仙台市に要望
呼びかけ人の小浜耕治が、
3月2日に仙台市「市長への手紙」を活用して要望しました。
以下がその要望文、仙台市回答、記者発表資料です。
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平成27年3月2日
同性パートナーの関係を証するために活用できる制度について
仙台市長殿
日頃より仙台市民のためのご尽力、感謝いたします。
私は仙台市に在住して、30年余りになりました。1992年に、地域のHIV/エイズの問題に取り組んでいた、故加藤哲夫さんの活動に合流しました。93年には東北HIVコミュニケーションズを立ち上げ、以来22年間、微力ながら仙台を拠点とした市民目線・「当事者」目線の活動を続けてきました。
この活動の中で、多くの性的少数者との出会いがありました。また、私自身も同性のパートナーと出会い、20年にわたって居を一つとして配偶者と同様の暮らしを営んで参りました。
昨今、性的少数者をめぐる社会状況は少しずつですが、変化してきています。HIVや、性別変更など固有に抱える取り組みが続けられ、これらは性的少数者だけではなく社会全体へも遡及する成果をもたらしています。
セクシュアリティの多様性の理解は、じわじわとではありますが、広がり始めています。さらに、諸外国での同性婚制度化は、国内の当事者をおおいに勇気付けました。自分たちの努力で同性間など多様なパートナーシップの公的な裏付け(証明)を獲得すべく各地で取り組みが始まっています。
渋谷区等での条例による同性間パートナーシップの保証の動きや、大阪市淀川区のレインボー宣言など、自治体もこうした取り組みに答えつつあります。
仙台市では、東日本大震災以降、災害時における性的少数者が経験する困難について、経験の共有と情報発信が始まっています。3月に開催される国連国際防災会議でも、レインボーアーカイブ東北とせんだいメディアテークの協働について、紹介する企画を予定しています。ぜひ、別紙をご参照ください。
さて、こうした動きがある中ですが、実際に地域で暮らす性的少数者の困難は依然として継続しています。この状況を変えて行くためには、行政機関の協力が不可欠です。震災など災害時には、行政施策に想定されていないことで、これら当事者の困難はさらに際立ちます。
今回は特に、同性パートナーシップについて、現状の施策であっても対応できる部分があるのではと考え、住民票の続柄表記について、検討をお願いしたいと思います。日本人同士で共に暮らす同性パートナーには、現在は「同居人」として、他人の同居としかみなされていません。
これに、外国人同士や外国人と日本人の同性婚パートナーに適応されている「縁故者」を使用できないかというものです。
他人としてではなく、事実上の親族とみなされることは、災害時の安否確認や医療機関での面会、公営住宅、仮説住宅を含めた住宅へのスムーズな入居などを容易にします。緊急時の人道的対応を円滑かつ迅速に行うためにも、当事者と行政の双方にとって欠かせない記載ではないかと考えます。国内での同性パートナーシップについて自治体を含め、さまざまな動きがあります。仙台市としてもどのように取り組むか、下記事項についてご検討いただき、回答をいただけましたら幸甚にたえません。
どうぞよろしくお願いいたします。
記
1. 仙台市の住民票において、同性パートナーに「縁故者」の続柄を使用することができるかどうか。
2. 現状では使用できないとすれば、どのような制度上の制約があるためなのか。
3. それを克服するためには、仙台市としてどのような工夫ができるか。
4. 同性パートナーシップが保証されないことをはじめ、 セクシュアリティが背景にあるいじめや自殺など、 性的少数者が抱える様々な困難を改善するため、 仙台市としてどのような姿勢で臨んでいただけるか。
以上4点について、書面にてご回答いただきたいと存じます。
以上
仙台市在住 小浜 耕治
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仙台市回答
1. 「仙台市の住民票において、同性パートナーに「縁故者」の続柄を使用することができるかどうか」について
住民票においては、日本人同士の事実上の同性婚の状態にある者の続柄を「縁故者」として証明することはできません。
2. 「現状では使用できないとすれば、どのような制度上の制約があるためなのか」について
住民票上の続柄は戸籍上の関係に依るものであり、戸籍上で関係を確認できない場合は、戸籍法に基づく事実関係を立証できた場合に限り、「夫(未)」や「妻(未)」、「縁故者」として記載する場合があります。
しかしながら、同性婚を認めている国で婚姻関係にある外国人住民同士が入国し、住民票を作成する際に婚姻関係にある証書等の提示があった場合は「縁故者」とする先例はありますが、外国人と日本人が同様に婚姻関係となった場合においては、日本に帰国した時点で、日本人は国内法(戸籍法)の適用を受けることから「縁故者」とすることができません。
