危機一髪、マーチスの活躍! [2013年11月15日(Fri)]
会報誌「うみもり」や海守主催の施設見学会などでもご紹介してきた
海上保安庁の海上交通センター(通称マーチス)。船の運航に関わりの 無い方にとっては縁遠い存在でしょうが、交通整理をしている警察官 と同様に、海上でも緊迫した航行管制が日夜行われています。 今回は、そんな海上交通センターの活躍により、危機一髪で大事故が 回避されたニュースをお届けします。 《以下、海上保安新聞より》 「まずい。船が反対側のレーンに入った」。10月29日午後10時20分ごろ 備讃瀬戸海上交通センターの東航路レーダ運用卓担当の管制官はレーダー 画面に釘付けになった。 同航路は右側通航になっているが、船名不詳船がセンターラインを超えて 反対側の通航レーンに入ってしまったのだ。車が高速道路を反対方向に走る のと同じ状態だ。 「統括! 東航路一号ブイを通過した東航船が西航レーンを反航しています」。 松崎和雄統括運用管制官に報告した担当管制官は引き続き不詳船に呼びかけた。 「備讃瀬戸東航路中央1番ブイ付近で反航している船、何丸でしょうか? 直ちに東航レーンに戻ってください。こちらは備讃マーチス」。何度も呼び かけたが、応答はない。 一方、松崎統括は他の管制官に西向けの付近の航行船舶に情報提供をするよう に指示した。「情報です。反航の船があります。付近航行船舶は十分注意して ください。こちらは備讃マーチス」。 居眠りかもしれないと考えた松崎統括は、衝突のおそれのある船をレーダー画面 から割り出し、無線で呼びかけるようにも指示した。「フェリーS号、情報です。 貴船の前方2マイルに反航する船がいます。約6分後に行き会いますので十分 注意してください」。他にも3隻の船に注意を呼びかけ、巡視艇にも現場に向かう よう指示した。 「船名さえ分かれば船舶電話で直接話せるのに…」と焦りはつのるが、船名不詳船 は針路まっすぐで航路を斜航し続け、航路からも外れた。「間違いなく居眠り。 このまま行くと直島に乗り揚がってしまう。何とかしなければ…」と必死の思いの 松崎統括。 その時、フェリーS号から「船名が分かった」との連絡が入った。直ちに電話番号 を調べ、タンカー(346d)に直接電話した。異常探知から18分後だった。乗組 員によると、居眠りをしていて電話で目が覚めたとのこと。連絡後、タンカーは安全 な針路に戻った。 タンカーは危険物を搭載していて、島に乗り揚げた場合、危険物が流出して甚大な 被害が及ぶ危険もあった。同海交センターはタンカー船長に厳重に指導した。松崎 統括は「間一髪のところで海難を防止できて良かった。フェリーS号の協力にも感謝 したい」と話している。 |