貝殻が裸に? [2009年11月26日(Thu)]
地球温暖化等の影響を受けて、北極海の海氷が猛烈なスピードで溶け続けていることは有名ですが、この影響は海水面の上昇や氷上で生きる動植物だけにとどまらないようです。
今月20日に、海洋開発研究機構が米科学誌サイエンスに発表した調査結果によれば、海氷が溶けることによって海水が薄まり、海水中の炭酸イオンが、プランクトンや貝殻の成長を妨げる水準にまで減少しているとのことです。 また、大気中のCO2濃度上昇によって海水に大量のCO2が溶け込み、北極海の海水はどんどん酸性化しています。前出の炭酸イオンは酸性化した海を中和するために消費され「海氷が溶ける→海水が薄まる→つまり炭酸イオンも少なくなる→増え続けるCO2の中和に炭酸イオンが消費される→炭酸イオンがますます少なくなる→海水の酸性化が進む・・・∞」と負のスパイラルが続きます。 当然のことながら、プランクトンや貝が減れば、これらをエサにしている魚も減るわけですから、生態系全体への影響が心配されているわけです。 それにしても、太古から絶妙に保たれてきたバランスを失い、「海水が薄くなる」ほどのレベルで海氷が溶けているとは唖然とします。海氷の急速な溶解全てが人間生活の影響とも言い切れないでしょうが、私達の社会が状況を悪化させてきたことは間違いないでしょう。地球環境に対してこれほどまでの影響力をもってしまった人類、その力が少しでも事態好転に注がれることを祈ります。 |