1. 前提 まず、話の前提として、
期中は現金出納帳と預金出納帳しか記帳していないということでした。
普段から月末に未払金を計上している場合にはわざわざ決算のときに未払金を計上する必要はないからです。
この際に、気をつけることは、前回の未収金のときも同様なのですが、
前期に貸借対照表に計上した「未収金」や「未払金」は、今期の前半で、実際に入金になったり支払ったりしたときに「○○収入」「○○費」とせずに、「未収金」「未払金」とする、ということです。
つまり、決算の前には未収金や未払金は0円になっているということです。
たまにみかけるのは、前期に未払金に計上しているにもかかわらず、今期に支払ったときは「○○費」のように計上していて、未払金が決算のときに残っているような場合です。
このような場合には、支払ったときには、「○○費」などで計上しているでしょうから、それを「未払金」に修正し(修正の仕訳をする)未払金を一旦0円にする必要があります。
もちろん、前期に未払金に計上してるが、まだ支払っていないものがあるときは、未払金は残りますので、0円にはなりません
2. 未払金の計上基準 未払金とは、
すでに物は購入しているが、あるいはサービスは受けているが、支払は4月以降(3月決算前提)に行われるような場合に、今期の支出に計上するものです。
もしこのような支出を「未払金」としないとどういう問題があるでしょうか?
3月中に講座を開催し、講座の収入などは現金で受取っているので収入に計上しているが、会場費や講師料などは4月になってから支払っている場合に問題になります。
未払金を計上しない(現金出納帳や預金出納帳だけを記帳をする)と、この会場費や講師料が今期の収支計算書の支出の部に計上されないことになります。
活動は終わっており、収入は計上されているのに支出だけが計上されていないと、収支計算書が活動の実態を表さないことになります。
3.決算時の仕訳 このような場合には、会場費や講師料を収支計算書の支出の部に計上するとともに、未払金を貸借対照表の負債の部に計上します。
振替伝票などで(借方)(会場費)×××円(貸方)(未払金)×××円などと記帳をします。
会計ソフトを使っていれば、振替伝票と選ぶところがあると思うので、そこでこのような仕訳を入力します。
現金や預金に関係しない取引なので、「仕訳」が必要なわけです。
この「仕訳」が簿記の知識のない人には難しいですが、未払金や未収金の仕訳くらいは覚えてください。
(未収金の場合には(借方)(未収金)×××円(貸方)(○○収入)×××円のように、未収金と未払金が逆になります)
さきほどのべたように、
この会場費を4月以降に支払った場合には「会場費」ではなく「未払金」としますので注意してください。
4.電話代や水道光熱費は未払計上すべきか 必ず未払いが生じるものとして電話代や電気代などの水道光熱費があります。
3月分の電話代や3月中には支払わないですよね。
これらを未払い計上すべきでしょうか?
これはその法人の判断ですが、会場費や講師料とは違い、
電話代や電気代などは毎月発生するものですので、かりに3月分の電話代を未払計上しなくても、逆に前期の3月分の電話代を4月以降に支払っているので今期の支出に計上されていますので、未払計上しなくてもあまり影響はありません。
ただし、1年目は影響が出ますし、法人税の申告がある場合には、未払い計上したほうが有利になるので、未払い計上する例も多いと思います。
5.未払金と未払費用の違い たまに質問されるのが
「未払金」と「未払費用」の違いです。
あまり気にしなくてもいいのではないかと思うのですが、正確に言うと
、「未払費用」は、「継続的に役務提供(サービス)を受けるもの」に対する未払分です。
たとえば電話代、電気、ガス代などが典型です。
それに対して、会場費や講師料は「継続的に受けるサービスに対する支払ではありません」ので「未払金」になります。