1.使途特定寄付金の問題点 寄付金には、使途が特定されている寄付金と使途が特定されていない寄付金があります。
このうち、使途が特定されている寄付金について、
決算段階で、すでに寄付金としてはもらっているけれどもまだ使っていないという部分が相当額ある、という状況のときに、どういう問題が起こるでしょうか。
これをすべて「寄付金収入」として計上すると、助成団体などから
、「あなたの法人はこんなに剰余金があるのだから助成はできない」と言われる可能性があります。
しかし、法人側としては、
その剰余金のうち、大部分は使途が決められている寄付金であり、今期にそれを使う予定なので、全然余っているわけではありません。と言いたいわけです。
この誤解は、会計的にも、解かなくてはいけません。
そこで、どのような経理方法が考えられるでしょうか
2.正味財産の部を内訳表示する 貸借対照表の正味財産の部を内訳表示するという方法が考えられます。
つまり、
正味財産(資産−負債の金額)を、一般の正味財産と、使途が指定されている「指定正味財産」に分けて表示するという方法です。
これは、財団法人・社団法人(12月1日以降は新公益法人)が適用を受ける
新公益法人会計基準が採用している方法です しかし、この「指定正味財産」があるために、新公益法人会計はかなり複雑になりました。
3.負債の部に計上する もうひとつの方法が、この法人のように、
受け入れた寄付金のうち、まだ指定された使途に使っていない金額を「前受金(前受寄付金)」として負債に計上するという方法です
この方法だと、
使途が特定されているがまだ使っていない寄付金は貸借対照表の「正味財産の部」に計上されません。 助成団体から「お金が余っている」と誤解を受けることもないわけです。
NPO法人の場合には、今のところ会計基準がありませんので、どちらの方法も認められますが、会計基準を作成する際に、この「使途が指定されている寄付金」を会計的にどのように表現するのかが、重要な議論の一つになってきそうです