2020年01月04日(Sat)
箱根駅伝と寄付
正月は、今年も箱根駅伝をずっと見ていました。
わが母校の早稲田大学はかなり健闘して、7位でした。 個人的には、9区を走った新迫選手がいい結果だったのがうれしいです。 エリートで早稲田に入って、すごい期待されて大学に入ったのに、ずっと結果が出なかったのですが、あきらめずに続けてきたのが、最後にいい結果につながったのではないかと思い、とても勇気づけられました。 箱根駅伝は、すごい人気ですが、これだけ人気だと、箱根駅伝の応援のために寄付をしたいと思う人はいないだろうか、と思います。 そこで、今日は、箱根駅伝の応援をしたいので、寄付をしたいと考えた場合の課税関係について、整理してみることにします。 |
1. 大学に寄付をする場合 最近は、箱根駅伝に活動に充てるということで大学が寄付を募る例が多いようです。 今年久しぶりに箱根駅伝に出場した、筑波大学がクラウドファンディングで寄付を集め、夕食の提供や合宿へのスポーツトレーナーの帯同が可能になったと報告されたそうです。 https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/102900812/ 大学に寄付をする場合には、寄付された方は、国立大学、私立大学のいずれでも、寄付金控除が受けられます。 もらった側の大学も非課税です。 2. 生前に大学のクラブに寄付をした場合 それでは、大学のクラブに直接寄付をした場合はどうでしょうか? 例えば、箱根駅伝に感動して、「陸上部の駅伝強化費に使ってほしい」と思って、大学のクラブやOB会などに、直接寄付をするような場合です。 私は、早稲田大学の応援部の出身ですが、応援部は大学とは独立した会計を持っていますので、任意団体です。 また、応援部のOB会というのもあって、応援部の活動の支援などをしていますが、これも任意団体です。 外部の人だと難しいかもしれませんが、OBや関係者であれば、直接クラブ活動に寄付をしたいと思う人もいるかもしれません。 そのほうが、大学に寄付をするよりも、手ごたえもあるように思います。 任意団体への寄付は、大学への寄付とは違い、寄付した側に、寄付金控除はありませんが、寄付者に課税されることもありません。 それでは、受ける側のクラブはどうでしょうか? 任意団体への生前寄付は、原則として贈与税の対象になります。 その任意団体の活動に公益性が高い場合には非課税になるケースもありますが、大学のクラブ活動はなかなか公益性互い活動としては認められないと思いますので、贈与税がかかると考えた方がいいかと思います。 ただし、贈与税は、110万円まで非課税なので、生前の寄付であれば、110万円まで非課税です。 従って、110万円までの寄付であれば、税金のことは考えずに寄付をされていいかと思います。 税理士の方が作っている任意団体で聞いた話ですが、その任意団体の会員の方が、その団体に寄付をする際には、110万円以下にするように注意をしているそうです。 3. 遺贈寄付ならどうなるのか? 生前寄付だと、110万円まで非課税でしたが、遺贈寄付ならどうでしょうか? 例えば、自分が死んだら、箱根駅伝で活躍している母校の陸上部のクラブに寄付をしたい、というような場合です。 遺贈寄付場合には、贈与税ではなく、相続税になります。 任意団体は、相続税上は個人と同じ扱いなので、原則として相続税の対象になります(相続税法66条1項) 従って、任意団体に遺言で寄付をした場合には、任意団体である、クラブに相続税が課税される可能性があります(寄付される方の財産が相続税の基礎控除以下などの理由で相続人にも相続税が課税されないような場合には、任意団体にも課税はありません)。 もし相続税が課税される可能性があるような場合には、生前に少しずつ寄付をされたほうがいいかもしれません。 一方で、大学に遺言で寄付をする場合には、学校法人などの法人は、相続税の納税義務者にならないので、相続税は課税されません。 また、遺言による寄付ではなく、相続人が、相続でもらった財産から寄付をする場合であっても、相続税の申告期限までに寄付をすれば、相続税は非課税になります。 |