このブログでも何度かご紹介している「MSCマーク」の続報です。
資源管理や環境保全に対する適切な対策が取れられている水産商品に
お墨付けを与える制度「海のエコラベル:MSCマーク」、先進国の中では
遅れをとっているものの、国内でもイオンが1200店舗で扱うなど、本格流通が
始まりつつあります。皆さんがご贔屓にしているお店にも登場しているかも
しれませんので、ぜひ探してみてください。
「自分達の海は自分達で守る」という海守のテーマを実践していくための
取り組みは様々ですが、必ずしも海辺での活動だけではありません。
MSCマークのように、食卓で実践できる資源や環境を守る取り組みも
まだまだあるはずです。
海守事務局では、誰もが例外なく関わっている「食」を切り口にした情報提供を
強化したいと思いますので、少しづつ普段の生活に取り入れていただければと
幸いです。
≪以下、共同通信社「海運水産ニュース」より≫
マグロやタラ、ウナギなど人間にとって重要な漁業資源の減少が止まらない。
国連食糧農業機関(FAO)によると、捕りすぎの状態にあったり、枯渇したり
している資源は全体の32%に上り、50%は許容限度ぎりぎりまで漁獲されている。
解決策として注目されているのが「乱獲とは無縁な漁業だ」などとの専門家の
「お墨付き」を漁業者に与え、特定のラベルをつけて売ることを認める
「海のエコラベル」だ。
「海のエコラベル」は、資源管理対策や環境保全対策をきちんと取っているか
どうかを専門機関が審査し、一定の基準を満たしていると認めた場合、漁獲物に
特定のラベルをつけて売ることを認める制度で、国際機関の「海洋管理協議会」
(MSC本部・英国)のものが最もよく知られている。
1月6日現在、世界で133の漁業がMSCの認証を取得し、141種が近く取得の
見通し。両者を合わせた漁獲量は年間900万トンと、全漁獲量の10%を超える。
MSC製品を加工、販売するための認証を取得する業者も増え、青い魚をデザイン
したMSCのエコラベルがついた商品は1万3千種以上にもなる。
消費者の環境意識が高い欧州を中心に広がり、英国ではMSC認証の
ペットフードも誕生したという。
日本でもMSC製品は徐々に増えている。大手スーパーのイオンはMSC製品の
取り扱いに熱心で、2006年から販売を開始。今では全国の1200を超える店舗で
カツオのたたきやサケ、イクラ、タラコなどのMSC製品を販売している。
MSC日本事務所によると、日本生活協同組合連合会、JA全農長野県、
JA全農いばらき、福井県民せいきょうなど、MSC製品を扱う業者は増加傾向にあり
商品数は300を超える。
漁業では2008年、京都府舞鶴市の京都府機船底曳網漁業連合会がズワイガニと
アカガレイ漁でMSC認証を取得したのが最初。翌年、土佐鰹水産グループ
(高知県)がカツオの一本釣りで認証を取得したが、まだこの3件だけで、
欧米に比べて非常に少ない。
2010年に行われた調査でも「MSCを知っている」と答えた人は16%で
ドイツの36%の半分以下だった。
こんな中、昨年12月に北海道漁業協同組合連合会北見管区のシロサケ漁がMSC
の取得を目指した審査に入り、早ければ今年中にも取得の見通しだ。
日本人になじみの深いサケが対象で、年間6万トン前後の水揚げがあるだけに、
取得できればMSCの普及に弾みがつくと期待されている。
サケ漁の現状などに詳しい北海道大の帰山雅秀教授は「この地域では、
サケのふ化放流事業が、野性のサケに悪影響を与えないようにするなど
MSC取得に向けた課題も多い。
だが、認証取得の意義は大きいのでぜひ、成功させてほしい」と話している。