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市民セクターの価値を高めるために、意思決定過程への参画を制度化すること [2012年06月28日(Thu)]
2012年6月26日に横浜で開催された、イギリスの協働の最新動向をテーマとしたセミナーに参加した感想の続きです。

イギリスのNPO(“チャリティ”と呼ぶのが英式ですが、この記事ではNPOで統一します)の財源は民間からの寄付が大きいのかと思っていました。確かに、寄付の占める比率は高いのですが、公的資金の比率もかなり高いのです。もともとイギリスには「公共サービスは行政の役割。市民セクターは行政の代わりをしているのだから、行政が資金を出すのは当たり前」という考え方があるからだそうです。

中でも特徴的なことは、アンブレラ組織※に対しても資金を提供していることです。アンブレラ組織の大きな役割は「リプレゼンテーション=代表」。参加団体の利害を調整し、意見を集約して行政機関等との交渉にあたる組織です。「NPOの意見を集約する」機能を持つNPOは、日本には存在しにくいのですが、イギリスでは重要な役割を担っているのです。何かことがあると市民セクターの代表と議論し、意思決定しなければならないという制度があるためです。この制度に実効性のあるものとするためには、リプレゼンテーション機能を持つ中間支援組織が必要だということなのでしょう。

同じような仕組みがドイツにもあると聞いたことがあります。環境保護団体で一定の条件をクリアした者は、連邦政府か州政府がパートナーとして認証します。パートナーに認証された団体は、法制度に係る重大な決定あるいは、事業計画の初期段階で資料の閲覧権と意見表明権が与えられるというものです。NPOが力を発揮するには、そのための仕組み・制度がセットになっていることが重要であることを物語っているように思います。

ところが、イギリスでも最近は、市民からの意見を聴取するときにNPOを介在させるのでなく、行政が直接公聴会的な集まりを持つことが増えてきた、とおっしゃっていました。その方が「効率的」だという理由だそうです。NPOが介在することのメリットは、効率ではありません。公聴会などの場で「一個人として」意見を表明できない人も大勢います。気の弱い人もいるでしょう。重い病気を抱えている人、障がいをもった人など、そのような場があっても出席さえできない人もいるはずです。そのような人たちの声を吸い上げ、意思決定過程に反映させることがNPOの役割のはずです。イギリスの市民参加が後退しているのではないか、という印象を持ちました。

(この項目はさらに続きます)

※「中間支援組織」の一形態。イギリスでは「中間支援組織」の役割は下のように整理されるという。
(1)代表(リプレゼンテーション)
(2)力量形成(キャパシティ・ビルディング)
(3)仲介(リエゾン)
(4)調査・研究(リサーチ)

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