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≪TOMO市メルマガ≫ 阿波藍、徳島スローワークあゆみ園がオープン! No.397 [2017年08月17日(Thu)]



─T─O─M─O─市─
きょうされんネットショッピングモールTOMO市より、
新着情報をお届けします。

〜 障害のある人の仕事と社会をつなぐかけ橋に 〜
- http://www.tomoichiba.jp -

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【 Contents 】
  
 阿波藍、徳島スローワークあゆみ園がオープン!

【お知らせ】

 ★書籍がクレジットカードでお買い求めやすくなりました!

  これまで、クロネコDM便で配送の商品はお支払方法が
  「銀行振り込みのみ」でしたが、
  クレジットカード決済もできるようになりました。

 ◆藤井克徳の新刊! 『障害者をしめ出す社会は弱くもろい』
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tomobook_2239.html

 

 ◆『健太さんはなぜ死んだか ― 警察官の「正義」と障害者の命』
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tomobook_2232.html

 

 ◆アートグッズ2017特集
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/clp1pc15c163c2327c3349o0of0v0.html

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 こんにちは、TOMO市のウリです。
 みなさん、お盆はどう過ごされましたか?

 暑さに弱い私は、ちょっと涼しかったので助かりました。
 先日ご紹介した藤井さんの新刊を結構ガッツリ読みました。


 さて、今回は徳島から新ショップオープンのお知らせです。 
 阿波藍(あわあい)で染めたタオルを取り扱います。

 ◆徳島スローワークセンターあゆみ園
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tokushima2_index.html


 徳島市身体障害者連合会が昭和56年の国際障害者年を記念し、
 身体障害者の自立と社会参加の促進のために、
 昭和57年4月「あゆみ園事業所」として開所。

 徳島県最初の身体障害者の就労支援施設として、
 多くの方々を受け入れ、訓練し、社会に送り出してきました。

 そして、藍の本場徳島で、藍を30年以上染め続けてきました。

 江戸時代から現代まで続く技術で
 この「藍色=ジャパンブルー」を大切に守り続けています。


 【 天然藍染 TOMO市掲載商品 】

 ●天然藍染スポーツタオル  2,000円
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tokushima2_2236.html

 


 ●天然藍染タオル  1,300円
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tokushima2_2237.html

 


 ●天然藍染タオルハンカチ  800円
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tokushima2_2238.html

 


 藍の葉を細かく刻んで発酵させて作る天然染料を「すくも」といい、
 なかでも徳島で生産される「すくも」を「阿波藍」と呼んでいます。

 もともとは水に溶けない藍色を、
 染色できる状態にすることを「藍を建てる」といいます。

 あゆみ園では灰汁発酵建てと呼ばれる技法で、
 木灰、日本酒でアルカリ性と栄養を保ちながら
 「すくも」を「撹拌」し発酵させ染め液を作ります。
 この液で染めたものが「本藍染め」と呼ばれます。

 天然染色は微生物の活動に支えられているため、
 湿度など気候によって染まりにくくなることもあり、
 そのときどきで工夫が必要で、
 いろいろな用途に合わせた染色を出すために日々努力しています。

  


 自然の恵みを潤沢に受け、
 古くから日本人に愛されてきたのが藍色と言われています。
 
 阿波藍の天然染めは、はじめの数回は洗濯時に多少色落ちします。
 それが天然藍染めの特徴であり、洗うたびに色が冴えてきます。
 その清かさはこの暑い季節にはぴったりかもしれませんね。

 みなさん、どうぞよろしくお願いします。


 ◆徳島スローワークセンターあゆみ園
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tokushima2_index.html


─T─O─M─O─市─<  アートグッズ2017  >──────────


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 ★ 今治ブランドミニタオル〈ゆき&増殖〉2枚セット 1,200円
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 ★ 〈ヤリイカ〉Tシャツ(ホワイトorブラック) 2,000円
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_kyousaren_2223.html

 ★ バンダナ〈オバケ電気星&手を伸ばしても届かないもの〉1,600円
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 ★ 風呂敷〈夏のおわりもうすぐ全国大会〉 2,160円
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_kyousaren_2225.html


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 twitter・blogでは写真付きでオススメ商品などを紹介しています。

 twitter : https://twitter.com/TOMOICHIBA (@TOMOICHIBA)
 Blog   : https://blog.canpan.info/tomoichiba/

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◆◇ 防災グッズ特集ページ ◇◆

 実際に震災を体験された方々の
 “生の声”にしっかりと耳をかたむけ、
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   〜障害のある人の毎日をささえる〜 』

