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「グリーン経済」として木材利用が注目されていますが [2012年07月06日(Fri)]
6月29日(金)に開かれたシンポジウムは木質バイオマスが「グリーン経済」の主役として注目されているとの報告があり、今後、木材を活用するための方法や留意点を様々な視点から話し合われ、なかなかに刺激的なパネルディスカッションでした。

生産→加工→流通→消費 のあらゆる場面での「構造転換・意識転換」が必要だと強く感じました。

木で発電するにしても、大量な木材を集めるために大面積を皆伐したのでは逆効果。
公共の建築物を木で作ろうとすると難燃処理が不可欠で、薬剤や人工樹脂で加工した木材は、工業製品と化し、何のための木材利用かとも思いました。

さわってやわらかい・暖かみがある、良い香りがする、呼吸する(吸湿したり排湿する)などの特性は、木が多孔質であるからです。ただ、その特性は燃えやすいとか、反る・割れる・狂うなどの性質とも結びつきます。いくら木が良くても、狂ってしまってドアが閉まらなくなるとか、ひびが入ってすきま風が吹くのはやっぱり嫌でしょう。でも、ちょっとカンナをあてたり、漆喰で埋めれば良いと割り切れば、木材の利用は無限に広がります(ちょっと大げさ)。

でも、効率的に大量生産しようとすると、工業製品のように規格化されていないと扱いにくい。そもそも、昔の家のように、曲がった木材を利用して梁(はり)を作ったりできる職人的な大工がそんなにいるわけもないので、結局はまっすぐでツルツルでピカピカに加工された木材しか流通ルートに乗らない。流通ルートに乗らないから加工する人もいない、という循環が成り立つ。

私たちも、流通ルートに乗っているものだけを「買わされる」だけでなく、自分の美意識とか価値観で商品を選ぶことができれば、曲がった木で作った家に味があり、壁や床にひびが入っても、それを許容し、むしろ、そのような特性を大切にした家具を使い、家に住みたいと思うようになるのではないかと思いました。

それから、蛇足を加えるならば、木質バイオマスの利用も「地産地消」が良いなぁ、ということでしょうか。
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