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2007年08月24日(Fri)

収益事業の例外措置
 法人税が課税される事業のことを収益事業といいますが、この収益事業は、NPO法の「その他の事業」とはまったく別の考え方であるということはこのブログでも何回も述べてきました。

 収益事業に該当するかどうかは

@ 継続的に営まれていること

A 事業場を設けて営まれていること

B 政令で定める33事業に該当すること


の3つの要件をすべて満たしているということでした

 しかし、これには1つだけ例外措置があります。


 3つの要件をすべて満たしている場合にも収益事業にならない例外措置です。

 今日は、その例外措置について紹介をします

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 NPO支援東京会議では、NPO事業サポートセンターで行っている会計相談会に相談員を派遣しています

 相談会は誰でも相談できます

 詳細はここにでています


1.例外措置の内容 

 法人税法施行令第5条第2項には、収益事業に含まれないものとして、「その事業に従事する次に掲げる者がその事業に従事する者の総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの」とあります。


 次に掲げる者とは、以下のような者です(一部は省略しています)

  イ)身体障害者福祉法に規定する身体障害者
 
  ロ)生活保護法の規定により生活扶助を受ける者
 
  ハ)児童相談所、知的障害者更正相談所、精神保険福祉センター
    又は精神保健指定医により知的障害者として判定された者
 
  ニ)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神
    障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
 
  ホ)年齢65歳以上の者
 
  ヘ)母子及び寡婦福祉法に規定する配偶者のない女子であって現
    に児童を扶養している者


 大きく分類すれば

@ 障害者

A 生活保護者

B 寡婦

C 65歳以上の者

などが半数以上従事しており、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているのであれば、法人税法上の収益事業とはならない
ということです。



2.対象者が半数以上かどうかの判定

 対象者が半数以上かどうかの判定は、その事業年度においてその事業に従事した人の延人数によります。

 その際に、パートなど勤務時間が短い人をどう考えるのか、という疑問があります。

 仮に対象者の勤務時間が一般の従事者に比べて短い時(パート職員など)も、通常の勤務時間従事したものとして判定して良いことになっています。

 法人税法基本通達15−1−8


3.法人住民税均等割も減免の対象となる 

 この例外措置に該当すれば、収益事業に該当しませんので、法人住民税の均等割(赤字の場合にも課税される。東京23区の場合には7万円)も減免制度のある自治体においては減免の対象となります

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コメント
岡山さん

コメントありがとうございます

自立支援法については

https://blog.canpan.info/waki/archive/283

にも記事を書いています

もし専門家の方でいらっしゃれば、ここでご紹介しているNPO会計税務専門家ネットワークに加入され、投稿していただければ、詳しい方からいろいろなご意見を聞くことができます


Posted by: 脇坂誠也  at 2008年05月07日(Wed) 09:29

初めまして、現在就労継続支援bを行っているNPO法人より法人税の相談を受けています。どうにかして非課税事業とならないか色々な情報を探していてここにたどり着きました。色々と読ましていただきましたがやはり無理なのでしょうか?会計区分としては支援費サービスと作業収入は区分されてしまいますが、事業としては一体であることに間違いないことから、支援費サービスと作業収入両方を合わせて法人税法施行令第5条第2項の適用を受けることには無理がありますか?また、そのNPO法人は解散時、財産は県に帰属することなりますが法人税法施行令5条1項29条ヨに該当させることは難しいですか?よろしかったら見解をお願いします。
Posted by: 岡山  at 2008年05月06日(Tue) 22:00

岩永さん、回答ありがとうございました。また、ブログ大賞へのコメント、ありがとうございました。3日間くらいネットに接続できなかったもので、お礼が遅れました。

JMさん、ブログ、参照頂きありがとうございます。
質問ですが、シーズの何でも質問箱というものがあります。
http://www.npoweb.jp/modules/bluesbb/topic.php?top=1
です。
今後はこちらに質問いただければと思います

Posted by: 脇坂誠也  at 2007年11月16日(Fri) 17:28

岩永先生 早速回答頂きましてありがとうございました。
自立支援法等についても、先のことについても、わからない事が沢山ある上、手元のNPOの資料等には例外措置の詳しい説明がなく、困っています。これからリンク等もたどってよく勉強したいと思います。
脇坂先生 コメント欄お借りしすみません。各ページよく読んで勉強します!またお世話になるかと思います。よろしくお願いいたします。J.M.
Posted by: J.M  at 2007年11月16日(Fri) 14:12

JMさん、岩永と言います。
NPO法人が税法上公益法人等とみなされるのは、おっしゃるように特定非営利活動促進法第46条の規定によります。ただ一般的に人格のない社団と同じだといわれているのは、公益法人等に適用される様々な税法上の恩典がNPO法人には適用されないからです。これは第46条の規定の中に、やたらとカッコ書きがあり、そこで「・・・を除く」と書かれているからです。