 今、障害のある人たちのくらしはどうなっているのか、
 それを支える人たちの想いとは…。
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tomobook_2214.html


 『 すきなときに すきな人と すきなところへ
   〜 ひろげよう!障害者権利条約! 〜 』

 障害のある当事者の視点から、
 わかりやすく障害者権利条約を紹介しています。
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tomobook_2159.html


『 えほん 障害者権利条約 』
 
 2014年2月より日本も守ることになった障害者権利条約。
 その誕生からめざすべき社会までを、
 子どもにも、そして誰にでもわかりやすく描いています。
 ⇒ http://www.tomoichiba.jp/s_tomobook_2128.html


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 発行元:きょうされん事務局(TOMO市管理事務局)
 発行担当:ナベ・ウリ・ミヤ・テリー

 ○TOMO市に関するお問い合わせや
  本メールマガジンへのご意見・ご感想は info@tomoichiba.jp まで

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『 温ったか ここに あったか 』
障害のある人たちが働く「作業所」のショッピングモールTOMO市
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<メルマガこぼれ話>

さて、今回は「徳島スローワークセンターあゆみ園」の立ち上げについてです。

「手染めの阿波藍の事業所が出店したいと言っている」と聞いて、真っ先に浮かんだのは敬愛する志村ふくみさんのことでした。ここは担当者個人の個性が出る形で好きに書くと決めているので長文ですが引用します。


 * * *


●志村ふくみ『色を奏でる』(ちくま文庫、1998年)

.9-11(「草木の生命」より)

 「草木は人間と同じく自然より創り出された生物である。染料となる草木は自分の命を人間のために捧げ、色彩となって、人間を悪霊より守ってくれるのであるから、愛(なさけ)をもって取扱い、感謝と木霊(こだま)への祈りをもって染の業に専心すること」−−古代の染師の間に語り伝えられた「染色の口伝」の一説である(前田雨情『日本古代の色彩と染』)。

 古代の人々は強い木霊の宿る木を薬草として用い、その薬草で染めた衣服をまとって、悪霊から身を守った。まず火に誠を尽し、よい土、よい金気、素直な水をもって、命ある美しい色を染めた。すなわち、よい染色は、木、火、土、金、水の五行の内にあり、いずれも天地の根源より色の命をいただいたというわけである。

(・・・)

 私がこの染織の道に入っていらいの長い歳月、自然界から受けた草木の色彩は、この貧しい器に受けとめることができないほど、無量に降り注ぐものであった。私は、子供が絵の具をあたえられたような悦(よろこ)ばしさをもって、草木で染められた糸を織りつづけた。


 * * *


染色という仕事がどういうものであるか、ここに私では文章にできない奥深さと豊かさを感じます。

もともとTOMO市は「手づくり」「安全・安心」といったテーマでコンセプト設計されています。障害のある人が参加できる作業、労働投入量に弾力性を持たせる必要があること、付加価値=お給料への反映額を高くしやすいこと、画一的な大量生産より高品質なものを提供することが、障害者の支援という思いを持ったお客さん層とマッチしやすいこと、などが理由なのかなと推測しています。

言い換えると、市場においてこういう形で競争力を担保していく路線が、現状のTOMO市として妥当だと思います。この場合、もっとも特別で中心にあるニーズは「機能的価値」ではなく「寄付商品として心理的価値」であったり「自己表示的価値」であったりするのだと思いますが、それだけに甘えて品質向上にとりくまないのは違うだろう、というのは数十年来、現場の方々からも聞かれる声のようです。

障害のある人たちの製品を、労働を、高付加価値にする(≒給料アップ)というテーマにいつも頭をひねっているわけですが、この「藍染め」に一つのヒントを見る気がしました。「この人間国宝クラスのしごとを作業所でできればいいのに」ということです。そのために引き続き文章を紹介します。

「阿波藍」でもう一つ思い浮かんだのが、柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫、1985年)です。阿波藍の項目に、特にページを割いているのですが、阿波藍がいかに高度な技術であるか、そこで生まれる藍色がいかに日本の伝統的な色であるか、明治以降の近代化によって効率的で安価な染色に取って代わられるプロセスとそこで失われゆくものについて言及しています。

