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10/25「雇用した時の手続き」講座開催しました! [2017年10月25日(Wed)]
こんにちは
研修生の川上と申します。

本日10月25日(水)、名古屋市NPOアドバイザー専門講座「NPO・雇用した時の手続き」(主催:名古屋市、企画運営:ボランタリーネイバーズ・ボラみみより情報局共同事業体)が名古屋市市民活動推進センター内集会室で13:00から14:00まで開催されました。今回講師として、社会保険労務士及び行政書士として活躍されている加古朗氏をお迎えし、私は運営スタッフとして本講座に参加させていただきました。
本講座ではNPO法人が人を雇う際に必要となる様々な手続きや注意点について、細かく解説していただきました。

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講座の構成としては、雇用時の3つの観点である「税金」、「保険」、「社内手続き」を軸に展開され、まず講座を開始するにあたり、ボランティアと通常の労働者では異なる点について雇用の側面からお話いただきました。

通常の労働者の場合、会社側と雇用契約を結ぶ関係上、双方に様々な法的制約が発生します。具体的としては、賃金や勤務時間、指揮命令権などが関係してきます。
しかしボランティアの場合、その関係は委託契約や請負契約に近いとされていますが、指揮命令に従う義務がない点や当事者の都合により従事する日が決まる点などから雇用契約ほどの拘束力はありません。

このように形態が大きく異なる以上、法人として一般の労働者とボランティアの管理を明確に分ける必要があります。例えば、同一人物が平日は有給の職員(労働者)として勤務し、土日はボランティアとして活動している場合には注意が必要です。賃金台帳や給与明細など雇用に関する書類を労働者分とボランティア分で明確に分けておかないと労働基準監督署より指摘を受ける恐れがあるからです。

この前提を踏まえた上で、本題である雇用時の手続きに関して具体例を基にご説明いただきました。

まず始めに税金に係る手続きについてお話がありました。雇用を行う上で注意すべき税金は主に「所得税」と「市県民税」の二つです。所得税については、特に年末調整の際の扶養控除申告書の提出の有無により源泉所得に係る税金が大きく変わってくるため、甲欄に該当する場合には必ず提出が必要となります。

一方、市県民税(住民税)で覚えておきたいのは特別徴収への切り替え処理です。いわゆる給与天引きである特別徴収を行う際に必要な特別徴収切替依頼書ですが、これは会社の所在地ではなく、労働者の住居を管轄する行政への提出となるので注意が必要です。

税金に関する手続きは労働者個人に関わる大きな問題ですので、適切な税手続きを行うことは法人運営上での基本事項です。
また、行政職員としては、このように税手続きに多くの手間を労している雇用者の方々に少しでもご納得いただけるように職務にあたりたいと強く感じました。

続いて2つ目に保険についてご説明がありました。雇用に関わる保険としては、労災保険、雇用保険、社会保険の3つが存在します。労災保険についてはボランティアや理事長など役員は保険の対象外ですので、法人としてボランティアには危険を伴う作業には従事させないよう配慮することが求められます。
雇用保険については週20時間以上就労予定がある者については加入させる必要があります。労災保険と異なり、雇用や退職の度に手続きが必要となるため注意が必要です。

3つ目の社会保険については中でも特に重要で、常勤職員及びパートタイマーで常勤職員の4分の3以上就労する職員の雇用については加入が義務づけられています。社会保険料はその負担額も大きいことから、雇用者の処理ミス等による労働者の加入漏れがある場合には深刻なトラブルになる発展する可能性があります。労使双方の不利益にならないよう、適切な処理の重要性についてご説明がありました。

引き続いて、3つ目の主題である社内手続きについて解説していただきました。
マイナンバーや基礎年金番号、資格証明書など、雇用側が労働者から集めるものは数多くあります。
これに対して雇用側が作成する書類という観点からは、法定3帳簿(労働者名簿・出勤簿・賃金台帳)と労働条件通知書についてお話がありました。前者の帳簿は行政からの助成金受け取りの可否に大きく関わり、後者は雇用者が労働条件を労働者に通知するものです。両者とも作成が法的義務であり、同時に労務トラブル防止のために必要なものですので、必ず作成しておく必要があります。

また、実際に採用を行う段階での注意点についても説明がありました。
数回程度の面接でその人の本質や仕事に向いているかを判断するのは至難の業です。採用後に仕事のミスマッチや健康問題などが起こることも十分に考えられるため、雇用者としてこのようなトラブルを回避する必要があります。
具体策として、面接時に予め採用したい人物像のリスト化について説明がありました。これは明確な人物像を設定しておくことで面接での質問が容易となり、その人の仕事への適性度合を見極めやすくする利点があります。また、健康診断書の事前提出も面接時では聞きづらい健康状態の把握や雇用側の費用節減対策として有効な手段の一つです。

最後に、今回の講座を通じた個人的な感想について書かせていただきます。

率直な感想として、法人が雇用にあたり考慮すべき点は予想以上に多いなと感じました。
税金や保険関係はもちろん、採用後のトラブル防止のために雇用者が行うべきことは多岐に渡りまず。法人として活動していく上で労働者の適切な管理は必須事項ですが、事務処理のミスは予想外のトラブルを招く可能性があり、その回避のために準備することの重要性を知ることができ、大変参考になりました。

適切な労務管理により、雇用者は安心して働くことができます。本講座は今後NPO法人を始めとする雇用者の方々にとって、労務管理の重要性を考える上で大変有意義な講座だったと思います。

                         (情報発信チーム 川上)
タグ:労務
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