さて法人税法施行令第5条の規定が、地域作業所、授産施設、社会福祉法人等などの非課税の根拠なのかという問題ですが、結構微妙です。まだ明確な取扱は示されておりません。
私の整理では、障害者自立支援法上の福祉サービス事業に該当するのか否か、主体がNPO法人か社会福祉法人かによって変わると考えています。まず障害者福祉サービス事業に該当する場合、税法上医療保健業となって、NPO法人なら課税、社会福祉法人なら非課税となります。一方福祉サービス事業に該当しない場合は、内容に応じ原則課税となるが、上記5条の特例を使って非課税になるという流れです。この場合は、社会福祉法人でも、学校法人等でも同じです。
 たとえば作業所は、今後就労継続施設等に移行した場合は障害者福祉サービスに該当し、地域活動支援センターに移行した場合は、該当しないことになります。
 私の過去のコメント等も参考にして下さい。
Posted by: 公認会計士 岩永清滋  at 2007年11月15日(Thu) 13:29

下書き途中で送信してしまいました。すみません。

素朴に NPO法人が設立に制限のありそうな、宗教法人や学校法人と同じ扱いを受けるのだろうか…と疑問もあり、2007/4/7の【NPO法人と収益事業(3)】をよんでみてもまだ混乱してます。

自分でも何が分からないのかも分からない時点で質問して、申し訳ないのですがよろしくお願いします。
Posted by: J.M  at 2007年11月15日(Thu) 12:04

はじめまして。お忙しいところすみません。
こちらに質問させて頂いてよろしいのでしょうか。
NPO法人の収益事業に該当するか、困ってまして、このブログにたどり着きました。法律のみかた自体もわからないので、的外れな質問かもしれないのですが…よろしくお願いします。

法人税法施行令
第5条第2 
 公益法人等が行う前項各号に掲げる事業のうち…

上記、公益法人等に、NPO法人が含まれるのは、

特定非営利活動促進法
第46条
 特定非営利活動法人は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号 に規定する公益法人等とみなす。

が根拠かと思いました。

手元にあるNPO関係の本には「人格のない社団等」と取り扱いはほとんど同じとありましたので、混乱しております。

どんなNPO法人でも、第5条第2項を満たせば、例外措置がみとめられるのでしょうか。
たとえば、65歳以上の者が半数以上従事していば、物品販売等で多くの利益を上げても 法人税の課税は無い…となるのですか?

多くの地域作業所、授産施設、社会福祉法人等は、障害者に工賃を支払ってますので、作業収入部分は、この例外が根拠で収益事業としなくていい ということでしょうか?





Posted by: J.M  at 2007年11月15日(Thu) 11:50

岩永先生、回答ありがとうございました。訓練等給付費部分が課税だとすると、これまで補助金で運営してきた小規模作業所では納税額が発生する可能性もでてきますね。今後収益事業課税の見直しと同様、訓練等給付費の取り扱いについても注意していきたいと思います。いつもいつも的確なコメントに感謝です。
Posted by: 白石京子  at 2007年09月25日(Tue) 11:48

白石さん、岩永です。コメントに気が付くのが遅くなり失礼しました。
就労継続支援施設では、収入の使途が限定されています。生産活動のよる収入(作業収入)は材料費等を除き全てを障害者に配分しなくてはいけないことになっているのに対し、訓練棟給付費からは障害者に工賃を支払うことはできません。つまり作業収入部分は、この例外規定を使って法人税は課税されないと思いますが、訓練等給付費部分は、支援費の時と同じように課税になるのではないかと考えています。
つまり就労継続支援施設のすべての収支を課税とか非課税とか考えるのではなく、2つの部分にわけて考える必要があると思います。
Posted by: 岩永 清滋  at 2007年09月20日(Thu) 12:48

 初歩的なことで申し訳ありませんが、確認の意味で質問をさせて下さい。
 「就労継続支援B型」ですと訓練等給付費が発生すると思うのですが、これについては支援費と同様法人税課税で申告の必要あり、と考えていましたがこれについても 法人税法施行令第5条第2項の適用ありで申告不要なのでしょうか?
よろしくお願いします。
Posted by: 白石京子  at 2007年09月10日(Mon) 11:34

岩永さん

回答していただきありがとうございます。

岩永さんはこの分野では私たちの間では一番詳しいので、とても助かります

今後ともよろしくお願いします

Posted by: 脇坂誠也  at 2007年08月28日(Tue) 08:57

岩永様、お答えありがとうございます。実はNOPを取得して、初めての3月決算で、収益事業として法人税等を納税していたので、今回の件で慌てた次第です。税務署へ行って、相談してこようと思います。
Posted by: さとう  at 2007年08月24日(Fri) 23:38

 さとうさん、横から意見を述べます。公認会計士の岩永と言います。
 さとうさんの疑問は、「雇用型」の場合は明確な賃金なので該当するが、「非雇用型」の場合は賃金とはいえないので、この規定に該当しないのではないかとの不安だと思います。 
 実は明確な取扱はまだ明示されていないのが現状です。しかし上記の施行令に雇用関係がないとだめだとは書いていないので、私は該当すると考えています。
 工賃水準が低く「生活に資するとはいえない」という判断もあるかもしれませんが、法の趣旨からいって大丈夫ではないかと考えています。
 
Posted by: 岩永 清滋  at 2007年08月24日(Fri) 18:17

質問させていただきます。
NPO法人を取得して、「就労継続支援B型」で授産事業を行っていますが、例外措置にあたりますか?それとも「雇用型」の施設の障がい者が働いている場合でしょうか?
Posted by: さとう  at 2007年08月24日(Fri) 16:27