文章自体は1943年ごろに書かれたものだそうです。これも長文ですが引用します。


 * * *


p.203
 その他阿波には色々のものを数え得るでありましょうが、この国が天下にその名を成したのは何よりもまず「藍(あい)」のためであります。「阿波藍(あわあい)」といって、日本全土に行き渡り、おそらく紺屋(こうや)という紺屋、皆多かれ少なかれこの藍を用いました。

p.204
 藍というのは一年生草本で蓼(たで)科に属する植物であります。葉は濃い紫色を呈し花は紅で、阿波の平野にこれが一面に植えられている様も見ものでありました。その葉から染料を取ります。発酵させて固めたものを「藍玉(あいだま)」と呼び、まだ柔らかいのを「(すくも)」といいます。紺屋はこれを大きな甕(かめ)に入れ、石灰を加え温度を適宜にし、かつ混ぜつつ色を出します。よい色を出すのはなかなかの技で、昔は藍のお医者があったといわれるほどです。

p.204-205
 もとより青の色でありますが、普通淡い方を「藍(あい)」といい濃い方を「紺(こん)」と呼び慣わしています。この色は広く東洋の色と称してもよく、西洋には余り発達の跡を見ません。そのためでもありましょうが、西洋人は植物から取るこの天然藍に一入(ひとしお)感じ入るようであります。かえって私たちは余りにも見慣れているため、その価値を顧みない傾きがあります。(中略)おそらくこの色を最も多く取入れたのは日本人ではないでしょうか。その証拠にはこの色を以て凡(すべ)ての色を代表させました。染物屋を呼んで「紺屋(こうや)」といいます。庶民の着物であった絣(かすり)もまた「紺絣(こんがすり)」の名で親しまれました。それほどわが国では紺が色の本(もと)でありました。遠い地方にはいわゆる「地玉(じだま)」といってその土地の藍もありましたが、何といっても「阿波藍」は藍の王様でありました。色が美しく、擦(こす)れに強く、香(かおり)が良く、洗いに堪え、古くなればなるほど色に味(あじわ)いが加わります。こんな優れた染料がほかにないことは誰もが経験するところでありました。

p.205
 しかし時は流れました。明治の中頃(なかばごろ)までさしも繁昌を極めた「阿波藍」にも大きな敵が現れました。化学は染めやすい人造藍を考え出しこれを安く売り捌(さば)きました。(中略)手間のかかる本藍はこれに立ち向かうことが難(むずか)しくなりました。

p.206
 これは時勢といえばそれまででありますが日本人は人造藍で便利さを買って、美しさを売ってしまいました。この取引は幸福であったでしょうか。そうは思えないのであります。(中略)何より取返しのつかないことは、天然藍が有(も)つ色の美しさを失ってしまったことであります。化学は人造藍の発明を誇りはしますが、誇るならなぜ美しさの点でも正藍(しょうあい)を凌(しの)ぐものを作らないのでしょうか。それは作らないのではなく、作れないのだという方が早いでありましょう。この点で化学は未熟さを匿(かく)すことは出来ません。

p.207

 誰も比べて見て、天然藍の方がずっと美しいのを感じます。それ故昔ながらの阿波藍を今も用いる紺屋は、忘れずに「正藍染(しょうあいぞめ)」とか「本染(ほんぞめ)」とかいう看板を掲げます。そしてその店の染は本当のものだということを誇ります。また買手の方も、「正藍(しょうあい)」とか「本染(ほんぞめ)」とかいうことに信頼を置き、かかる品を用いることに悦びを抱きます。これは今では贅沢(ぜいたく)ということにもなりますが、本当に仕事を敬い本当の品物を愛するという心がなくなったら、世の中は軽薄なものになってしまうでありましょう。つい半世紀前までは日本の貧乏人までもが、正藍染の着物を不断着(ふだんぎ)にしていたことをよく顧みたいと思います。?もののなかった時代や、本物が安かった時代があったことは、吾々に大きな問題を投げかけてきます。これに対しどういう答えを準備したらよいでしょうか。


 * * *


障害者の就労・しごとについて、きょうされんは「福祉的就労」と「一般的就労」の「対角線モデル」というものを提唱しています(たぶん)。ちょっと乱暴にまとめると「働くこと自体の価値」と「お金になる仕事」はグラデーションかつパラレルで、ある人にとってどちらか一方を機械的に押し付けるものではないし、選択の幅があっていいという話とも読めます(たぶん)。現在、一般就労への移行、その境界には厳然としたハードルが存在ますが、そんな切り分け方ではなく、ある範囲で一般就労を担うしその分の給料がもらえるし、ある範囲で福祉的就労として相応のサポートを受けながらはたらけるようにする、本人のニーズと状態に合わせてフレキシブルに選択できる状態にしたらいいのに、という理解です(たぶん)。

