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«協賛金の税務上の取扱い | Main | 福岡・山口出張報告»

2008年08月21日(Thu)

企業が支払う寄付金の扱い
北京五輪のフェンシングで銀メダルを取った太田選手を、明太子のやまやが支援していたと言う話を基にして、企業がNPO法人に「協賛金」などを出す場合に、税金上、どのような扱いが考えられるのかをみています

協賛金は、 大きく分けると、

@ 広告宣伝費として支出する

A 寄付金として支出する


 と2つのパターンが考えられます

前回は、どのような場合に広告宣伝費として認められるのかを見てきました。

今回は、寄付金として支出した場合に、支出先がNPO法人であるか、認定NPO法人であるかによってどう違ってくるのかを見ることにします


なお、やまやの件は、支援している日本フェンシング協会が社団法人ですが、ホームページで調べた範囲では、日本フェンシング協会は社団法人の認定NPO法人版に相当する特定公益増進法人ではないようなので、おそらく、通常のNPO法人に対する寄付と同じ扱いであったのではないかと思われます
(確認ができたわけではありません)


1. 企業にとって何が問題か 

 企業がNPO法人へ寄付をする場合に何が問題になるのか?といえば、そのNPO法人へ支払った寄付金が法人税上経費(損金)になるかどうかです。

 企業にとってその支払ったお金が損金になるかどうかは、大問題です。

 企業が支払った寄付金が、広告宣伝費のように全額損金になるのであれば、何の問題もないのですが、寄付金は、企業が利益を計算する上で経費(費用)として扱ったとしても、法人税を計算する上では、一定の金額までしか損金にならないという特殊な扱いをします

 だから、企業の支払った寄付金が損金になるかどうかは非常に微妙な問題があるのです


2.寄付金の取扱い

 企業が通常のNPO法人へ寄付をしたのであれば損金にならないが、認定NPO法人へ寄付をしたのであれば損金になるということであれば話しは簡単です

 個人がNPO法人へ寄付をする場合には通常のNPO法人だと寄付金控除は受けられないが認定NPO法人だと寄付金控除を受けられますので、考え方は非常にわかりやすいです

 しかし、企業がNPO法人へ寄付をした場合の扱いはこのように単純ではありません

 認定NPO法人に寄付をすると、通常のNPO法人へ寄付をする場合よりも「損金になる枠が広がる」ということです(詳しくはここを参照ください)

従って、

@ 通常のNPO法人へ寄付をしても、認定NPO法人へ寄付をしてもどちらでも損金になることもある

A 通常のNPO法人へ寄付をすると損金にならないが、認定NPO法人へ寄付をすると損金になることもある

B 通常のNPO法人へ寄付をしても、認定NPO法人へ寄付をしてもどちらでも損金にならないこともある


@やBであれば、企業にとっては、認定NPO法人へ寄付をするメリットは直接的にはあまりありませんが、Aであれば、認定NPO法人へ寄付をするメリットは大変高くなります

寄付を受けるNPO法人側から、企業が@〜Bのどの情況になるのかは、

・ その企業の資本金及び資本積立金

・ その企業の所得金額

・ その企業が他の団体にどれくらい寄付をしているのか


によって違ってくるため、外部からは判断ができません(決算書を見てもわかりません)

従って、企業がNPO法人に寄付をしたことにより、自分たちが認定NPO法人になったことによって企業にとって経済上メリットがあるかどうか(損金になるかどうか)は、NPO法人側からは判断ができません

ここでは、どんなときに@からBのような状況が起こりやすいのかをみていくことにします


3.通常のNPO法人へ寄付をしても、認定NPO法人へ寄付をしてもどちらでも損金になる場合 

 通常のNPO法人へ寄付をして損金になる枠は以下の算式の金額の範囲内です
 
(期末の資本等の金額×その事業年度の月数/12×2.5/1000+各事業年度の所得金額×2.5/100)×1/2 

 通常のNPO法人へ寄付をしても、認定NPO法人へ寄付をしてもどちらでも損金になる典型的なケースは、以下のようなケースが想定されます

・ そのNPO法人以外には寄付をしていないあるいはしていてもほんのわずかしかしていない

・ 資本金が大きい、それなりに利益がでている

・ 今回寄付をするNPO法人に対してもそれほど多額ではない


 このような場合にはその企業が行った寄付金が上記の算式の枠内で納まれば、通常のNPO法人へ寄付をしようと、認定NPO法人へ寄付をしようと全額が損金になりますから、違いはありません

