海上保安庁が2006年の10大ニュースを発表しました。
このランキングは全国の海上保安官や一般市民、報道関係者
約7900人を対象に行ったアンケートの集計結果に基づいています。
@ロシアが日本漁船だ捕 銃撃で死者50年ぶり(8月)
A北朝鮮がミサイルを発射 政府、万景峰92号の入港を禁止(7月)
B北朝鮮が核実験を実施 政府、全北朝鮮籍船舶の入港を禁止(10月)
C竹島周辺海域 韓国の抗議により海洋調査を中止(4月)
D発達した低気圧により海難事故多発 死者・行方不明者多数(10月)
E高速船トッピーが流木に衝突 乗員乗客112人全員が負傷(4月)
E(同位)女島灯台 自動化整備(滞在解消)完成(11月)
G鹿島港で貨物船2隻座礁 44名全員救助(10月)
H近年最大級ナマコ700キロを密漁 暴力団員等を現行犯逮捕!(6月)
I北朝鮮からの覚せい剤密輸事件を摘発(5月)
【詳細解説】 海上保安庁 政策評価広報室より
@解説
8月16日、北海道根室納沙布岬沖の貝殻島付近海域において、かに籠漁船「第三十一吉進丸」(4.9トン・4名乗組み)がロシア連邦保安庁サハリン沿岸国境警備局の警備艇に銃撃・拿捕され、この銃撃により乗組員1名が死亡しました。同海域でロシア側の銃撃で死者がでた事件は50年ぶり。
A解説
北朝鮮が7月5日午前3時半ころから午後5時半ころまでの間に、ミサイル計7発を発射し、いずれもわが国から数百キロ離れた日本海に着弾したとみられています。海上保安庁では、しょう戒中の巡視船艇・航空機による情報収集を実施したほか、関係機関からの情報収集に努めるとともに、航行警報を計3回発出し、付近航行船舶に注意を呼びかけました。また、政府はミサイル発射を受け、北朝鮮の貨物船「万景峰92号」の入港を半年間禁止することを決めました。
B解説
北朝鮮は、10月9日正午ころ核実験を実施したとの発表を行いました。海上保安庁では、航行警報を発出し、付近航行船舶に注意を呼びかけました。また、政府は核実験情報を受け、すべての北朝鮮籍船舶の入港を半年間禁止することを決めました。海上保安庁では、入港禁止措置を的確に実施するとともに、引き続き重点警備対象施設の警備に万全を期しています。
C解説
海上保安庁が竹島周辺海域の海洋調査を行うため4月14日から6月30日の予定で海洋情報部の測量船「明洋」と「海洋」を派遣しました。これに対し、韓国側が猛反発し、「計画を即刻撤回すべき」として警備艇18隻を現場海域に派遣するなど異常な反応をみせました。この海域は日韓双方が竹島の領有権を主張している関係で両国の主張するEEZが重なっています。
D解説
10月6日から8日にかけて、急速に発達した低気圧が本州の太平洋沿岸を北上したことにより関東地方から北海道地方にかけての広い範囲で大しけとなり、茨城県鹿島港沖でのパナマ籍貨物船(約10万総トン、乗船者26名)の乗揚げ、宮城県女川港付近でのサンマ漁船(乗船者16名)の転覆、静岡県下田沖での遊漁船(乗船者15名)の転覆などの海難が相次ぎ、多数の死者・行方不明者が発生しました。
E解説
4月9日午後6時ころ、鹿児島県佐多岬の西北西沖合い海上を航行していた鹿児島商船の高速船トッピー4(281トン)から「何かに衝突し、多数の負傷者がでている」旨十管区海上保安本部に118番通報が入り、巡視船艇・航空機その他各機関が連携し深夜にかけて救助にあたりました。その後、鹿児島海上保安部は海上保安大学校などの協力を得て事故調査にあたり、衝突物は流木であったことを発表、また国土交通省は事故をうけて「高速船に対する安全対策検討委員会」を設置し対策に備えています。
E解説
11月12日、長崎県五島列島にある女島灯台の自動化整備が完成しました。同灯台は映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台になり、海上保安庁職員が常時滞在する灯台は、全国で同灯台を残すだけとなっていました。昭和2年12月に初点灯して以来、厳しい気象、環境条件の下、4名の職員が15日間ずつ滞在し勤務してきました。
G解説
10月24日午後、中国船籍貨物船「OCEAN VICTORY」(88,853トン、乗組員24名)とパナマ船籍貨物船「ELLIDA ACE」(85,350トン、乗組員20名)が、茨城県鹿島港で相次いで乗揚げ、浸水しましたが、翌25日午前10時ころまでに浸水で左舷側に傾いたE号から乗組員20名全員を、O号からも乗組員24名全員を吊上げ救助しました。
H解説
6月6日、室蘭海上保安部は北海道噴火湾において、なまこを密漁していた暴力団員等を北海道海面漁業調整規則違反で現行犯逮捕し、近年最多となる約700kgのなまこを押収しました。
I解説
5月12日から8月9日までに、国際組織犯罪対策基地、第八管区海上保安本部及び境海上保安部は、警察と合同で、平成14年6月、10月及び11月に朝鮮民主主義人民共和国から同国籍貨物船「TURUBONG1」を使用して、覚せい剤数百kgを密輸したとして暴力団幹部ら被疑者9名を覚せい剤取締法違反で逮捕しました。