秋深まり… [2010年11月18日(Thu)]
立冬を迎え、めっきり朝夕は冷え込むようになりました。
夕暮れも早くなり、夏はまだ明るい戸外を眺めつつディナーを楽しめたのに、 最近は夕食事にはすでに表が暗く、弱まった陽のあたる冬枯れの景色が、物悲しさを醸し出しています。 そんな中、小規模多機能ホームでは「ともの家畑」のいも掘りが行われました。 毎年畑に招いてくださっていた農家の方が亡くなってからは、 中林邸にお世話になったり、いも掘りシーズンにはあちこちの畑を求めて流浪の民だったのですが、今年はついに念願の畑を手に入れたので、敷地内でいも掘りが行えるという幸せにめぐりあえたのでした。 ![]() 少し寒さを感じる晴れた日の午後、いつも外に出る男性の皆さんに声をかけると Sさん、「よしいこう!」と乗り気の返事。 大柄な男性Nさんは、「いかんいかん、こんな日に身体悪くする。寝ないかん」とその巨体を生かすことなく布団にもぐりこんでしまいました… 代わって農家の女性Kさんが、「行きますよ!」と力強く返事をされ、 一同は畑に…。 スタッフWさんとSさんが鍬をもち、私が芋づるを引っ張った後を掘り返していきます。 ![]() 大きなカボチャも収穫でき、かごは次第に重さを増していきます。 Kさんは辛抱強くかごを持ってくださいました。 ![]() 土のついた芋は外できれいに土を落とされました。 収穫された芋を見て、皆さん大喜び。 絵の好きなTさんはさっそくスケッチブックを広げて写生してくれました。 重度の認知症のため言葉の出にくい方も、山もりの大きな芋を見て、 「んまあ〜食べたいねえ」と一言。 寝ていた男性Nさんも起きてきて「いいねえ、太いなあ」と芋を手にとって満面の笑み。 「うわー」「すごい」と口々に感想が飛び出します。 ![]() 「ふかしたらええなあ」 Sさんの提案で、おやつはふかしイモに決定。 少々塩を振って蒸し器に入れます。次第にシュウシュウと煙と音の立ちのぼる台所に、皆さんの視線が釘付け。 お花クラブから戻ってきた女性Tさん、「すごい煙ねえ」。 Tさんに手伝っていただき、お皿を並べお茶を入れました。 ![]() 「Sさんの掘ってくださった芋ですよ」と話すと会話も広がります。 「最近こんなきれいな色の芋は珍しいわよねえ」 偶然来られた御家族の方も交え、活けられた花をめでつつみんなで食しました。 Tさんは二つも召し上がりました(花より団子?? ![]() こんな一日を送るとほっとします。 自分たちで収穫したものを料理して食べる。 生きる、ってこういうことかなぁと感じます。 掘った芋を絵に描く人、包丁で切る人、眺める人。 どうしようかと相談しつつ、みんなでその日の生活を決めていく。 ささやかな食事でも、そこにいる者たちで時間と手間を分かち合うことで、 ただ提供される御馳走より意味を持ちます。 一個の芋を食べるにも、過程があるのだなあ、そんな気持ちで 今日も現場に立っています。 |