「マリンレジャーの安全対策 第4弾!」 〜最後の手段〜 [2009年07月16日(Thu)]
「マリンレジャーの安全対策 第4弾!」 〜最後の手段〜
海ではありませんが、昨日も溺れた仲間を助けようとした28歳の男性と 初めに溺れた16歳の男性が共に亡くなる痛ましい事故がありました。 また、遭難者自身は漁船やライフセーバーに救助されたり、自力で岸に あがっているにもかかわらず、慌てて飛び込んだ救助者自身が溺死する 例が尽きません。 前回のブログでお届けしたとおり、素人が水に飛び込んで溺れた相手を 助けることは至難の業ですし、最終手段なのです。 くどいようですが、溺れた人を見かけた際は、すぐに飛び込むのではなく 先にやるべきことが沢山あることを再度強調します。 その上で、他に救出方法がなく、極めて切迫した情況の中で、最後の手段として 自ら水に入り救出に向かう際の注意点をお知らせします。 ≪大前提≫ 救助者は決して被救助者になってはいけません。 これは倫理や道徳上の理由からだけでなく、 単純に「救助すべき人間が多いほど、救助の可能性が下がる」ためです。 助けに行くからには、少なくても「情況を今より悪くしない」責任があります。 勇気だけではなく、自身の体力や海の情況を冷静に判断する必要があるのです。 ≪救命用具≫ ライフセーバーのような専門家でさえも、救助用具なしに救助活動を行うことは まず無いといいます。最低でも、前回お知らせしたような浮力を確保できるもの 持参しましょう。 また、ついつい、救助者を水から引上げることに埋没しがちですが 浮力を与えてあげるだけで、命が救われるケースも多いのです。 ≪衣服は脱ぐ?≫ 「着衣泳」というものがありますが、これはあくまでも着衣状態で浮力を確保し 安定的に浮いて救助を待つための技術であり、服を着たまま軽快に泳ぐ方法では ありません。 衣服を着たまま水中に入った場合、長く泳ぐことは困難ですし、水中で服を脱ぐ ことも相当難しいといえます。 このことから、一般に、救助のために水中に入る場合は、服は脱ぐべきといえます。 一方、救助を待つ側はどうでしょうか? まず、辛うじて浮いている人に対して、服を脱いで泳ぐことを求めるのは無謀です。 前述の通り、水中で服を脱ぐのは相当に困難ですから、溺れや体力消耗に つながります。 また、「泳ぐ」という面では服は邪魔になりますが、「浮く」という面では浮力に なりますし体温の低下を防ぐ効果も期待できます。 以上のことから、救助を待つ側は、服は脱がない方がいいといわれています。 ≪一刻も早く遭難者の近くへ?≫ すぐに遭難者に近づくのは危険です。 多くの場合、遭難者はパニック状態ですから、救助者にしがみつくなどして 最悪の場合、抱きつかれた救助者も溺れてしまうケースがあります。 十分な距離を保ったまま、浮力を与え落ち着かせることが重要です。 また、多くの遭難者は「助からないかも?」という恐怖心などから 本来の運動能力を発揮できません。 近くから声をかけ、安心させるだけで、自力で岸に上がった例もあるとか・・・。 つまり、救助に向かったからといって、すぐに抱きかかえて助けるのではなく 落ち着かせて陸に誘導するのが理想といえます。 ≪救助のあとは?≫ 救助は、陸に上げて完了ではありません。 救助された人が数時間後に重篤な状態になったり、亡くなることがあります。 これを「二次溺死」といいます。 水が肺胞中に入ることで肺浮腫が生じ、8〜24時間後に「二次溺死」する可能性が あるので、救助直後は異常が無くても、必ず医療機関に受診させるべきといえます。 |