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«みなし寄附金C | Main | 第4回 遺贈寄付サロン(さわやか福祉財団 清水理事長)»

2019年12月05日(Thu)

連続して収益事業申告をしていない場合の繰越欠損金の扱い
国税庁の質疑応答に、新しく、

NPO法人において収益事業を行わない事業年度が存在する場合の「連続して確定申告書を提出している場合」の意義

というのが出ました。

このテーマ、私が理事長をしているNPO会計税務専門家ネットワークのメーリングリストで、3年前に大議論になったテーマで、これが、今回、質疑応答として出ましたので、ご紹介と解説をします。

http://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/16/07.htm


<照会要旨>

NPO法人A会(3月決算、×2年3月期から青色申告法人。以下「A会」といいます。)は、特定非営利活動促進法により設立された特定非営利活動法人であり、法人税法上の公益法人等に該当し(法法2六、特定非営利活動促進法70 )、×2年3月期から法人税法第2条第13号に規定する収益事業を開始しています。

A会は、×2年3月期において、同法施行令第5条第1項第31号に掲げる駐車場業を行い、欠損金額30万円が生じたことから、×2年5月31日、所轄税務署長に対し欠損金額及び翌期へ繰り越す欠損金額を30万円と記載した法人税確定申告書を提出していますが、×3年3月期及び×4年3月期においては、収益事業を行っていないことから、確定申告を行いませんでした。

当期(×5年3月期)において、A会は、同項第1号に掲げる物品販売業を行ったため、申告義務が生じますが、繰越欠損金控除前の所得金額は200万円となる見込みです。

A会は×3年3月期及び×4年3月期の確定申告を行っていませんが、このような場合であっても、法人税法第57条第10項に規定する「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当し、A会は当期の確定申告において、×2年3月期に生じた欠損金額30万円を損金の額に算入できると解してよろしいでしょうか。

事業年度

×1年3月期 申告 無

×2年3月期  申告 有

×3年3月期 申告 無

×4年3月期 申告 無

×5年3月期 申告 有



<解説>

照会の内容は、

×2年3月期に、収益事業を行って、赤字が出て、欠損金の繰越をする申告書を提出していた

×3年3月期、×4年3月期は、収益事業がなく、合法的に申告をしなかった。

×5年3月期は、収益事業を行って収益事業が黒字になった。

この場合に、×2年3月期の欠損金を、×5年3月期の黒字分と相殺できるのか、という話です。

なぜこのことが問題になってくるかといえば、繰越欠損金をその事業年度の黒字から控除する条件として、法人税法第57条第10項には、「欠損金額の生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り適用する。(一部省略)」とあるからです。

つまり、×3年3月期と×4年3月期に、申告をしていなかったということは、57条10項をそのまま素直に解釈すれば、「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当しないということになります。

そうすると、×5年3月期の黒字分には欠損金の繰越控除は使えません。

しかし、×3年3月期と×4年3月期に申告をしなかったのは、合法です。

申告しないのは合法なのに、申告しなかったから欠損金の繰越控除が使えないのか、という疑問があるわけです。

それに応えたのが今回の質疑応答です。


<回答要旨>

当期の確定申告において、×2年3月期に生じた欠損金額30万円を損金の額に算入することができます。

(理由)

公益法人等は、収益事業を行う場合に納税義務があり(法法41)、各事業年度の収益事業から生じた所得について法人税を課されることとされています(法法7)。したがって、A会が収益事業を行わない場合には、各事業年度の所得に対する法人税の申告義務がないこととなります。

法人税法第57条第10項では、内国法人が欠損金額の生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り繰越欠損金の損金算入を適用する旨規定されています。これは、無申告の事業年度がある場合には、それ以降の事業年度において欠損金の繰越及び損金算入を認めないとするものであり、同項に規定する「その後において連続して確定申告書を提出している場合」とは、各事業年度の所得に対する法人税の申告義務がある事業年度において内国法人が連続して確定申告書を提出している場合であると考えられます。

したがって、A会が収益事業を行っておらず、各事業年度の所得に対する法人税の申告義務がない事業年度において確定申告書を提出していなくても、申告義務がある事業年度において確定申告書を提出している場合は、法人税法第57条第10項に規定する「その後において連続して確定申告書を提出している場合」に該当することとなります。



<解説>

回答要旨は、×5年3月期の所得について、×2年3月期の繰越欠損金を使える、というものです。

×3年3月期、×4年3月期は申告をしていないが、申告義務がある事業年度では申告をしているので、「連続して確定申告書を提出している場合」に該当するとしています。

57条10項は、確定申告の無申告を想定しており、収益事業がないために申告をしないことなどは想定せずに作られた条文であったと思います。

条文からは読み取れない部分を質疑応答でカバーしたものと考えられるのではないかと思います。

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