解体職人か物流ドライバーか [2026年06月03日(Wed)]
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障害当事者団体ベクトルズのハルと申します。「解体職人か、物流ドライバーか。退院後の人生を考える」というテーマでコラム記事を書かせていただきます。
私は現在、アルコール依存症の治療のため、精神科病院で長期間の入院生活を送っています。前回のコラムでも触れましたが、今は治療に専念する日々です。働くこともできませんし、自由に外出することもできません。ですが、その一方で、これまで酷使してきた心と身体を休ませる時間にもなっています。 そんな入院生活の中で、最近よく考えることがあります。「退院後、私はどう生きていこうか」ということです。 私は若い頃、物流ドライバーとして働いていました。札幌から道内各地へ。時には本州まで。大型トラックを運転しながら各地を走り回る仕事でした。ところが不運なことに、免許取消処分を受けてしまい、その業界から離れざるを得なくなりました。 その後に飛び込んだのが解体工事の世界です。私は長年、解体職人として働いてきました。肉体的には厳しい仕事ですが、自分には向いている部分もありました。現場で汗を流し、建物を解体し、更地に戻していく。達成感もありました。 しかし、その一方で、この業界には残念な実態もあります。もちろん真面目な会社もあるのでしょう。ですが私が経験してきた範囲では、社長や社員、さらには請負先までも含めて、首を傾げたくなるような会社が少なくありませんでした。便利な作業員として使われるだけ使われる。身体を壊すほど働かされる。そして最後には給料未払い。そんな経験も一度や二度ではありません。私は長年、自分の身体を削りながら働いてきました。 だからこそ、退院後に再び解体職人として復帰する未来を想像すると、正直なところ複雑な気持ちになります。 そんな中、古くからの友人が声をかけてくれました。その友人は物流運送会社を経営しています。そして「うちに来ないか」と私を誘ってくれているのです。普通免許や大型免許の再取得費用についても協力してくれると言ってくれています。本当にありがたい話です。 物流ドライバーの仕事は、解体工事とは大きく異なります。基本的には一人で大型トラックに乗ります。関わる相手も、仕入先と届け先の担当者が中心です。やるべき仕事の流れも決まっています。私自身、その流れを身体が覚えています。大勢の人たちと足並みを揃えながら働くよりも、自分にはこちらの働き方のほうが合っているように思います。 ただし、問題もあります。その会社は北広島にあります。もし働くのであれば、北広島へ移住することが現実的になります。北広島は私の生まれ故郷です。まったく知らない土地ではありません。ですが、長年札幌で暮らしてきた今となっては、生活の利便性が変わることも容易に想像できます。 さらに近年は、エスコンフィールド北海道の開業によって周辺環境も大きく変化しました。家賃も以前より高くなっていると聞きます。仕事だけを考えれば魅力的な話です。生活全体を考えると迷いもあります。 さて、どうしたものか。 退院まではまだ時間があります。だから慌てて結論を出す必要はありません。しかし、気づけば時間というものはあっという間に過ぎていきます。のんびり考えているようでいて、実はそれほど余裕があるわけでもありません。 今の私は、人生の分かれ道に立っているような気がしています。解体職人として戻るのか。物流ドライバーとして再出発するのか。あるいは、まったく別の道が見えてくるのか。まだ答えは出ていません。 けれど、長い治療期間を無駄にはしたくありません。焦らず、しかし立ち止まりすぎず。退院後の人生について考えている、今日この頃です。 以上 障害当事者団体ベクトルズ 障害当事者会員 ハル |


