「海上保安庁の2011年」 [2011年12月28日(Wed)]
毎週木曜日に配信している海守ブログ「海の色々ニュース」ですが、
本日が海守事務局の仕事納めにあたるため、前倒しで配信させていただきます。 なお、本年最後のニュースは「海上保安庁の2011年」です。 未曾有の大災害に見舞われ、海守事務局にとっても災害対応という 新たなステージに挑んだ激動の年でしたが、あらためて海守会員の善意の強さと、 その潜在力を感じた一年でもありました。 様々な形でご協力いただいた会員の皆様に、あらためて御礼申し上げます。 年の瀬を迎え、ガレキやヘドロの撤去作業などで共に汗を流した 多くの被災者の方々の顔が浮かび、厳冬下でのご苦労を想うと、 ただただ着実な復興を祈るばかりです。 どうぞ皆様、よいお年をお迎えください。 来る新年が皆様にとって平穏で実り多い年になりますように! 〜海上保安庁の2011年(海上保安新聞より抜粋)〜 ≪東日本大震災≫ 大震災発生から12/20までの投入巡視船艇は延べ10,974隻、 航空機は延べ3452機、特殊救難隊員は延べ1256人。 通算360人を救助し、漂流遺体390体を収容した。 ■大津波が保安部署や航空基地を襲う 海岸に近い各保安部署や仙台航空基地が水没。 船に戻ろうとした宮城海上保安部職員1名が行方不明(後に死亡確認)になり、 航空機、巡視船艇、航路標識、庁舎などに大きな被害がでた。 ■LPGタンクが爆発炎上、海からの冷却放水にあたる 千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所のLPG貯蔵タンクが爆発炎上。 周辺タンクの連鎖炎上を防ぐために横浜海上保安部消防船「ひりゅう」などが 冷却放水にあたり、21日に鎮火した。 ■人命救助・行方不明者捜索・被災者支援に全力 全国から巡視船艇や航空機、特殊救難隊等を被災地に集中投入し、 孤立家屋からの吊り上げ救助や潜水捜索、漂流船舶内の生存者確認等に 全力をあげた。 ■震源真上の海底が東南東に24m移動 4/6に海洋情報部が実施した調査により、海底基準点が東南東に24m移動し 3m隆起したことが判明した。 ■原発警戒区域内で初の潜水捜索 8/30〜31に、福島第一原発から半径20q内の警戒区域で行方不明者の 潜水捜索を実施した。 ■被災港湾の海図改版が始まる 海洋情報部は9/9に、大きな被害を受けた港湾としては初めて、 仙台塩釜港の海図を改版、同月30日には、被災した主要14港湾の最新情報を 掲載した水路誌追補第1を発行した。 この追補には、入出港時の注意事項や使用可能岸壁、震災で移転した港湾機関の 連絡先等が記載されている。 ■海上保安大学校・海上保安学校の学生がボランティア作業に参加 日本財団が募集した大学生泥かきボランティア隊に同2校から 学生がボランティアとして参加した。なお、同隊の引率は海守会員が務めた。 ≪事件や施策≫ ■1/18を118番の日に制定 海の緊急通報番号118が運用開始から10年を経過したことを契機に 118番の日を制定し、周知活動を強化することとした。 ■最後のYS11が解役 1/20、羽田航空基地のYS11「ブルーイレブン」が42年間の任を終えて解役された。 これで海保の航空機から往年の名機YS11が姿を消した。 ■中国漁業監視船が尖閣諸島周辺に相次いで接近 今年も海域パトロールと主張する中国漁業監視船が9回にわたり 尖閣諸島の領海線に接近した。 なかでも、8/24には巡視船による警告にも関わらず同船が領海に侵入した。 ■NZ大地震の国際救助チームに、保安官25人を派遣 ■ソマリア海賊4人を逮捕 3/5、バハマ船籍タンカーがオマーン沖の公海上を航行中に4人の海賊に 乗りこまれる事件が発生。 米国海軍が拘束した海賊4人を、海賊対策の一環として海上自衛艦に 同乗していた海上保安官が逮捕し、日本へ護送。海賊4人は身柄付きで 送検され起訴された。 ソマリア海賊に対して我が国が司法手続きを取ったのは21年7月の 「海賊処罰法」の施行後初めてとなる。 ■漂流20日間、70歳の漁船船長が救助される 6/30、沖縄本島の辺戸岬沖で同月10日から連絡が取れなくなっていた漁船が 高知県沖で発見され、1人で乗り組んでいた船長が救助された。 ■中国海洋調査船が東シナ海に出没 7/31、中国の海洋調査船が東シナ海の日本の排他的経済水域で ワイヤ状のものを曳航しながら航行しているのを発見し、 巡視船と航空機が警告した。 その後も、同様の調査活動が頻発している。 ■台風12号集中豪雨で被災者の救助と支援に全力 9/2に発生し、死者・行方不明者100人以上という記録的な被害をもたらした 台風12号に対して、巡視船艇と航空機を緊急配備し、 人命救助や被災者支援に全力をあげた。 ■北朝鮮から木造船で来た9人を保護 9/13「石川県輪島沖で見慣れない船が航行している」との通報を受け、 男性3人、女性3人、男児2人が乗った木造船を確認。 韓国に向けて北朝鮮から出航したと語った9人を保護し、各国に出国させた。 ■全ての日本沿岸をカバーする機動救難体制が確立 10/1、仙台航空基地に機動救難士8人が配備され、 羽田の特殊救難基地と合わせて日本沿岸のほとんどをカバーする 機動救難体制が確立された。 ■長崎県鳥島沖で中国漁船船船長を逮捕 11/6、哨戒中の巡視船が長崎県五島市鳥島沖の領海内で中国漁船を発見、 停船命令を出すも4時間半にわたり逃走。 強制接舷で同船を停船させて、船長を漁業法違反(立ち入り検査忌避)で 現行犯逮捕した。 |