7/21にヤマト福祉財団さん主催のパワーアップフォーラムに参加させていただきながら、あゆみ園出店についてあれこれ考えていました。私がきょうされんにお世話になり、TOMO市の担当になって以来考え続けていることの一つは、「障害のある人にとってはたらく意味は何か」「社会にとって障害のある人がはたらく意味は何か」ということです。

「福祉的就労」という観点で見れば、たとえ生産性が低くてもそれを通じて社会とつながり、障害のある人が自分を表現し、その存在を確認できる。大きなお金にならなくても、GDPという数値には反映されなくてもです。そこでの価値は他者と比較しての相対的な量の問題ではなく、絶対的にまずある人の価値を大切にする思想が貫かれているように見えます(そうじゃない現場もたくさんあるのかも、ですが…)。

「賃金アップ」ということから見れば、市場のニーズに応えるということでもあって、必ずしも自分の好きなことや得意なことだけではない場合もある。でも、買ってくれる人がいるというのは「誰かに必要とされる仕事」であるということでもあって、それはとても大事なことだと思います。

この両者の論理が、「はたらく」の中に対角線的にある(ように思える)。グラデーションといいますか。


この葛藤は私の中でも、いろいろな話を聞く中でもあって、「労働人口が減っていく中で障害者の戦力化を図る」「役に立たないと金にはならない」とかは後者のロジックだろうと思うし、「本人のニーズが出発点だから無理やり有用性の型にはめたくない」というが前者であったり。どちらかだけでなく、両方がその人のニーズと状態と環境に配慮して適切に配分されるのが大事なんだろうなと想像します。

また事業経営の設定として、「ある人が参加できる仕事から事業をどうするかを考える場合」と、「やらなければならないことが先に会ってそこに人を当てはめる、教育して適合していってもらうほうがよい場合」もあるだろうしで、これも両方が並行しているのだけれど、そのバランスの設定にはそれぞれに葛藤があるように思います。マーケティング的にいえば「生産志向コンセプト(労働志向ともいえるかも)」なのか「マーケット志向コンセプト」なのかでもあって、当然後者の方がお金になる確率は高くなります。

当事者の多様なニーズに沿って働ける場所や働き方が選べるといいですよね。少なくとも、障害のあるなしに関係なくみんなが同程度にそれを選べるといい。


 * * *


と上司に見られても無難な結論を書いておいて、この統一のさせ方について、今回の藍染で考えた話を書きます。

「生産志向コンセプトという競争力の低い事業スタイルを守りうる福祉的就労」ということに、実はものすごい可能性があるのではないかと思うのです。もし「すぐに金になる」ことがなくても、障害のある人の「しごと」の持つ可能性について。

一定の売り上げがなければ存続できないのは資本主義のルールです。しかし、福祉的就労はいい悪いは別にして、商品が売れなくても事業所はつぶれない場合があります。いいものを作ってそれが売れれば加点的に給料アップにつながる領域になっていて、現代にそこでこそできる人類にとって普遍的な価値あるものの生産、というのがありうるのではないかと、今回の藍染について考えていました。

私は作業所運動の人的資源の強み(こういう言い方はよくないかなぁ…)の一つは、「待つことができる」「人・対象の内在的な把握ができる(発達保障論とか)」ことだと考えています。自立支援法以降はこういう部分がどんどん削られている印象はありますが。

近代以降、日本の伝統や文化について、それが「お金にならないから」「食べていけないから」すたれざるをえなかったものたちというのはたくさんあると思います。一部の特殊な文化財として保護を受けたり、ビジネスとしてやっていく仕組みに適応できた事例はもちろんすばらしいと思いますが、そうでないものもたくさんあるでしょう。

それを一部のすぐれた人だけが担うのではなく、地域地域に生きる(生きていかざるをえない)障害のある人や共に生きる人たちが、福祉的就労の範囲でもいいから受け継ぐことができ、そのことが地域の文化的豊かさをはぐくめたらいいなぁと思うのです。

そこに生きる人の多様性を障害者権利条約が保障(権利条約は障害者だけでなく女性や子どもや少数民族といった人たちの権利ともつながっています)することで、その地域の風土とともに生きた先人たちの育ててきた、文字通りかけがえのない文化や歴史の豊かさの守り手になりうるのではないか。効率性重視ではなく、お金になるかだけの基準でなく、粘り強く続ける、待つことができるがゆえにです。

