日焼け止めで白化 [2008年02月29日(Fri)]
美白ではありません。白化です。
日焼け止めの成分がサンゴと共生している「らん藻」を死滅させ、白化現象を引起す一因となっているとの研究結果が発表されました。すでに新聞などでご覧になった方もいるかもしれませんが、今年は国際珊瑚礁年ですので、少し掘り下げてお伝えします。 この発表は、イタリア・マルケ工業大学の研究チームがまとめたもので、日焼け止めとサンゴの白化との関連性が実証されたのは始めてのようです。 同チームは、インドネシア、エジプト、メキシコ、タイの4カ国でサンゴを採取し、市販の日焼け止めを100万分の1リットルだけ含んだ海水で飼育しました。その結果、約48時間以内にサンゴと共生している「らん藻」がサンゴから抜け出し、96時間以内にはサンゴが完全に白化することを確認しました。これは、日焼け止めに含まれる紫外線を吸収する成分が、普段は休眠している「らん藻」内のウィルスを活性化させ、宿主である「らん藻」を破壊してしまうためと考えられています。 ※共生関係にある「らん藻」が抜け落ちた状況が続くと、サンゴが死滅する恐れがあります。 一部の研究者からは「日焼け止めを塗って海に入ったとしても、その成分は自然循環によって極端に薄められるため、今回の実験は実際に海で起きていることを反映していない」との反論も出ていますが、同チームは「微量の成分でもウィルスは活性化し、その働きは連鎖的に進んでいくため、化学物質の濃度は重要ではない」とし、紫外線反射型(つまり紫外線吸収成分を含まない)日焼け止めの使用を薦めています。 現時点ではなんともいえませんが、私達は日焼け止め成分がサンゴの白化と関連しているのかどうかに関心を持ち続け、研究成果を見極めていく必要がありそうです。 情報をお持ちの方は、是非コメント欄でご教授ください。 |