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2006年05月23日

福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会 5月度報告 1

福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会 5月度報告 1

一人くらしの老人への支援と見守り活動を通じて考える地域福祉教育

 
                   発表者:F市社会福祉協議会 Tさん

                    記  録: S市社会福祉協議会 TOさん

発表要旨


 K市では昭和55年度から57年度まで県社協のモデル事業で「地域の福祉を高めるアンケート」を実施し、住民から出た課題に対して小地域活動を展開した。

 昭和57年度から63年度までは「在宅福祉サービス」の課題発見と組織化、住民参加による 見守りが開始された時期である。「在宅高齢者生活ニード調査」から支部での課題を拾い出し、『一人暮らし老人の会作り』や『老人新聞の発行』『見守りチームづくり』を行った。

 老人の会は新しい仲間作りや精神的な支えとなり、支部社協にとっては在宅福祉の課題を明確にすることにつながった。また、老人新聞は情報提供よりも民生委員が訪問の手立てとして持っていき、見守り活動をすることに意義があった。さらに、見守りチーム作りは、ニーズの発見や地域住民が主体的に助け合う仕組みづくりに、さらに住民参加やボランティアの育成は支えあう体制作りとなった。

 昭和63年度から平成10年度までは、在宅福祉推進の時期で、特に見守り活動が安定的
に実施された時期である。

 その後、介護保険事業に参入をした。困難を抱える人をどこまで救えるのか、手がかかりはじき出された要援護者を救う最後の底の部分の役割を担う一方、赤字は出せないというジレンマに苛まれる。

 介護保険事業に手が取られる中、小地域活動は停滞し、本来の意義も忘れられつつあ
る。

 地域の人の中にも、その活動の本来的意義を伝えられる人がいなくなってきた。
 平成17年度はそのような形骸化しつつあるシステムの再構築をする時期である。

 すべての地域福祉活動をもう一度見直す必要性がある。


感想

○我々の社協にもこの実践の表面的な部分だけ真似た事業がありました。
しかし、その事業の意義までは受け継がれず、表面的には似ているものの、実際は
まったく違う事業になっていました。事業の意義や価値を受け継いでいくことの重要性を痛感
しています。

いつか、この研究会で、事業の意義や価値を伝えていけるような報告書が出せればいいですね。
posted by mk at 05:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 福祉教育

2006年05月13日

福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会 5月

 福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会を5月12日に川越で開催しました。
 
 1.一人くらしの老人への支援と見守り活動を通じて考える地域福祉教育

                    発表者:H市社会福祉協議会 Oさん  

 2.緩和ケア病棟 (P C U Palliative Care Unit)におけるボランティアの取り組み

                    発表者:埼玉県立ガンセンター P C U 
                         ボランティア       HKさん  


 内容はとてもまじめですが、会場と参加者の扮装は(??)とても楽しく、OさんとMさんを祝う会2次会もとてもよかっです。
posted by mk at 07:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 福祉教育

福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会 4月度報告 2

福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会 4月度報告 2 


テーマ:お荷物からの脱却〜サロン活動と福祉教育〜

発表者:H市社会福祉協議会 Oさん

記  録:ボランティア       Nさん


 市内のK地区の団地(UR都市機構 1972年入居開始)では、時がたつに
つれて高齢化も進み、自治会の参加世帯も5%となり、住民がバラバラという状
態でした。

 しかし、このことを危惧する民生委員より強い要望でサロンを開催することに
なりました。

 1998年に社協職員主導でサロンを開始したところ80名も集まったのです
が、しばらくすると参加者は5名程度という状態になりました。

 2000年にサロン参加者の意見により食事会を開くこととして、出す料理を
つくるサロンの協力員(ボランティア)に募って実施しました。

 そのうち、サロンの協力員は出す料理が褒められるなどで、ボランティアとし
ての目覚め、箸置を用意するなど食事会の工夫したりするようになりました。ま
た、サロン参加者も野菜をもちよったりして参加も増えてきました。