3. 「それを克服するためには、仙台市はどのような工夫ができるか」について
住民票に関することは住民基本台帳法及び関係政省令で、戸籍に関することは戸籍法及び関係政省令で定められており、その事務の取扱については住民基本台帳事務処理要領や戸籍事務取扱準則制定標準、各種通知、通達等で定められているため、住民票の記載等の取扱いについては市区町村の判断や決定により変更することができないことから、今後、国等の動向を注視して参りたいと存じます。
仙台市市民局地域政策部区政課長 伊藤 勝也
4.セクシュアリティが背景にあるいじめや自殺などの困難に対する改善について
いただいた文書にありますとおり、性的少数者の方々は様々な困難を抱えており、心の健康問題への対応が必要であると認識しております。現在、当市では性的少数者の方を対象とした専用相談窓口はありませんが、日常生活の中で生じる心の問題や悩みについて、精神保健福祉総合センター(はあとぽーと仙台)で相談を行っており、その中で性的少数者の方から相談も受けております。今後、関係部局とも連携を取りながら、相談支援を行って参りたいと考えております。
仙台市健康福祉局健康福祉部障害支援課長 石川 浩之
本市では、男女共同参画推進センター(エル・パーク仙台、エル・ソーラ仙台)において、性的少数者を含め多様性への理解を深める講座の実施や、当事者や支援者の方の活動の場の提供、性的少数者に関する民間イベント等への広報協力などを行って参りました。
性的少数者のかたをめぐる課題は、対応が求められる人権問題の一つであるとの認識のもと、平成28年度からの次期「男女共同参画せんだいプラン」の策定において、性的少数者への配慮について検討してまいりたいと考えております。
仙台市市民局市民協働推進部男女共同参画課長 筒井 幸子
教育委員会としては、教職員を対象とした研修会を開催し、「性同一性障害」についての理解を深めております。また、学校におきましては、プライバシーに十分配慮のうえ、学校生活を送るにあたっての要望や意向を本人等に確認しながら、個別に対応を行っております。
仙台市教育委員会健康教育課長 清水 義明
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平成27年3月2日「市長への手紙」に投稿
同性パートナーの関係を証するために活用できる制度について
3/17の回答に対する評価について
小浜 耕治
市長への手紙にて3月2日に問い合わせを行いました件(資料1)について、資料2のとおり回答していただきました。これに対する評価・感想を述べます。
1〜3について、「縁故者」使用は現時点ではできず、今後国の動向を注視するということです。理由に挙げられた住民票記載は戸籍に基づくという点ですが、夫(未)、妻(未)、縁故者などは住民票特有の続柄です。基本的に最終的な裁量は自治体にゆだねられている事項なので、何か工夫ができないかと尋ねたわけですが、これに対する回答は不十分と考えています。また、災害など緊急時に関する人道的視点については触れていませんでした。法律の専門家にも助言を仰ぎ、他地域の動きもフォローしながら、自治体独自で取り組める事項について、今後も提案して共に施策実現を目指したいと考えます。
4のセクシュアリティが背景にある諸問題への対処は、3つの課から回答がありました。
男女共同参画推進課では、平成28年度からの「男女共同参画せんだいプラン」へ向け検討するという回答いただきました。これまで「男女共同参画せんだいプラン」策定のための市民との対話で性的少数者に関する事項がないことについて、問題だと指摘してきましたが、これが検討していただけるということです。大いに期待したいと思います。
障害者支援課では、関係各部局と連携しながら相談対応を行っていくことが示されました。性的マイノリティに対する支援については自殺大綱にも記載されている事項です。具体的に仙台市の自殺対策の施策の中に盛り込み、そこに当事者の意見が反映できるよう、仕組みを作る必要があると考えます。そのために諸団体に呼び掛け、協力する準備があります。
健康教育課からは、性同一性障害の研修を行い学校では個別対応している、とのことですが、性同一性障害以外の性的マイノリティについては触れられていません。先に述べた自殺大綱には学校の役割も示されており、この点について、今後さらなる要望を出していこうと思います。
これらの他にもすでに協働の実績のある保健医療課や、仙台市自体の労務管理体制などにも、セクシュアリティは関わってきます。一つ一つ課題を示しながら、各課との連携を模索してゆく所存です。
以上
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3月2日に仙台市「市長への手紙」を活用して要望しました。
