ホタテで歯磨き [2010年12月02日(Thu)]
鍋ものが恋しいこの季節に大活躍のホタテやカキ。近年では剥き身で買い求めることが多いため、考える機会も少ないかもしれませんが、美味しい身を包むあの頑丈な殻が、かなりの厄介者です。
※ホタテ殻は北海道だけでも年間25万トン(東京ドーム半杯分)が排出されています。 ホタテやカキなどの生産地では、大量に発生する貝殻の処分が大きな課題となってきました。工場から排出される貝殻は、事業性廃棄物として処分するのが原則ですが、処理や輸送にかかるコストを嫌って不法に投棄(野積み等)されて、悪臭や汚水問題等を多く引き起こしてきました。 各自治体では適正処理の徹底を図る一方で、CO2発生抑制等の目的から、単に焼却して埋め立てるだけではなく、抗菌・消臭機能を生かした建築材への活用や、道路基礎工事に粉砕した貝殻を使用するなど、その有効活用を模索しています。 そんな中、このほど、私たちにとっても身近な活用法が開発されました。その名も「シェルピカ」。シェルピカはホタテ養殖が盛んな北海道八雲町の土壌改良材製造販売会社「北栄」が、ホタテの貝殻を原料にして開発した歯磨き粉で、通信販売でも入手可能とのことです。 同社によると、シェルピカは、ホタテの殻から抽出した骨や歯の主成分のリン酸カルシウム「ハイドロキシアパタイト」を生成し35%含んでいて、歯のエナメル質を修復、再石灰化する働きがあるそうです。北海道大の久保木芳徳名誉教授(歯科生化学)が生成方法を発明し、同社に商品化を持ち掛けたことが開発のきっかけだったとか。 同社は「本業であるはホタテ貝殻を利用した土壌改良材のノウハウを生かし、少しでも環境に貢献できれば」としています。この冬、美味しい貝に舌鼓を打った後、貝殻歯磨きはいかがでしょうか? |