 2004年頃から、サロン参加者と協力員(ボランティア)がサロンの企画を
自主的に立てるようになり、たとえば、同じ音楽鑑賞のプログラムでも90歳の
三味線奏者を呼んでくるなどの「高齢者だってまだまだ」というような企画を実
施することになった。
 
 そして、今では参加者がサロンの自主財源の必要性を感じて、資源回収で資金
作りをしてサロン活動や旅行に使うばかりでなく、震災や社協に寄付をするとい
うまでになった。
 
 ここで社協職員は社協主導型のサロンを参加者の声を聞きながら、ボランティ
アが自主的に活動し、自ら学んだことをサロンに反映して、住民主体型のサロン
になるまで忍耐強く継続したところがすごいと思う。
 
 また、言うまでもなくこのプロセス全体が「地域福祉(社協活動)は、福祉教
育に始まり福祉教育に終わる」という意味での「地域福祉としての福祉教育」だ
と思います。


■Nさん感想

 高齢者のサロン活動は社協職員主導やコーディネーター主導になりがちで、住
民主体のサロン活動になるために各地でいろいろな工夫がなされていました。

 前にお話をお聞きした広島県社協では長年培った知恵とワザを紡いで「織人
(おりびと)」活動実施して、住民主体のサロンや小地域活動の担い手を意図的
につくることを行っていました。


「高齢社会がとかくマイナス的なイメージで語られる中で、「高齢とは、すなわ
ち人生経験豊富で地域のこともよく把握している層である」という点に焦点をあ
て、高齢社会を地域福祉の大きな力にしていこうというのが事業の趣旨です。

 高齢世代の人たちは、その人生の中で培ってこられた「ワザ」「知識」「知恵」
をもっておられます。それを地域の中で生かしていただくため、概ね60歳以上
の人を対象に、広島県を12ブロックに分けて各地域で2日のセミナーと体験学
習を行い、3年間で約350人が修了されました。
 この研修を通じて、それぞれの「ワザ」「知識」「知恵」を紡ぐきっかけを会
得されたみなさんを「織人−おりびと」と呼んでいます。

 (この研修は)地域ごとに行った2日間の研修では、「わたしの活躍プランづ
くり」と題して、受講者が地域に思い感じておられることを出し合い、地域の中
に「これが必要」と思うことと「これなら自分にできる」ということを講師の進
行によりワークシートに書き出しながら、地域で生き生きとした自分らしい活動
ができるプランに仕上げていくという内容で進めました。」

http://www.hiroshima-fukushi.net/cont_01/cont_01_005.html


 このような講習によって住民主体のサロンや小地域活動の担い手つくるという
やり方もいいとは思いますが、小さな場をつくる方がいいと思う。

 ちなみに、先期の日本ファシリテーション協会の東京研究会のテーマは「場づ
くり」のファシリテーションでした。
 
 織人づくりもいいけど「場づくり」が。
 
 
posted by mk at 06:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 福祉教育

福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会 4月報告−1

福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会 4月度報告 1

4月14日 川越にて


テーマ:災害時用支援者を考える福祉教育〜『災害フォーラムinさいたま』の取り組みをとおして〜

発表者:S市社会福祉協議会 TOさん

記  録:T市社会福祉協議会 TKさん


災害を切り口として地域を見直す

ポイント
○ 単なる見守りでは反応がないお家でも、災害時の支えあいを切り口にするとドアを開けてくれる場合がある。
⇒住民たちも気に掛かっている。社協として入っていくきっかけになる。