以下がその要望文、仙台市回答、記者発表資料です。
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平成27年3月2日
同性パートナーの関係を証するために活用できる制度について
仙台市長殿
日頃より仙台市民のためのご尽力、感謝いたします。
私は仙台市に在住して、30年余りになりました。1992年に、地域のHIV/エイズの問題に取り組んでいた、故加藤哲夫さんの活動に合流しました。93年には東北HIVコミュニケーションズを立ち上げ、以来22年間、微力ながら仙台を拠点とした市民目線・「当事者」目線の活動を続けてきました。
この活動の中で、多くの性的少数者との出会いがありました。また、私自身も同性のパートナーと出会い、20年にわたって居を一つとして配偶者と同様の暮らしを営んで参りました。
昨今、性的少数者をめぐる社会状況は少しずつですが、変化してきています。HIVや、性別変更など固有に抱える取り組みが続けられ、これらは性的少数者だけではなく社会全体へも遡及する成果をもたらしています。
セクシュアリティの多様性の理解は、じわじわとではありますが、広がり始めています。さらに、諸外国での同性婚制度化は、国内の当事者をおおいに勇気付けました。自分たちの努力で同性間など多様なパートナーシップの公的な裏付け(証明)を獲得すべく各地で取り組みが始まっています。
渋谷区等での条例による同性間パートナーシップの保証の動きや、大阪市淀川区のレインボー宣言など、自治体もこうした取り組みに答えつつあります。
仙台市では、東日本大震災以降、災害時における性的少数者が経験する困難について、経験の共有と情報発信が始まっています。3月に開催される国連国際防災会議でも、レインボーアーカイブ東北とせんだいメディアテークの協働について、紹介する企画を予定しています。ぜひ、別紙をご参照ください。
さて、こうした動きがある中ですが、実際に地域で暮らす性的少数者の困難は依然として継続しています。この状況を変えて行くためには、行政機関の協力が不可欠です。震災など災害時には、行政施策に想定されていないことで、これら当事者の困難はさらに際立ちます。
今回は特に、同性パートナーシップについて、現状の施策であっても対応できる部分があるのではと考え、住民票の続柄表記について、検討をお願いしたいと思います。日本人同士で共に暮らす同性パートナーには、現在は「同居人」として、他人の同居としかみなされていません。
これに、外国人同士や外国人と日本人の同性婚パートナーに適応されている「縁故者」を使用できないかというものです。
他人としてではなく、事実上の親族とみなされることは、災害時の安否確認や医療機関での面会、公営住宅、仮説住宅を含めた住宅へのスムーズな入居などを容易にします。緊急時の人道的対応を円滑かつ迅速に行うためにも、当事者と行政の双方にとって欠かせない記載ではないかと考えます。国内での同性パートナーシップについて自治体を含め、さまざまな動きがあります。仙台市としてもどのように取り組むか、下記事項についてご検討いただき、回答をいただけましたら幸甚にたえません。
どうぞよろしくお願いいたします。
記
1. 仙台市の住民票において、同性パートナーに「縁故者」の続柄を使用することができるかどうか。
2. 現状では使用できないとすれば、どのような制度上の制約があるためなのか。
3. それを克服するためには、仙台市としてどのような工夫ができるか。
4. 同性パートナーシップが保証されないことをはじめ、 セクシュアリティが背景にあるいじめや自殺など、 性的少数者が抱える様々な困難を改善するため、 仙台市としてどのような姿勢で臨んでいただけるか。
以上4点について、書面にてご回答いただきたいと存じます。
以上
仙台市在住 小浜 耕治
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仙台市回答
1. 「仙台市の住民票において、同性パートナーに「縁故者」の続柄を使用することができるかどうか」について
住民票においては、日本人同士の事実上の同性婚の状態にある者の続柄を「縁故者」として証明することはできません。
2. 「現状では使用できないとすれば、どのような制度上の制約があるためなのか」について
住民票上の続柄は戸籍上の関係に依るものであり、戸籍上で関係を確認できない場合は、戸籍法に基づく事実関係を立証できた場合に限り、「夫(未)」や「妻(未)」、「縁故者」として記載する場合があります。
しかしながら、同性婚を認めている国で婚姻関係にある外国人住民同士が入国し、住民票を作成する際に婚姻関係にある証書等の提示があった場合は「縁故者」とする先例はありますが、外国人と日本人が同様に婚姻関係となった場合においては、日本に帰国した時点で、日本人は国内法(戸籍法)の適用を受けることから「縁故者」とすることができません。
