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2011年03月09日(Wed)

新寄付税制とNPO法改正(その2)
昨日、新寄付税制とNPO法改正について、緊急事態である旨について記事を書きました


まずは、多くの方が、今の状況を正確に理解することが必要だと思い、もう少し過去にさかのぼって、今、どんな状況なのか、全体像を理解できるようなものをと思い、もうひとつ記事を書きました


すべて、私の個人的なものですので、ご了解ください

<緊急集会について>


3月13日 福岡緊急集会


3月14日 大阪緊急集会

1.NPO法の目的


NPO法の目的は、NPO法第一条にあるように「ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与すること

この目的を達成するために、

@ 法令に定める要件を満たしていれば設立を認める認証主義をとり、行政の価値観に左右されない、多元的な、自由な活動を推進していること


A 事業報告や会計報告などの情報を公開し、市民が活動に参加できる機会をつくり、市民監視により公益性を担保する情報公開制度を重視していること


B 寄付をすることで社会に貢献したいと考えている人の活動を促進するものとして認定NPO法人制度を定めていること



の3つを重視してきました


しかし、この3つは、いずれもまだまだ不充分で、行政から、法の趣旨に合わないような指導も見受けられ、情報公開も充分に機能しているとは言えず、認定NPO法人制度に至っては、まだ認定されているNPO法人が全体の0.5%にも満たない状況です


今回の一連の動きは、何かNPO法に新しい理念を入れるというよりも、この3つの柱をより強化するためのものであるという位置づけと考えています



2.今までの状況


認定NPO法人制度については、民間のNPO中間支援組織で構成されるNPONGO連絡会から毎年、改正要望が出され、徐々に要件が緩和されてきましたが、劇的に緩和されるというわけにもいかず、現在、認定NPO法人は200法人に満たない状況です


また、情報公開制度については、各都道府県が独自にHP上にNPO法人の事業報告書等を公開するなど進んできましたが、まだ充分とは言えない状況でした


そんな中で、大きな動きとして、2009年の3月から、民間主導で、NPO法人の会計のやり方を統一するために、NPO法人会計基準を策定するというプロジェクトが始まりました

1年4カ月の議論を経て、2010年7月20日にNPO法人会計基準が公表されました


この会計基準は、「NPO法人制度を支える情報公開に資するため」という点を最重視して進みました



3.市民公益税制の動き


2009年9月に、民主党が政権をとり、鳩山前首相は、政権運営の柱として「新しい公共」という概念を掲げました


そして、まず、「新しい公共の担い手を支える環境を税制面から支援する」ことを掲げ、2009年の税制改正大綱で、NPOに対する税制を「市民公益税制」と位置付け、プロジェクトチームを作り、2010年1月以降、急ピッチで検討がされました


そして、この「市民公益税制」は、2010年12月の税制改正大綱(翌年4月以降の税制の大枠を決めるもの)に反映されました


そこでは、鳩山前首相の強い思いの中で、寄付税制について、所得税の税額控除制度を導入する、ということとともに、NPONGO連絡会が提案してきた項目も大幅に取り上げられました。


また、「地域主権」の考え方のもとで、認定事務を、従来の国税庁から、NPO法人を認証する地方公共団体へ移管する、という大がかりのものになりました


しかし、税制改正大綱はあくまでも税制の大枠を決めたものであり、実際の施行は、1月以降に法律になって国会で成立しないと機能しません




4.市民公益税制の構造


市民公益税制は、大がかりなものになったために、2つに分けて進められることになりました


1つが、所得税の税額控除制度の導入と、認定NPO法人の認定要件の緩和を中心にしたもので、これは、現在、予算関連法案として審議されている内容で、法案が通れば、今年の4月から実現されるものです


2つ目が、認定事務の地方移管を中心としたもの(仮認定制度の導入を含む)で、これは、地方自治体との協議や、自治体側の事務の受入れ体制を整備することも必要ですので、24年4月以降の実現を目指しているものです。


2つ目については、現在、租税特別措置法という税法の中で定められている認定NPO法人制度を、NPO法の中に取り込み、現在のNPO法に追加することでで実現を目指しており、NPO法制定時と同様に、NPO議員連盟を中心にした議員立法で実現しようとしています



5.NPO法の改正


NPO法の改正については、従来から、現在のNPO法にはいくつかの問題点があるので、改正すべきではないか、ということが、ずっと検討がされていました。


また、NPO法人会計基準の公表に伴い、この会計基準を法律の中でしっかりと位置付けるべきではないかという議論も行われてきました


今回、認定事務の地方移管し、NPO法に認定制度を導入することと同時に、NPO法の改正も、議員立法で、同時並行で進めることになりました


6.新しい公共推進会議


新しい公共の推進は、寄付税制の改正、認定事務の移管、NPO法の改正にとどまらず、さらに「新しい公共推進会議」を中心にして、このような動きを促進すべく議論が行われています


推進会議では、政府と市民セクターとの公契約のあり方や、協働のあり方など様々なテーマで議論が行われていますが、今、一番進んでいるのが、NPOの情報開示、発信基盤についての議論です。


NPOの透明性、信頼性向上の具体的な仕組みとして、NPOの活動に関する統一したデータベースの整備を図り、インターネット等を通じて迅速に情報提供できるような措置を講ずる話が進んでいます。


NPO法の、自由な活動をし、そのかわり情報開示をしっかりとし、参加の機会を増やし、多くの法人に税制優遇を付与して、さらに活動を推進していく、という流れが、いろいろな形で進んでいます



7.現在の危機的状況


このような形で、NPO法制定以来の抜本的な改革が進もうとしていますが、所得税の税額控除制度を柱とした予算関連法案は、与野党対立の中で、成立が危ぶまれています。


また、議員立法を目指しているNPO法の改正と、認定NPO法制度のNPO法への取り込みは、現在の国会情勢の中で、いずれもめどが立たない状況です。


このままだと、今までの話は、すべてゼロベースに戻ってしまう可能性があります


じゃあ、我々に何が出来るのか?というと、私たちの声で、「今国会でなんとしてもこれらの法案を成立させなければ」と、議員に強く思って貰うことです


内容については、与野党ともに賛成しています


あとは、「この法案の成立は、日本の今後にとって、とても大切なのだ」と思ってもらう国会議員をいかにふやしていくのか、ということです


我々が、今、できることとしては、3月13日と14日に多くの人が参加することです


3月13日 福岡緊急集会


3月14日 大阪緊急集会




よろしくお願いします






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