砂浜の生き物たち [2008年09月25日(Thu)]
日本の浅海の生き物について、全国的なレベルの調査は、環境省が「緑の国勢調査」として行っている海洋生物調査が唯一といっていい状況です。近年では、サンゴ礁、藻場、干潟については「緑の国勢調査」の一環として、全国の重要湿地500に選ばれた場所を中心に専門家によって調査が行われました。しかし、岩礁や砂浜についてはまだ全国的な調査は行われていません。一方、全国の砂浜では砂浜の後退現象などが深刻化し、防災の観点からは議論される機会が増えていますが、砂浜に生息する生物に対する観点は忘れられがちです。
そこで、海守会員である向井さんが代表を務める「海の生き物を守る会」では、NPO法人OWSと共同で、全国で砂浜の生物調査を行っています。始まったばかりの活動ですが、日本の海岸の生態系がどのような状況かを把握しようとする、非常に意義深い活動です。どなたでも簡単に行える調査ですので、是非ともご協力ください。 調査方法 特に日時を決めずに、海岸に出かける機会に合わせて行ってください。調査を行う砂浜を選び、汀線(波打ち際)に沿って一定距離を歩き、その間に砂浜に生息する生物と砂浜に打ち上げられている生き物の痕跡(死骸・打ち上げ海藻など)を記録してください。一定距離はおおよそ100m程度とします。ただし、生き物が多い場合は30m程度でも構いませんが、かならず距離は測ってください。距離を測るメジャーを持っていない場合は、事前に歩幅を計測しておき、歩数から算出できます。調査は1往復が基本ですが、時間がある場合は、もう一度場所を歩き返したほうが正確な調査が可能です。 さらに、汀線調査の後に満潮線付近を10分間歩いて生きているものを探し、その名前と数量を記録してください。また、満潮線付近に植生帯(海浜性植物の茂み)がある場合は、とくに植生帯の中も注意して調査してください。 調査時には、砂浜の全体(汀線からもっとも陸側まで)が入った写真(人工構築物や後背地の植生などがわかるような写真)や生き物の拡大写真をなるべく多く撮って調査票に添付してください。 注意点 (1)調査は干潮時が最適ですが、それにこだわる必要はありません。汀線まで歩いて、生きているものと、打ち上げられている死骸などの名前を記録してください。生き物の死骸は新鮮なものを対象とし、腐敗したものは除きます。例として、貝類であれば二枚貝は二枚の殻が残っているもの、巻貝なら摩耗していないものを対象とします。 (2)観察し記録する生き物は、海岸に生息する海鳥類、海草・海藻類、海産無脊椎動物(カニ、エビ、貝、ヒトデ、ウニ、ナマコ、コケムシ、ゴカイ、ユムシ、サンゴ、クラゲ、カイメンなど)をすべて含みます。ただし、海岸に特有の昆虫類や多足類、カニムシ類などは、除いても構いません。 (3)種の同定は図鑑などを参照して行いますが、分からない場合は写真を添付してください。 (4)調査結果は、年月日と時刻、海岸の場所と名前、底質・天候・風力、観察距離、観察できた種とその数(1個体=有、数個体=少、それ以上=多)を調査票にまとめ、写真と一緒に海守事務局までメールにて送付してください。 (5) 今回の調査期間は10月31日(金)までとします。 調査票はこちら ※携帯からのアクセスなど、調査票がダウンロードできない方は、「調査票希望」と明記の上、下記のアドレスに送付先をご連絡ください。FAX、メール、郵送など、ご希望の送付先にお送りします。 調査結果はこちらまで → sunahama@umimori.jp |