憲法記念日によせて [2011年05月06日(Fri)]
甍の波と雲の波〜♪ 気持ちよい風薫る五月の空。ともの家の前庭でも吊り下げられた(?)こいのぼりが、皆さんがお茶を飲むのを尻目に体いっぱい風をはらんでいます。 ![]() 鯉のぼりが上がった翌日は、あいにくと黄砂吹き荒れる風の強い日で、 さっそく鯉たちはからまったロープでぐるぐる巻きにされ、 鯉のぼり、ならぬ鯉の昆布巻きよろしく、無残にもデッキに打ち上げられてしまっていましたが… ![]() ![]() 翌々日には元に戻って悠々と青い空を泳いでいたのでした。 鯉たちの雄姿を見ながら歌を歌い、 「甍、って何ですか」「瓦、じゃないの」そんな会話も弾むさつきの空の下です。 ![]() 5月5日は“こどもの日”。大型連休にあたるため、お子さん連れのご家族や職員の姿も目立ちました。 子どもを前にするとお年寄りの表情は緩みます。 ![]() Mさんの親戚の1歳7ヶ月の女の子がボールで遊んでいると、 皆さん「かわいいねえ」と満面の笑み。 日ごろ反応が乏しくなっているKさんも、「えらいねえ」と手が伸びていました。 私たちがかなわないな、と思うのはそんな瞬間です。 いろいろな方とのふれあいの場を多く持ちたいと思います。 ![]() さて、去る5月3日は憲法記念日でした。 私も憲法集会に参加し、その後「スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」」(小澤徳太郎著・朝日新聞出版)を読んで、考えてしまいました。 スウェーデンは「福祉国家」として名高いですが、それは20世紀の話、 21世紀は人も環境も大切にする「緑の福祉国家」を目指しているそうです。 先日日本を襲った自然災害。さらに原子力汚染が被害に拍車をかけました。いま、真剣に近い将来における人類の存続に危機感を覚えます。 憲法集会でも、依然として実在する、25条生存権の侵害を痛切に感じました。 格差と貧困問題は、福祉の世界の貧しさと切り離せないように思います。 いったいこれからどうなってしまうのか。日本はどこへ行くのか。私たちにできることは何だろう。 そんな中、私の疑問にヒントを与えてくれたのが先に挙げた本です。 スウェーデンの行動原理は、「当たり前のことを当たり前のこととして実行する」につきる、 と著者は言います。 そして、日本との違いは行政府のビジョンとビジョンを具体化する制度があること、 つまり政治のリーダーシップだと述べられます。 ゆるぎない理念があり、目的と方法が確立しており、そこへ向かう道筋(制度・政策) があってこそ、現実は動いていく。 何も政治の世界だけの話ではありません。 今回気がついたのですが、ともの家の理念は、かぎりなく憲法25条に近いのです。 私たちの活動は、大きくは憲法の理念と社会福祉の実現を念頭においていなければならないと 改めて思いました。 そのためにはもちろん、現場の行動力が不可欠です。理念を実現し、具体化するのは職場で働く一人ひとりなのですから。 そう考えると、やはり現実を変えるのは国民一人ひとりの力でないかと思います。 「国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」、と憲法にもありますが、どんなに良い理念を掲げても、守る努力を怠れば、それはむなしい絵に描いたもちに過ぎないからです。 日本人は、なんとなく政治を語ることを避ける風潮にあります。 宗教と政治問題は親密さを壊すというように。 しかし、私たちの権利を守るには、スウェーデンのように、当たり前のこととして主権者である国民が政治を考え、政策にかかわっていかねばならないと思うのです。 人任せにしているから、変わらないし未来もない。 社会福祉は私たちの暮らしと密接にかかわっています。 私ももっと、恥ずかしがらずに、一市民として、声を上げていかねばならないのだな、と反省した一日でした。 |