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漫画『みいちゃん』アニメ化について当事者を代表してコメントします [2026年07月30日(Thu)]
障害当事者団体ベクトルズの内田貴之です。久しぶりに自分のコラム記事を執筆しました。テーマは現在、SNSを中心に賛否が沸騰している漫画『みいちゃんと山田さん』のTVアニメ化についてです。先日、障害当事者団体ベクトルズの公式Twitterでも短文ですが「表現」を論点にして意見を述べました。コラム記事では、論点を「「十人十色」を伝え続けることが、私たちの役割ではないか」としていきたいと思います。

さて、現在、漫画『みいちゃんと山田さん』のTVアニメ化を巡り、オンライン署名やSNS上で様々な意見が交わされています。中でも多く見られるのが「知的障害者や発達障害者に対する偏見を助長するのではないか」という懸念です。

私は知的障害当事者の1人として、そのような心配の声が上がること自体は理解できます。障害を題材とした作品が世に出るたび「誤解を招くのではないか」「偏見を強めるのではないか」という議論は、これまでも何度も繰り返されてきました。

しかし、障害当事者団体ベクトルズとしての私たちの考えは少し異なります。

私たちは日頃から「障害者という人間も、障害の特性や症状の強弱も十人十色である」ということを発信し続けています。今回の作品では、発達障害のある主人公や、知的障害のある登場人物たちが描かれています。作品中で描かれる行動や生き方に違和感を覚える人もいるかもしれません。しかし、世の中には様々な人生を歩む障害当事者が実際に存在します。

だからといって、その作品に登場する人物像が「障害者全体」を表しているわけではありません。それは、医師を主人公にした作品を観たからといって「医師は皆こういう人だ」と考えないのと同じことです。教師、警察官、政治家、会社員…、どの職業でも、1人の人物像がその集団全体を表すわけではありません。

障害者も同じです。1つの作品に描かれた人物像だけを見て「障害者とはこういう人たちなのだ」と考えること自体が、本来は誤った受け取り方なのです。もちろん、中には作品をきっかけに偏見を持つ人がいるかもしれません。

ですが、その可能性を理由に作品そのものを慎重に扱うことばかりを考えるよりも、私たち当事者や支援者が「障害者は十人十色である」という事実を社会へ伝え続けることのほうが、はるかに重要ではないでしょうか。

障害者には様々な価値観があり、様々な人生があります。それを1人ひとり伝えていくことこそが、偏見を少しずつ減らしていく最も現実的な方法だと、私は考えています。だから私は、今回の作品に限らず、障害者を題材とした作品が世に出るたびに「偏見を生まない作品であること」を求めるだけではなく「障害者は十人十色である」という現実を社会へ発信し続けることこそ、私たち障害当事者団体の役割なのだと思っています。

★追伸★
私が個人的に今回のアニメ化で最も興味を持っているのは「アニメ化そのものの是非」ではありません。むしろ、原作で描かれている性的描写や暴力的な描写を、テレビアニメという表現媒体でどのように描くのか、あるいは原作を尊重しつつも再構築した世界観として制作するのか、その表現手法に大きな関心があります。

漫画とテレビアニメでは、表現できる内容や演出方法が異なります。制作陣がどのような判断を行い、1つの作品としてまとめ上げるのか。そのクリエイティブな挑戦にも注目しながら、放送を見届けたいと思っています。

以上
障害当事者団体ベクトルズ
代表理事 内田貴之
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