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居場所づくりの構想はある。でも、僕らが創りたい居場所は少し違う。 [2026年08月06日(Thu)]
障害当事者団体ベクトルズ 代表理事の内田貴之です。

先ほど、会員の蓬生さんのコラム記事の中で「障害当事者団体ベクトルズの目指す先は居場所づくりではない」という表現がありました。それは現在の活動としては、その通りです。

ですが、僕の頭の中には以前から、ひとつの構想があります。それが「居場所づくり」です。ただし、一般的に語られる居場所とは少し意味が違います。

障害当事者団体ベクトルズが将来的に創りたい居場所は、「安心して過ごせる場所」だけではありません。僕が思い描いているのは「居場所 × チャレンジ × 社会還元」この3つが一体となった居場所です。

障害当事者団体ベクトルズは、自助会でも支援団体でもありません。そのため、「困っている人を支援する」という活動を目的にはしていません。ここだけ切り取ると冷たく聞こえてしまうかもしれませんが、そういう意味ではありません。嚙み砕くなら「受け身として支援を受ける場所ではない」ということです。

「こんなことをやってみたい」
「こんな企画を考えた」
「こんな夢に挑戦してみたい」

そう思った時、その実現に向けて仲間同士で知恵を出し合い、力を合わせて前へ進んでいく。僕たちが大切にしているのは、そのような主体性です。だから、障害当事者団体ベクトルズでは「支援する・支援される」という関係ではなく「一緒に創る」という関係を何より大切にしています。

もちろん、人には得意なことも苦手なこともあります。だからこそ、自分ひとりでは難しいことを仲間が手伝うこともあります。でも、それは「何でも代わりにやってあげる」という支援ではありません。(※話が逸れますが「代わりにやってあげる」は正確に言うと支援ではなく援助です)

挑戦する本人がいて、その挑戦を仲間が応援する。その積み重ねによって、一人ひとりの経験やスキルが少しずつ増えていく。僕は、それこそが障害当事者団体ベクトルズらしい在り方だと思っています。

そして、もうひとつ大切にしたいことがあります。それが「社会還元」です。僕は以前から「社会貢献」という言葉よりも「社会還元」という言葉を好んで使っています。社会に対して何かを与えるというより、自分自身が歩んできた人生や経験、身につけてきた知識やスキルを、今度は誰かの役に立つ形で循環させていく。そんなイメージです。

障害当事者だからこそ見えている景色があります。障害当事者だからこそ語れる経験があります。その経験は、自分だけのものにして終わらせるのではなく、次の誰かへ繋いでいくことができる。それが、障害当事者団体ベクトルズの考える社会還元です。

僕は最近、特別支援学校や特別支援学級を卒業した18歳以上の障害当事者の居場所について考える機会がありました。学校を卒業すると、それまであった「仲間と過ごす場所」が急になくなってしまう方も少なくありません。だからこそ、将来的には障害当事者団体ベクトルズも、そうした方々が安心して集まり、自分の「やってみたい」を形にできる場所になれたらと思っています。

ただし、それは福祉サービスでも、支援施設でもありません。障害当事者同士が、お互いの経験を活かしながら学び、挑戦し、その経験をまた誰かへ還元していく。そんな循環が生まれる場所です。

今は、まだ構想の段階です。実現するのが数年後になるのか、もっと先になるのか、それは分かりません。でも、障害当事者団体ベクトルズが目指しているのは、単なる「居場所」ではありません。居場所があるから挑戦できる。挑戦するから経験になる。経験が誰かの力になり、社会へ還元されていく。そんな循環が生まれる場所を、いつか仲間たちと一緒に創りたい。

それが、今、僕の頭の中にある「居場所づくり」の構想です。

以上
障害当事者団体ベクトルズ
代表理事 内田貴之
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