そういうポテンシャルが作業所運動にはあるのかもしれないな、と感じることがあります。少なくとも私はきょうされんの目ざす「権利条約を地域のすみずみに」というテーマにそうしたビジョンも重ねています。もちろん、「こうした社会への有用性を示せない限りは価値を認めない」ということではありません。


 * * *


そんなことをあれこれと考えてから、阿波藍の話、徳島スローワークセンターあゆみ園のことをもう一度考えてみます。阿波藍については

・徳島県観光情報サイト 阿波ナビ
https://www.awanavi.jp/feature/awaai.html

・公益社団法人徳島県物産協会 公式ホームページ あるでよ徳島
http://tokushima-bussan.com/crafts/awa-ai/

などを参考にさせていただいています(写真などすばらしいページなので一度のぞいてみてはいかがでしょうか?)。


藍染めというのは発酵=微生物との付き合いでもあって、自然の豊かさと奥深さとじっくり付き合うことが不可欠です。人間の都合だけではいい色には染まらないそうです。「対象とじっくり付き合う」というのは、発達保障論でよく出る話で、何か福祉業界と親和性がある気もします。

天然の藍染は人類最古の染料ともいわれるそうで(もしそうだとすれば、藍の歴史が人類が“色”を自分たちの生活に取り込む発展の過程でもあったわけで、想像するだけですごいと思います)、日本には約1500年前ごろに朝鮮半島から伝わったのではないかとのことです。

阿波藍は室町時代には徳島県外に流通している記録が残っており、染物屋一般をその代表格である紺から「紺屋(こうや)」と呼んだというのは先の『日本の手仕事』にある通りです。江戸時代に一般的にも普及したようで、日本人の生活と自然の結び目にずっと「藍」があったことが想像できます。

なぜ徳島(阿波)だったのか、そこには四国三郎と呼ばれた「吉野川」の存在があります。氾濫を繰り返す吉野川は一方で肥沃な土地をもたらしますが、稲作には向かなかったそうです。そこで「藍」が出てきます。洪水の季節前に収穫を終えられる藍を育て、関連産業をはぐくむことで阿波藩の財政を支えることになったようです。1500年代の後半には主幹産業の一つになっていたようです。

商品を洗っていただくとわかりますが、手染めは手も青くなります。あまり定かな資料が見つけられていませんが、中世「紺屋」というのは蔑称でもあったようです。ゴム手袋などなかった時代、染めることで手が青くなった人々は被差別民でもあったのかもしれません(確証はないので違ったらすぐ訂正します)。しかし、そうした役割を担う人なくして藍のこの豊かな歴史はなかったのかもしれない、ということと、いま「多様性を生きる時代に障害のある人のしごとの意味を考えること」が、何かシンクロする気もします。

(近日中にきょうされん専務理事の新刊『障害者をしめ出す社会は弱くもろい』をTOMO市でも販売しますが、多様性を担保することがなぜ社会にとって大事なのか書かれた本になっています。)

しかし近代に化学染料に押され天然藍は衰退。でも、近年は「ジャパンブルー」とも称され再注目されている、とのこと。サッカー日本代表の青はこの藍の青とも言われているそうです。


 * * *


柳宗悦のいう「本物」であったり志村ふくみさんのいう「草木の色彩」の宿す、本当の豊かさは、技術とともにこういう自然や歴史の奥深さ、それとともに生きる姿勢に支えられているように思います。

それを、障害のある人たちや職員さんの“しごと”の指先や身体や視線に乗せられたらなぁと思います。長い時間をかけてでも、ゆっくりでいいので、粘り強く。この分野の懐の深さやある種の強みが、競争上も優位として働きうる可能性を考えてみたいなぁと。

もちろん現場の各事業所のみなさんに私の都合で押し付けられることでもないのですが、TOMO市でそういう商品を売ることができたら、それを通じて障害があってもはたらいて生きる人たちの支えになれたら、TOMO市も自分の仕事ももっと豊かになるだろうと思っています。そんなことを夢想しつつも、現実的にできる仕事をやっていきますので、みなさん、これからもTOMO市をよろしくお願いします。



【追記】

お盆休みに藤井さんの著書『障害者をしめ出す社会は弱くもろい』をじっくりと読んで、あらためてこのテーマの難しをを感じています。「経済優先」「効率優先」の社会、言い換えると「付加価値が高いほど人間的価値があるような考え方」が自分の中に根深くあるのを感じたからです。もちろん「一般就労」的側面≒給料アップにとってこの観点に意味はあると思いますが、何か本筋ではないところを空回っている気もしてきています。

ま、じっくり、繰り返し、目の前の仕事を積み重ねつつ、考え続けます。
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