フェリーはいらないの? [2010年02月25日(Thu)]
例え短い時間でも、船での移動は旅情深く、海好き人間にとっては堪えられない時間です。単なる移動手段とはいいがたい海上交通、その代表ともいえるフェリー網が、存続の危機に瀕しています。高速道路の休日割引の導入以来、フェリー業界の苦境は多く報じられてきましたが、「いよいよ、業界全体が追い込まれた」様相を呈しています。 高速道路を値下げすれば、そのルートに対応する海上交通が大打撃を受けることは火を見るより明らかです。経済対策や社会実験など、国の施策もわかりますが、我が国の舵は「フェリー不用」に切られたのでしょうか?海運業界の肩を持つわけではないのですが、マイカーに比べたCO2削減効率や、海上交通網の維持という観点などからも、フェリーにはまだまだ可能性があると思うのですが・・・ ※下写真:瀬戸内海、フェリーの軌跡(筆者撮影) ≪以下、共同通信社「海運水産ニュース」より抜粋≫ 長期にわたって不振にあえいだフェリーの高松―宇野(岡山県玉野市)航路 は今月12日、高速道路料金割引という「最後の一押し」(四国フェリーの堀川智司専務)で、廃止の決断に追い込まれた。 国内のフェリー各社は苦境に立たされており、さらに高速道路の無料化が進めば、海上交通が寸断されるのは必至。「国の失策」との批判も強まりそうだ。 日本旅客船協会によると、宇高航路の廃止で、瀬戸内では昨年3月からわずか1年足らずの間に6社7航路が撤退に追い込まれたことになるという。 記者会見した国道フェリーの山下周市社長は「(高速道路だけに税金を投入するという)国策に翻弄されて腹立たしいが、限界。この航路は採算の取れる航路ではなくなった」と発言。四国フェリー営業部の担当部長は「従業員の雇用を守ってやろうと、全国のフェリー会社を回ったが厳しい。涙が出た」と憤った。 宇高航路は、1988年の瀬戸大橋開通で減便を強いられ、その後も利用客の減少に苦しんできた。2008年夏ごろまで燃料費が高騰、その後、世界的に不況となり、高速割引がとどめを刺した格好だ。 関西発着の旅客便を運航するフェリー会社の首脳も「これは公正な競争ではない。経営努力を尽くして競い、敗れるのならまだしも現状はあまりに一方的」と批判しており、国の交通政策の在り方が問われている。 前原誠司国土交通相は16日午前の記者会見で、高松市と岡山県玉野市を結ぶフェリーの航路が3月に廃止されることについて「国策によって輸送量が落ちていることはあり得ると思う」と述べ、前政権が導入した高速道路料金の大幅割引が影響したとの認識を示した。 前原氏は「いろいろな観点から真摯に要望を聴きたい」と話し、地元自治体などの要望を踏まえ運航継続のための支援ができるかどうかなどを検討する考えを示した。 一方、国交省の馬淵澄夫副大臣は15日の定例会見で、3月に廃止になるフェリーの宇高航路に関し、高速道路料金割引で打撃を受ける他の内航フェリーへの補償について、「現時点で打撃を受けるから、どのような補償をするのかといった議論ではない」と述べ、国交省として支援策などは検討していない ことを明らかにした。以上 |