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2008年04月16日(Wed)

企業が支払う寄付金の損金算入限度額
 しばしば、「NPO法人に寄付をした企業はその寄付金を経費にできるのか?」といった質問を受けます。

 企業が経費(損金)にできる寄付金の計算は複雑です

 今日は、企業がNPO法人に寄付をした場合に企業側がどのような扱いになるのかを見ていくことにします

 また、寄付をした先が認定NPO法人である場合にどう違うのかも見ていくことにします


1. 寄付金は基本的に全額損金(経費)にならない 

 法人税は、益金から損金を引いて所得金額を求め、その所得金額を基にして計算をします
 
 ここで、益金から差し引く「損金」ですが、俗に言う「経費」とは若干違います。

 大部分は同じなのですが、違う扱いを受けるものがあります。

 その代表例が「寄付金」です(「交際費」なども代表例です)。

 つまり、寄付金は、企業が利益を計算する上で経費(費用)として扱ったとしても、法人税を計算する上では、一定の金額までしか経費扱いできない(これを、この後「一部しか損金にはならない」といいます)のです。

 なぜ寄付金は一部しか損金にはならないのでしょうか?


2. 寄付金が一部しか損金にならない理由

 寄付金が一部しか損金にならないのは、寄付金の場合には、広告宣伝費、消耗品費など他の経費と違い、「事業遂行に必ず必要」とはいいきれないからなのです。

 つまり、寄付金は「事業を遂行するために必要」というよりは、「事業を遂行して利益が出た結果として支払う」という部分が多いのです。

 専門用語で言えば「利益処分」的な要素があるということです。

 利益処分的なものは、法人税を計算する上では、損金(経費)として認めません
 
 企業がNPO法人の行うイベントに広告宣伝を出すのであれば、その広告宣伝によって企業の売上を上げるという意図があるわけですが、単にNPOに寄付をするだけとしたら、企業にとって、自分の行っている事業との関連性がずっと薄くなるわけです
 
 それなら、寄付金は一切損金にはならないとしてしまえばよさそうなものですが、NPO法人に単に寄付をするだけであっても、企業にまったく事業に関連性がないとは言えない部分がありますよね。

 間接的に企業イメージのアップなどを目指している部分がないとは言い切れないと思います。

 つまり、寄付金は、事業に関連性があるかどうかが微妙なものが多いわけです
 
 そこで、一種の割り切りで、一定の算式を作って、その算式で納まる金額の範囲内の寄付金であれば損金とし、それを超える部分については損金としないという扱いになったのです。
 
 その算式が、以下のとおりです
 
 (期末の資本等の金額×その事業年度の月数/12×2.5/1000+各事業年度の所得金額×2.5/100)×1/2

 =寄付金の損金算入限度額


 さて、この算式は何を表しているのでしょうか



3. 寄付金の損金算入限度額の意味

 寄付金の損金算入限度額は、簡略化していうと

 (資本金基準額+所得基準額)×1/2

 ということになります。

 資本金基準額は、「大きな企業であれば寄付金が多いのは当然なので、損金にできる寄付金の枠は大きくしましょう」ということです

 所得基準額は、「利益がたくさん出ている企業が寄付をたくさんするのは当然なので、利益がたくさん出ている会社が損金にできる寄付金の枠は大きくしましょう」ということです

(1)資本基準額

 資本金基準額は

 「期末の資本金額及び資本積立金額の合計額×事業年度の月数/12×2.5/1000

 です
 
 資本金1000万円(資本積立金0円)で事業年度が1年の中小企業の場合、資本金基準で損金にできるのは、

 1000万円×12/12×2.5/1000=25,000円

 ということです。少ないですよね。

 資本金と資本積立金で100億だと、2500万円ですね。


(2)所得基準額

 所得基準額は

 「各事業年度の所得金額×2.5/100

 です。

 年間の所得金額が1000万円の場合には、

 1000万円×2.5/100=25万円

 ということですね

 年間所得が100億円なら、

 100億円×2.5/100=2億5千万円

 ですね。


(3)損金算入限度額

 寄付金の損金算入限度額、つまり、経費になる枠は、資本基準額と所得基準額の合計の1/2ですから、

 資本等の金額1000万円、年間所得金額1000万円の場合(以下「中小企業の場合」とします)には

 (25,000円+25万円)×1/2=137,500円

 資本等の金額100億円、年間所得金額100億円の場合(以下「大企業の場合」とします)には

 (2500万円+2億5千万円)×1/2=1億3750万円

 ということになります

 どうでしょうか?

 意外と厳しいですよね。

 通常のNPO法人に対して寄付をする場合に損金になる枠はここまでです(もちろん、他の団体への寄付と合算しての金額です)

 これが、認定NPO法人になるとどうなるのでしょうか?



4. 認定NPO法人に対する寄付

 認定NPO法人に対する寄付は、これとは別枠で、さらに上記の算式の金額まで損金にすることができます

 つまり、上の例の中小企業の場合には、認定NPO法人に対する寄付金は、通常の枠とは別に137,500円まで損金に、上の例の大企業であれば1億3750万円まで損金にできます
 
 例えば、上の例の中小企業の場合で、寄付金が20万円であったとすると、この20万円が通常のNPO法人に対する寄付であれば、

 20万円―137,500円=62,500円

 分は損金になりません。

 しかし、認定NPO法人に対する寄付であれば、寄付金の限度額の137,500円の2倍まで損金になる枠が広がりますので、

 137,500円×2=275,000円

 まで損金にできます

 従って、認定NPO法人に対する寄付金20万円は全額損金になるわけです

 かりに、他の団体への寄付で、寄付金の損金算入限度額の137,500円を使い切ってしまっていたとしても、あらたに寄付をする先が認定NPO法人だと、別に137,500円まで損金になるということです。
 
 このような扱いをするのは、認定NPO法人だけではなく、独立行政法人、社会福祉法人、財団法人・社団法人のうち一定の法人などです。新公益法人制度における公益社団法人、公益財団法人も同様の扱いとなります。

 これらを「特定公益増進法人」といいます

 なお、国や地方公共団体に対する寄付金や、共同募金など「指定寄付金」と言われている寄付金については、全額が損金になります


5.20年度税制改革

 20年度の税制改革では、この特定公益増進法人に対する寄付金の枠がさらに広がる案が出されています。

 具体的には、特定公益増進法人に係る損金算入限度額計算における所得基準額を、現行の「各事業年度の所得金額×2.5%」から「各事業年度の所得金額×5%」に広げるという案です。

 上の例の「中小企業の場合」の例ですと、特定公益増進法人に対する寄付の枠は、

 (1000万円×2.5/1000+1000万円×5/100)×1/2=262,500円

 となります。

 今までは137,500円ですから、だいぶ広がりますね。

 認定NPO法人や公益社団、財団法人などへ寄付をしようと考えている企業にとっては、損金になる枠が広がるわけですから、寄付がしやすくなるわけです

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