責任ある選択のために [2007年09月27日(Thu)]
このブログでも何度かご紹介していますが、世界規模の水産物需要の高まりや長年にわたる過剰漁獲などの影響をうけて、海の資源や環境は過去に例の無いレベルで悪化し、現在も負のベクトルが伸び続けています。しかし、その半面では、資源保護や環境保全に対する関心も徐々に高まり、各業界団体も様々な対策を始めています。そんな状況において、私たち市民は「今、どんな問題が起きているのか?」「どんな対策が有効なのか?」ということを正確に理解し、行動を起こさなくてはなりません。
そこで、4/19の記事「変えていくチカラ」では海の環境や生態系に配慮して生産された海産製品に表示される「MSCマーク」をご紹介し、消費者としての責任ある行動の一例としました。その後、様々なお問合せをいただきましたが、その大部分は「MSCマークには賛成だけど、どこで売っているの?」といったものでした。そこで早速調べてみたところ、このマークのついた商品は極めて限られた店でしか買えないことがわかりました。私は日本に入ってきたばかりの制度なので、浸透にはまだまだ時間がかかるのだな〜と単純に考え、問合せをいただいた方には今後の展開をウォッチして、状況をお伝えすることを約束しました。 それから半年、このMSCマークがなかなか浸透しない事情や、日本独自の新たな取り組みについての情報が入りましたので、お知らせします。 ≪MSCマーク≫ 漁法や漁獲サイズなどの厳密な規格に基づく審査があり、「持続可能な海産資源の利用」を遵守している生産者にのみ表示が認められるマークです。 ≪なぜ見かけない?MSCマーク≫ MSCマーク制度を批判するつもりは毛頭ありませんが、なかなか見かけないのは事実です。その理由としては認知度の低さや高価格などもあるようですが、その他に「欧米発祥の基準であるため日本の漁業管理方法にフィットしない」「認証取得にかかる費用と時間が莫大→誰が負担?」といった深い問題点もあるようです。 ≪では日本はどうする?≫ そこで、国内の水産業界や漁業団体などで作る大日本水産会が、日本版MSCマークを創設し、独自の認証基準を作ることになりました。その名を「マリン・エコラベル・ジャパン(MELジャパン)」といい、年内の運用開始を目指しています。※日本独自といっても、もちろん国際基準は守られます。 ≪ロゴマークの募集≫ マリン・エコラベル・ジャパン事務局では、海や水産資源を永続的に利用できるような方法で漁獲された海産物に貼るラベルのデザインを募集しています。 業界の内情や政治的なことは分かりませんが、どちらの制度にしても、私たち消費者が、責任ある選択をするために役立つ制度にしていただければと願うばかりです。 |