○ 災害の種類によるサポート内容の違い
三条市(水害)⇒土砂や泥だしなど1000人以上が一斉に取り組むべきことがたくさんある。ニーズが豊富

新潟中越地震⇒中々ニーズとしてあがってこない。=現地の人とのコミュニケーションの中でニーズが見えてくる。

※ ボランティアセンターの本質   ⇒ニーズは待っていてもでてこない。

ピンチをチャンスに

 ピンチ
 ★「民生委員・児童委員発災害時一人も見逃さない運動」民生委員の活動が盛ん
 ★社協は合併後、10区に分かれて動き出したが、他の業務もあり事業が組めなかった。
 
 チャンス
 ☆じゃあ、市全体で災害支援のシンポジウムを実施しよう
 ☆巻き込む仕掛け作り
 各区からの参加者に条件
⇒それぞれ一本釣りでこのフォーラムを受けて、実際に実践につながる人
 ☆当初災害関係に取り組むことに腰の重かった行政
   ⇒最終的には共催にしてほしいと言われた。
 ☆実施後も社協に多くの問い合わせが寄せられた。

今後の課題

○学校と地域のズレ
災害時
学校:生徒をどうやって安全に家に帰ってもらうか
地域:避難場所としての学校の活用

○地域での継続的取り組みの必要性
新潟で不足している食料をみんなで上手く分け合えたのは、そこに地域のつながりが存在していたからである。埼玉で食料の不足がおきれば、暴動がおきてしまう危険性がある。by 市川先生
 ⇒みんなでつくるイメージが必要

■TKさん感想

○ 個人的にも三条市の災害ボランティアセンターに参加させていただきました。よそものであるボランティアだけでなく、普段から地域につながっている民生委員などと協働できる社協だからこそ、地域に信頼されてニーズの発掘やスムーズな活動に結びつくという話しを思いだしました。今回の大橋さんの発表でも、地域に根付いた活動がベースにあることが非常に重要だと感じました。

○ キーパーソンに働きかけることで、たんなる教養講座ではなく実践に活用してもらえるように繋げていたのが印象的でした。

○ 「ピンチはチャンス」=「チャンスはピンチ?」今の社協全体にとっても言えることではないでしょうか。このチャンスをどう活かすかで、今後の社協が大きく変わっていくように感じました。
posted by mk at 06:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 福祉教育

2006年04月15日

地域福祉(社協活動)は、福祉教育に始まり福祉教育に終わる。


 福祉教育を基盤とした地域福祉を考える研究会

 近年の社会情勢の変化に伴い、社協の置かれている立場も、市民からの目も、以前とは大きく変わっています。このような中、本来社協が行うべき内容や果たす役割は何でしょう?

 社協に勤めて、この間に多くの方々から、学びと力をいただきました。そして、振り返ると、地域の中での学びが自分自身の学びとつながり、その学びが地域へとまた還元されているように思っています。「住民参加」を実践するためには、「福祉教育」なしに、地域の展開は図れないとも感じています。

 昨年11月には全社協が、「社会福祉協議会における福祉教育推進検討委員会報告書」を示しました。これまで福祉教育というと、学校を中心に、福祉イベント、ボランティアや福祉体験だけのようにとらえられてきた感があります。

 しかし、それだけではなく、ボランティアは勿論ですが、地域福祉活動、共同募金、生活福祉資金、地域福祉権利擁護事業等・・・、社協活動は、福祉教育に始まり、福祉教育に終わる。つまり、地域生活における人々のかかわりの中には、必ず「福祉教育」があると感じています。

 社協の組織や人と人、人と組織との関係の中で、落込んだり、自分自身が持つ力量やよさが失われていく職員も少なくないように感じています。「地域福祉を推進」する役割を担っている社協が元気にならねば地域も元気にならず。私たち自身が力量を高め、つながることから、互いをエンパワメントすることが必要です。

 「福祉教育を基盤として」一人でも多くの社協職員とつながり、社協が実践する「福祉教育」とは、また、地域にもとめられる「福祉教育」とはなんなのかを、多くの社協職員と考え、その学びを活かして自分たちの地域において実践していかれるようにしたいと思っています。

posted by mk at 00:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 福祉教育