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2007年05月23日(Wed)

消費税の免税事業者
 昨日、日経の記事の「公益法人の収益事業課税強化」の記事を紹介したら、すごい反響がありました。

 過去最高のアクセスで、一日1000アクセスを突破しました!
 
 人気ブログランキングの会計・経理部門と、Canpan(公益活動のブログ)のブログランキング個人部門で両方とも1位になりました。

 初めての経験です。ありがとうございます。

 別にご褒美があるわけではありませんが、やっぱりうれしいものです。

 どれだけNPOの方の役に立っているのか、よくわかりませんが、今後も継続していきますので、よろしくお願いします(6月以降がちょっと怖いです)
 
 3月決算のNPOの決算時期ですので、NPOの決算に関係しそうな項目を書いています。

 今までは、所轄庁へ提出する決算書と法人税の申告書について書いてきましたが、今回から消費税の申告書について書いてきます。

 今日は、

@消費税を申告する必要があるのかどうかの判断基準と

A免税事業者の場合に消費税を徴収してもいいのかどうか


ということについて述べたいと思います

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1. 消費税の納税義務者

 消費税は基準期間の課税売上高が1000万円以上である場合に納税義務があります。

 基準期間とは、通常は2期前のことです。

 19年3月決算のNPO法人なら、事業年度を変更していない限り、17年3月期のことです。

 課税売上高とは、消費税が課税される売上(収入)のことです。

 大雑把に言えば、2期前の消費税が課税される収入が1000万円以上なら消費税を納めなければいけないということです。

  今期の収入が100万円しかなくても、2期前の課税売上高(消費税が課税される収入)が1000万円以上ですと、今期も消費税を納める必要があります。

 逆に言えば、2期前の消費税が課税される収入が1000万円未満なら、極端に言えば、今期の収入が1億であったとしても、消費税を納める必要はない、ということです。


 そして、消費税を納める必要があるかどうかは、法人税が課税されるかどうかとは、まったく関係がありません

 法人税の収益事業を行っていなくても消費税を納税する義務があるNPOはたくさんありますので、注意してください



2. なぜ基準期間で判定するのか

 なぜ今期の収入ではなく、2期前の基準期間の収入で判定するのでしょうか?

 「会計年度が始まる前に消費税を納める必要があるかどうかがわからないと困るから」です。

 もし、今期の収入で消費税を課税するかどうかを判定するとしたら、年間収入(消費税が課税される収入)が1000万円前後のNPOでしたら、今期が終わってみないと消費税を納めるかどうかがわかりません。

 これでは、計画も立たないし、料金設定をするにも困るわけです。
 
 それなら前期の収入で判断すればいいと思いますが、前期の収入がいくらになるのかは、期首の段階では通常わかりません。

 例えば、19年3月期の消費税が課税される収入がいくらになったのかを、19年4月1日の段階でわかっていたかというと、多くのNPOはわかっていなかったと思います。
 
 決算をしてみて、あるいは集計をしてみて、4月か5月になってからわかるというのが通常だと思います。

 期首の段階で、消費税が課税されるかどうかがわからないと困るわけです。

 そこで、2期前の課税売上高(消費税が課税される収入)で判断するのです



3. 免税事業者は消費税を徴収すべきか

 消費税を納める必要のない団体のことを「免税事業者」といいます。

 迷うのが、「免税事業者」であれば消費税を徴収してはいけないのだろうか?ということです。

 例えば、冊子を作成した場合に、1冊500円で販売しようとしたとします。

 消費税をとれば525円です。

 しかし、「自分たちの団体は消費税を納めていないのだから、消費税をとってはいけないのではないか」、と考えてしまうことがあります。

 消費税をとるかどうかは、その団体の判断なのですが、「免税事業者でも消費税をとっても全く問題ない」のです。

 もし、消費税が10%に上がったとします。

 免税事業者でも支払いをするときは消費税を払いますので、小冊子の作成料に税抜きで300円かかっているとすると、今まで315円だったのが、330円になるわけです。

 しかし、「免税事業者だから」ということで消費税をとっていないと、この消費税のアップ分を、NPOが負担することになってしまいます。

 1冊15円のコストアップになります。

 もちろん、この時点で5%分値上げするという方法も考えられますが、そうすると、最初に戻って「免税事業者だから消費税をとらない」という話と矛盾してきます。
 
 つまり、500円の冊子を525円で販売することで、25円分が儲かっていると考えがちですが、実際に儲かっている(これを「益税」といいます)のは支払いにかかった消費税15円を差し引いた10円分だけです。

 しかも、作成料以外にも、通信費や家賃や、その他いろいろ消費税を支払っていますので、益税はもっとすくないわけです。

 だから、免税事業者でも消費税をとってもいいし、まったくとらなかったら逆に不利になってしまうのです。

 消費税率がアップしたときのことを考えればわかりやすいですよね。
 
 購入する側の立場に立てば、消費税の免税事業者から購入するのか、課税事業者から購入するのかはまったく関係がありませんので、免税事業者なのに消費税をとったとしても、購入者(消費者)に不利になることはありません。

 たまに「あなたのところは消費税を納めているとは思えないのに、消費税を請求するのはおかしい」と言う人がいますが、考えてみれば、同じ商品を、売る側が免税事業者からなら安く買えるという理屈は、消費者側からはむしろおかしいです。

 消費税の課税事業者になった時点で、消費税分を値上げするというのも、逆に消費者側からは理解を得られにくいのではないでしょうか(一般の消費者は消費税の仕組みなど知りませんので)

 免税事業者が消費税をとれば益税が出るのは間違いないので、あとはその団体の判断によります。



4. 設立1期目と2期目 

 消費税が課税されるかどうかは2期前の課税売上高で決まると言いました.

  従って、設立1期目と2期目は収入がいくらあっても免税事業者です。

 任意団体から事業を引き継いでいたとしても、税法上は別の団体ですので、関係がありません。

 3期目は、1期目の課税売上を見て判定するわけですが、計算に注意が必要です。

 設立1期目は会計期間が1年未満である場合がほとんどと思います。

 その場合には、1会計年度の課税売上高が1000万円以上かどうかでで判定するのではなく、課税売上高を1年単位に戻さなければいけません
 
 例えば、設立1期目が4月しかないNPOで、設立1期目の消費税のかかる収入が400万円である場合には、400万円×12月/4月=1200万円と考えます。


<参考>
タックスアンサー

消費税簡単フローチャート
 

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