3. 「それを克服するためには、仙台市はどのような工夫ができるか」について
住民票に関することは住民基本台帳法及び関係政省令で、戸籍に関することは戸籍法及び関係政省令で定められており、その事務の取扱については住民基本台帳事務処理要領や戸籍事務取扱準則制定標準、各種通知、通達等で定められているため、住民票の記載等の取扱いについては市区町村の判断や決定により変更することができないことから、今後、国等の動向を注視して参りたいと存じます。
仙台市市民局地域政策部区政課長 伊藤 勝也
4.セクシュアリティが背景にあるいじめや自殺などの困難に対する改善について
いただいた文書にありますとおり、性的少数者の方々は様々な困難を抱えており、心の健康問題への対応が必要であると認識しております。現在、当市では性的少数者の方を対象とした専用相談窓口はありませんが、日常生活の中で生じる心の問題や悩みについて、精神保健福祉総合センター(はあとぽーと仙台)で相談を行っており、その中で性的少数者の方から相談も受けております。今後、関係部局とも連携を取りながら、相談支援を行って参りたいと考えております。
仙台市健康福祉局健康福祉部障害支援課長 石川 浩之
本市では、男女共同参画推進センター(エル・パーク仙台、エル・ソーラ仙台)において、性的少数者を含め多様性への理解を深める講座の実施や、当事者や支援者の方の活動の場の提供、性的少数者に関する民間イベント等への広報協力などを行って参りました。
性的少数者のかたをめぐる課題は、対応が求められる人権問題の一つであるとの認識のもと、平成28年度からの次期「男女共同参画せんだいプラン」の策定において、性的少数者への配慮について検討してまいりたいと考えております。
仙台市市民局市民協働推進部男女共同参画課長 筒井 幸子
教育委員会としては、教職員を対象とした研修会を開催し、「性同一性障害」についての理解を深めております。また、学校におきましては、プライバシーに十分配慮のうえ、学校生活を送るにあたっての要望や意向を本人等に確認しながら、個別に対応を行っております。
仙台市教育委員会健康教育課長 清水 義明
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平成27年3月2日「市長への手紙」に投稿
同性パートナーの関係を証するために活用できる制度について
3/17の回答に対する評価について
小浜 耕治
市長への手紙にて3月2日に問い合わせを行いました件(資料1)について、資料2のとおり回答していただきました。これに対する評価・感想を述べます。
1〜3について、「縁故者」使用は現時点ではできず、今後国の動向を注視するということです。理由に挙げられた住民票記載は戸籍に基づくという点ですが、夫(未)、妻(未)、縁故者などは住民票特有の続柄です。基本的に最終的な裁量は自治体にゆだねられている事項なので、何か工夫ができないかと尋ねたわけですが、これに対する回答は不十分と考えています。また、災害など緊急時に関する人道的視点については触れていませんでした。法律の専門家にも助言を仰ぎ、他地域の動きもフォローしながら、自治体独自で取り組める事項について、今後も提案して共に施策実現を目指したいと考えます。
4のセクシュアリティが背景にある諸問題への対処は、3つの課から回答がありました。
男女共同参画推進課では、平成28年度からの「男女共同参画せんだいプラン」へ向け検討するという回答いただきました。これまで「男女共同参画せんだいプラン」策定のための市民との対話で性的少数者に関する事項がないことについて、問題だと指摘してきましたが、これが検討していただけるということです。大いに期待したいと思います。
障害者支援課では、関係各部局と連携しながら相談対応を行っていくことが示されました。性的マイノリティに対する支援については自殺大綱にも記載されている事項です。具体的に仙台市の自殺対策の施策の中に盛り込み、そこに当事者の意見が反映できるよう、仕組みを作る必要があると考えます。そのために諸団体に呼び掛け、協力する準備があります。
健康教育課からは、性同一性障害の研修を行い学校では個別対応している、とのことですが、性同一性障害以外の性的マイノリティについては触れられていません。先に述べた自殺大綱には学校の役割も示されており、この点について、今後さらなる要望を出していこうと思います。
これらの他にもすでに協働の実績のある保健医療課や、仙台市自体の労務管理体制などにも、セクシュアリティは関わってきます。一つ一つ課題を示しながら、各課との連携を模索してゆく所存です。
以上
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