2020年05月24日(Sun)
特別定額給付金と寄付C
個人への一人10万円の特別定額給付金を寄付した場合の課税上の取り扱いについてみています。
寄付先として、以下の3つに分けてみています。 (1) 一般社団・財団法人、認定をうけていないNPO法人、宗教法人などの非営利法人や、経営に窮している株式会社や個人に寄付をする場合 (2) 公益社団・財団法人、認定NPO法人、社会福祉法人などに寄付をする場合 (3) 地方公共団体へ寄付をする場合 今回は、地方公共団体へ寄付をした場合についてみていきます。 |
1.地方公共団体への新型コロナ対策の寄付 地方公共団体も新型コロナ対策の寄付を集めている例がたくさんあります。 大阪府は、吉村知事も呼びかけをしている「新型コロナウイルス助け合い基金」を設置していますので、それを例に説明します。 大阪府のHPでは、「新型コロナウイルス助け合い基金」について、以下のように説明されています。 「新型コロナウイルス感染症は全世界において感染が拡大しています。大阪府においても、感染経路が不明の患者など、感染の拡大が続いています。 大阪府内の医療機関等においては、感染者や感染の疑いのある患者への医療や療養等にあたる医療従事者等が、昼夜を問わず、自分の感染リスクへの不安を抱えながら業務を行っています。 新型コロナウイルス助け合い基金は、こうした新型コロナウイルス感染症に関する医療及び療養に従事される皆さんを支援するための基金です。」 http://www.pref.osaka.lg.jp/kenisomu/coronakikin/index.html 寄付の申し込み状況をみると、5月20日現在で、20億円以上の寄付が集まっているようです。 2.地方公共団体へ寄付した場合の税制上の優遇措置 特別定額給付金を大阪府の「新型コロナウイルス助け合い基金」へ寄付をした場合には、ふるさと納税の適用を受けます。 ただし、返礼品はありません。 特別定額給付金10万円を大阪府の「新型コロナウイルス助け合い基金」に寄付をした場合の課税上の取り扱いは、以下の通りです(2,000円の足切り金額、復興税は、省略します) @ 10万円×税率分が、その人の納める所得税から控除します。 所得税は国に支払う税金です。ふるさと納税は、まず、寄付をした金額について所得税で所得控除方式の寄付金控除が適用されます。 税額控除の適用はありません。 今回は、税率(限界税率)が20%の人と仮定します。 そうすると、10万円×20%=2万円が所得税額から控除されます。 ただし、所得税を支払っていない人や税額が少ない人の場合には、全額が控除できないケースもあります A 10万円×10%=1万円が、個人住民税から控除されます。 これは住民税の基本の控除分で、ふるさと納税以外でも適用があります。 B 10万円×(100%−20%−10%)=7万円が個人住民税から控除されます。 これがふるさと納税の特例です。 <ふるさと納税について(総務省)> https://www.soumu.go.jp/main_content/000254924.pdf 従って、特別定額給付金10万円の全額を大阪府の「新型コロナウイルス助け合い基金」に寄付をした場合には、2万円が所得税から、8万円(1万円+7万円)が寄付者の住む地域の住民税から控除されるため、結果的に負担は生じません。 つまり、特別定額給付金10万円を大阪府の基金に寄付をするという行為に対しては、2万円は国が、8万円は自分が住む自治体が補助をするということになるのです。 3.ふるさと納税の注意点 ただし、上記のBのふるさと納税の特例を使う場合には注意が必要です。 この特例部分(今回の例だと7万円部分)については、本来その地域に支払う住民税の所得割額の20%が限度になっています。 特にふるさと納税をすでに使っている方や、これから使おうと思っている方については、今回の寄付も合わせて限度額が計算されますので、例年のつもりでふるさと納税をしたら、限度額を超えてしまう、ということも考えられます。 もっとも、仮に超えたとしても、所得税の部分(@)と住民税の基本部分(A)は控除を受けられますので、それでも戻ってくる部分はあります。 もちろん、大阪府の基金に寄付をした場合でも、確定申告をしなければ、戻りはありません。 |