見舞金ですので、被災者支援のためには、それ以外の直接・間接的に被災者の生活を支援していくということが、重要になってきます。 その意味では行政の役割が大きく、今後、我々にも何らかの負担をしなければいけない事態が予想されますが、同時に、大きな役割を果たすのが民間による自発的な支援です。 多くの方がこの震災で、何らかの形で貢献したいと思っていると思います。 その思いと、被災地、被災者の方をつなげるのがNPO(NPO法人や財団・社団法人、社会福祉法人等)の役割です。 そして、このようなNPOの活動を支援するのが、「活動支援金」です。 (2) 活動支援金の集め方 活動支援金は、NPOが独自にHPなどで集めています しかし、それだけでは限界もありますので、NPOへ活動支援金を支給するためのサイトとして様々な募金サイトなどが立ち上がっています。 このような募金では、まず、その受入れ団体が募金を集めた上で、いろいろな団体を評価して配分するという形をとっているようです。 どこの団体がいいのかわからないという方は、このようなものを使うといいと思います 先日、日本経済新聞に出ていた、中央共同募金会のNPO向け募金は、このパターンの典型的なものです。 他にも、私がやっているこのブログを主催しているCANPANの募金サイトは、使途について「障碍のある方や在日外国人の方などのいわゆるソーシャルマイノリティの方々をはじめ、学生、子どもたちへの支援にまず使っていく予定です」と書かれていますが、このパターンの募金です また、ジャストギビングというサイトは、社会貢献をしたい人がNPOを選び、友人、知人から寄付を集めるということをしています。 スポーツ界に広がる支援の輪として、為末大選手が呼びかけ人になり、大震災被災者救済支援のため「TEAM JAPAN」を発足させましたが、為末さんは、このサイトを利用して、公益社団法人シビックフォースという、災害支援に特化している法人への支援をしています。 芸能人やスポーツ選手など、有名人が様々な寄付などを呼び掛けていますが、それが、義援金に対する寄付なのか、NPOなどへの活動支援金に対する寄付なのか、理解したうえで、支援するのがいいのかと思います。 義援金と活動支援金の税制上の扱いについては、記事を別に立ち上げましたので、そちらをご覧ください 義援金と活動支援金(税務上の扱い) また、マスコミをはじめいろいろなところで集められている募金が義援金なのか活動支援金なのか、具体的な例をご紹介した記事を書きました 義援金と活動支援金(具体例) |