4. 通常のNPO法人へ寄付をすると損金にならないが、認定NPO法人へ寄付をすると損金になる場合

 通常のNPO法人と認定NPO法人に寄付をした場合の違いは、認定NPO法人に寄付をした場合には、通常の寄付金の損金に算入が認められる枠以外に、下記の算式分が別枠で損金として認められるということです

(期末の資本等の金額×その事業年度の月数/12×2.5/1000+各事業年度の所得金額×5/100)×1/2

 通常のNPO法人へ寄付をすると損金にならないが認定NPO法人へ寄付をすると損金になるのは次のようなケースが想定されます

・ そのNPO法人以外にも他の団体へも寄付を行っており、すでに通常の寄付金の損金に算入される枠は使いきってしまっている場合

→認定NPO法人に対する寄付金の損金に認めれられるのは別枠なので、認定NPO法人に対する寄付金は損金になる


多くの企業は別の団体にも寄付をしているため、このケースに該当する例は多いと思われます。

このケースに該当すれば、通常のNPOへ寄付をすると損金にならないが、認定NPO法人に寄付をすると損金になりますので、企業にとって、認定NPOに寄付を出すメリットが相当高くなります

・ そのNPO法人に対する寄付金が多額なため、通常の枠を使い切ってしまう場合

→認定NPO法人に対する寄付では別枠分をプラスできる

1000万円の寄付をする場合に、通常の枠では600万円しか枠がない場合には、400万円分は損金になりませんが、これが認定NPO法人に対する寄付だと1000万円がまるまる損金になります

  ただし、注意点としては、認定NPO法人に寄付をすれば全額が損金になるとは限らないということです。

 認定NPO法人に対する寄付にも上限がありますので、注意が必要です

5. 通常のNPO法人へ寄付をしても、認定NPO法人へ寄付をしてもどちらでも損金にならない場合

 4.で述べた、別枠で損金になる枠が認められているのは、認定NPO法人だけではありません。

 特定公益増進法人といわれている、公益法人の中でもさらに公益性が高いとされた法人、社会福祉法人、20年12月から施行の新公益法人制度の公益社団・財団法人なども別枠で損金が認められる法人です

 そうすると、寄付をする企業が、すでに他の特定公益増進法人や社会福祉法人などに寄付をして別枠分を使い切ってしまったとすれば、認定NPO法人へ寄付をしても、その分は損金にはなりません


 
6. 本当のメリット 

 企業にとっての直接的なメリットがあるかどうかは上記のとおりですが、おそらく企業から寄付を受けるNPOにとって、認定NPO法人になるメリットは、「信用」の面が大きいのではないかと思います

 個人から寄付を受ける以上にこの効果は高いのではないかともいます

 寄付をする企業側にたてば、課税上の有利不利ももちろん、「認定NPO法人という国税庁が認めたNPOに寄付をしている」というのは、担当者ベースでは非常に出しやすいのではないかと思います。

 特に大企業の場合には、寄付先を選定するのは、最終的な意思決定者ではないケースが大部分と思います。

 最終的な意思決定者に「なぜここに寄付をするのか」ということを説明するときに「国税庁が認めた法人だし、この法人に寄付をすると損金になるのです」というのは、非常に説明がしやすいと思います

 企業からの寄付を増やしたいと思っているNPOには、認定NPO法人になるメリットは相当大きいと思います


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コメント
ひでさん

ありがとうございました

私もRSSは使い方がわからなかったので参考になりました

どう使うか、考えて見ることにします

今後ともよろしくお願いします

Posted by: 脇坂誠也  at 2008年08月25日(Mon) 02:20

脇坂さん、ごぶさたしています笑い
ブログ入門」のひでこと、
田原市社協、中西です。

以前、私も経理担当だったので
寄付金を募集する際の広報の打ち方など
何度か税務署の相談コーナーに
足を運んだことを思い出します(^^ゞ

あと、事後報告で申し訳ありませんが
NPO会計道を私のブログ
紹介させていただきました。
よろしくお願いいたします。

一度、ぜひお会いしたいですねキラキラ
Posted by: ひで  at 2008年08月24日(Sun) 11:31