1. 収益事業に該当するか NPO法人はその行う事業が法人税法の収益事業(NPO法上のその他の事業とは違う)に該当する場合のみ課税されます。 収益事業に該当するかどうかは
@ 継続的に行われるものであること
A 事業場を設けて行われるものであること
B 政令で定める34事業のいずれかに該当するものであること のいずれの要件も満たすかどうかによります。
Aについては、それがたとえ一日限りであっても事業場を設けたことになります
@については、準備期間が必要なものであれば、継続的に行っていると解釈される余地があります
<参考>
法人税基本通達15−1−4
法第2条第13号《収益事業の意義》の「事業場を設けて営まれるもの」には、常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けてその事業を営むもののほか、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設け、又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものが含まれる
法人税基本通達15−1−5
法第2条第13号《収益事業の意義》の「継続して……営まれるもの」には、各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、次のようなものが含まれることに留意する。
(1) 例えば土地の造成及び分譲、全集又は事典の出版等のように、通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するもの
(2) 例えば海水浴場における席貸し等又は縁日における物品販売のように、通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、若しくは不定期に反復して行われるものBについては、チャリティコンサートなどは、通常、政令で定める34事業のうち
「興行業」に該当します。
興行には「映画、演劇、演芸、舞踏、舞踊、音楽、スポーツ、見世物等を企画、演出又は陳列して不特定又は多数の者に観覧させることです。
自ら主催するだけではなく、興行の媒介、取次ぎを行う事業も含まれることになっています。
それでは、チャリティコンサートなども、継続的に事業場を設けて行われるものであれば、興行業として必ず課税されるのでしょうか?
法人税基本通達15-1-53に以下のものがあります(一部の抜粋です)
次に掲げる興行(これに準ずるものを含む。)に該当することにつき所轄税務署長の確認を受けたものは、令第5条第1項第26号《興行業》の興行業に該当しないものとする。
(1) 催物に係る純益の金額の全額が教育(社会教育を含む。)、社会福祉等のために支出されるもので、かつ、当該催物に参加し又は関係するものが何らの報酬も受けないいわゆる慈善興行この通達について、詳しく見ていくことにします
以下は、「基本通達逐条解説」(税務研究会出版局)を参考にしています
2. チャリティショーなど法人税基本通達15-1-53の(1)は、
出演者がすべて無料出演であり、その収益金は社会福祉団体などへ寄付をすることが予めその興行の条件として明らかにされているものです。
このようなチャリティショーは、もともと主催者側が収益を目的としていないものであって、入場者もその収益金が社会福祉団体などへ寄付されることを承知の上で入場料を支払うものです。
従って、
主催者側は寄付金のとりまとめ機関のようなものであるとみることもできます。
このようなことから、
出演者がすべて無料出演でその収益金が社会福祉団体などへ寄付をすることが予め明らかなものは収益事業とはならない(非課税)になるという、この規定があります。
ただし、注意点があります
@ この通達に該当するかどうかは、NPO法人側が一方的に判断するのではなく、
所轄税務署長又は国税局長の確認を要するものとされています
A 通達にある
、「社会福祉等のために支出されるもの」はかなり狭く解釈されています。以下のような支出が該当します
イ 学校教育法に規定する学校及び私立学校法の法人の設置する学校
ロ 社会教育法の社会教育関連団体又は公民館が行う社会教育
ハ 青年学級振興法第二条の青年学級
ニ 日本赤十字社がその目的を達成するために行う業務(社会教育を含む)
ホ 社会福祉法の規定により届出をし、又は許可を受けて経営する社会福祉事業
ヘ 更生保護事業法による更生保護施設
ト 生活保護法による保護施設
チ 児童福祉法による児童福祉施設
リ 母子および寡婦福祉法による母子福祉施設
ヌ 老人福祉法による老人福祉施設
ル 身体障害者福祉法による身体障害者更生援護施設
ヨ 知的障害者福祉法による知的障害者援護施設
従って、
チャリティコンサートの収益金を他のNPO法人に寄付する場合には認められない可能性があります。また、
収益金を、そのNPO法人の主目的である他の事業にまわす場合には、この通達によって、非課税として認められることはないと思われます。