北極の海、確実に変化! [2012年08月30日(Thu)]
先日、グリーンランド周辺海域のほぼ全ての氷が解けてしまっているとの
観測結果をNASAが発表しましたが、北極海の変化は私たちの身近な ところにも影響を及ぼし始めています。 回転すしで人気の高い食材である「エンガワ」、通常はヒラメのヒレ部分を 指しますが、回転すし等では北極海周辺で漁獲される全長1メートル以上にも なる巨大カレイのヒレ部分が用いられることがほとんどです。 グリーンランドは、この巨大カレイの一大産地ですが、近年、温暖化で海氷の 融解が急速に進み、カレイ漁が難しくなっています。グリーンランドでは 冬場に氷が張った海上にスノーモービルや犬ぞりで出かけ、氷に穴を空けて カレイを釣りますが、1995年頃から犬ぞりの重さに耐えられないほど氷が 薄くなる期間が年々長くなり、近年では漁がほとんど出来ない年もあるといいます。 前述のNASAの観測でも、同海域の最高海水温が3℃以上上昇していることが 確認されており、温暖化の影響が確実に北極海を変化させていることが明らかです。 一方で、乱獲が問題視されてきたこの巨大カレイ漁、「漁が出来ない期間が長く なることで乱獲防止につながる」という声もあるようで、何とも皮肉です。 回転すしで流れている皿を見渡せば、エビやイカは東南アジア・タコはモロッコや モータリア、マグロは地中海といった具合に、あっという間に世界地図が完成します。 そして、日本に大量の魚介類を輸出してきた各産地では、必ずと言ってよいほど 資源や環境に関する問題が生じています。もちろん、環境や資源を適正に管理して いるケースも多く、全ての魚介類の輸入を「悪」というつもりは毛頭ありませんが せっかく四方を海に囲まれている日本なのですから、そろそろ真剣に「日本人の 食べる魚介類を日本の海で賄うためにはどうしたらよいか?」考えるべきだと思うのです。 海守では「家庭の食卓から実践できる責任ある魚食」をテーマに、今後も魚食に 関する様々な問題を提起しつつ、私たち市民に出来ることを皆さんと一緒に 模索していきたいと考えています。 |