海底はごみの墓場 [2008年05月29日(Thu)]
先週は「しらすとごみ」と題して海面付近を漂うごみの問題をテーマにしましたので、今週は海底に堆積しているごみを取り上げます。
海のごみは海面や海中を漂う「漂流ごみ」、海岸に流れ着いた「漂着ごみ」、そして海底に沈み堆積している「海底ごみ」に大別されますが、今回取り上げる「海底ごみ」は目に触れる機会が少ないために、問題視されることが少ないのが特徴です。しかし、この「海底ごみ」が海に及ぼす影響は他の2つと同等またはそれ以上に深刻なのです。 海底ごみの問題点 @ なんといっても回収(引揚)には大変な時間と費用がかかります。全量回収は不可能とも言われています。 A ごみが堆積すると、その海域の海底環境が激変(悪化)し、生物の生息や繁殖を妨げます。 B 海底中の海水循環が妨げられ、水質汚染につながります。 C 漁業に深刻なダメージを与えます。(例:網の中はごみだらけ、ごみの重さで網が切れる等) D 漁業者が引き上げた海底ごみの処理費用は、原則的に漁業者負担になるため、網にかかったごみは、再び海に戻られることが多いようです。(処理費用を負担または助成している自治体もありますが・・・) E 堆積した海底ごみからは化学物質が溶け出す心配もあるでしょう。 F 人目につきにくく、問題視される機会が少ないのが現状です。 堆積している海底ごみの量は @ 東京湾全域で数100トン(東京海洋大学の推定) ※東京都内で出される全てのごみ1年分に相当します。 A 瀬戸内海全域で1万3000トン(環境省の推定) 海底のごみが自然分解されるまでの時間 @ アルミ缶:70年〜250年 A ペットボトル:300年以上 B ガラス瓶:数万年 東京海洋大学が行った調査では、一回の底引き漁船が引き上げたごみの中から、昭和54年から平成16年までに製造された各年製のビール缶が発見されたそうです。中には昭和35年製と思われる缶も・・・。現在の私達が消費している製品の自然分解には上記のように途方もなく長い時間が必要なのですから、海にごみを出せば出すほど、ごみは倍々に堆積していくのです。光もあたらぬ海底に積もる一面のごみを想像してみてください。まさに「ごみの墓場」です。 |