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2009年06月10日(Wed)

ラブホテル経営の宗教法人が所得隠し
宗教法人がラブホテルの休憩料をお布施にしていて、14億円の所得隠しがされていたという記事がでていました。


「宗教法人がラブホテルを経営」というのがなんとも衝撃的で、それと「脱税」というのが「いかにも」という感じで、いろいろなブログでぼこぼこにされています。

ひねくれものの会計道では、単純にこれを「脱税」と決めつける前に、もう少し、どういう問題があるのか、掘り下げてみようと思います。

NPO会計道というブログですから、NPO法人を念頭に置いて書いています


1. 事実関係


今回の事例の事実関係は、朝日新聞の記事によれば、以下のようなものです


長野県など中部地方を中心にラブホテルを経営する宗教法人が関東信越国税局から約14億円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。


ホテルの休憩料などの収入は本来、課税対象だが、国税局はこの宗教法人が休憩料の一部を非課税のお布施と偽っていたなどと認定した模様だ。


 公益法人の一種の宗教法人は実質的な税率が低いため、同法人への追徴税額は重加算税を含めて約3億円。


同法人は指摘を不服として異議申し立てをしている。


これらのホテルは同県千曲市のキノコ・野菜類加工販売会社の前社長(71)が実質的経営者とみられ、同社の現社長(46)は「実際に国内の恵まれない子にお金を送っている。国税当局とは争う」と話している。


この宗教法人は「宇宙真理学会」。


香川県多度津町の10階建てマンションの一室が主な事務所となっているが、朝日新聞が調べたところ、宗教施設は見当たらず、信者などの存在も確認できなかった。


ドアノブには四国電力からの「電気の契約を廃止」という通知が下がっていた。


近所の人によると、20年ほど前から人の出入りはないという。


同じ系列のホテルは長野をはじめ静岡、岐阜、群馬、新潟の計5県に少なくとも23軒ある。


このうち長野市内のホテルには玄関に観音像と「宇宙真理学会」の看板が掲げられ、部屋には「世界の恵まれない子どもたちに喜捨をお願いします」「少しでも多くの幼い命を救うために」などと書かれた張り紙があった。


ホテルは、客から得た休憩料や宿泊料の6割ほどを課税対象の売り上げとして計上し、残りは客からのお布施(喜捨)扱いにしていた模様だ。


フロントに問い合わせると、宿泊料の5500円のうち「2千円を喜捨に充てる」と説明した



この話だけからすると、「とんでもないひどいやつ」と思いますが、この「お布施」部分の全額を、本当に「国内の恵まれない子供に送っていた」とすると、少し話が違ってくる感じがします


「ラブホテル」「宗教法人」という言葉を離れて考えてみます



2. 寄付金付き商品


途上国の人を支援するNPO法人があるとします


そのNPO法人が、国内で旅館も経営しています


宿泊代について、「宿泊料のうち1,000円は途上国の恵まれない子供に寄付をします」と書かれていたとします


事実、その1,000円は、別勘定で管理され、全額途上国の支援に使われていたとします


その場合に、この1,000円も「宿泊料」として課税すべきでしょうか?それとも、1,000円部分は宿泊者からの寄付金とすべきでしょうか



(寄付金とすれば、法人税も消費税も非課税です)


これってけっこう微妙な感じがしませんか?


これに近い商品やサービスというのは、今、すごく出てきています


「売上の●●%は△△に寄付します」


「参加費のうち●●円は△△に寄付をします」


という商品やサービスは、いたるところに目に入るのではないでしょうか


寄付金付き商品


この場合に、この●●円をどう経理するのか、悩みませんか?



3.経理方法

 
経理方法の選択肢としては


@ 売上(事業収入)に計上する


A 寄付金収入に計上する


B 預り金経理をする


というあたりではないかと思います。


「寄付でもらったお金をそのまま支出していれば、手元に残らないのだからどう経理しても同じではないか」と思うかもしれません。

しかし、「支出寄付金」は、法人税の扱い上、損金(法人税上の経費)算入に制限があるので、@のように、「売上」としてしまうと、手元にお金が残らなくても税金を支払わなければいけないのです。


問題になっている宗教法人が、本当にお布施を全額恵まれない子供に送っているとすると、これに課税されてしまうと、手元にお金がないのに税金が取られてしまうのです


チャリティコンサートなども同じ問題があって、収益金を全部寄付したらあとで課税されるということがあり得るのです


なお、消費税も、@なら課税売上ですが、AやBなら不課税扱いです


4. 年賀はがき 


この例で、一番わかりやすいのは、「寄付金付き年賀はがき」です。


55円の寄付金付き年賀はがきで、5円分が寄付だと考えるのは、ほとんどの人が違和感がないと思います


なぜかというと


@ 5円は寄付だと書いてある(出す方が、寄付だと承知で出している)


A 50円で同じサービスを受けられるとみんな知っている



からです



5. 実務上の対応


寄附金とするには、まず、@のように支払う側が「いくら分が寄付である」ということがわかるようにしておくことは絶対条件と思いま


「売上の●●%は△△に寄付します」というような明示もなく、勝手に受け取る法人側が区分けをして「30%は寄付金、残りは売上」としても、まずこれは無理でしょう


支払う側が「寄付金である」と認識していないわけですから


今回の宗教法人でいえば、宿泊料にはお布施2,000円のことは明示されず、勝手に自分たちが「2,000円分をお布施で経理している」とすれば、このパターンで、認められる可能性はないと思います。


Aはなかなか実務上は微妙ですねえ。


これが納得できるような説明でできれば寄付金とする選択肢はあると思います。


例えば、似たような商品も他にあるが、寄付付き商品だけが少し高いようなことがわかるような場合です



「寄付金収入」とする以外に「預り金」とするという方法もあります


●●円を「預り金」として、寄付をする団体に支払った時には預り金の精算とするような方法です


領収書などにも「●●円は寄付金として預りました」といったように明示をしておきます


おそらく領収書などに明示がないと、支払った側が全額を寄付金以外の経費(宿泊料なら「旅費交通費」のように)として処理していることが明らかなので、認められないと思います。


はっきりしないところですので、ご意見などあれば教えてください


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