【ソーシャル系学生サークル紹介】情緒障害児短期治療施設「那須こどもの家」ボランティアチーム / 国際医療福祉大学 [2013年03月28日(Thu)]
情緒障害児短期治療施設「那須こどもの家」ボランティアチーム
“すべてのこどもたちに愛を” 国際医療福祉構内には、情緒障害児短期治療施設・那須こどもの家がある。 医療や福祉分野の関係者以外は耳慣れない言葉かもしれないが、この情緒障害児短期治療施設とは軽度の情緒障害のため支援を必要とする児童に教育・福祉・医療・心理の点から24時間体制で援助を行う施設である。 そもそも情緒障害とは情緒の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりする状態を、自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態のことである。 ここでは、子供への支援だけでなく、子どもに自信を持って関われるよう家族への支援・指導も行われている。 この施設には支援を行う職員の他、学生のボランティア、彼らと施設を繋ぐコーディネーターが関わっている。今回は、学生ボンティア(伊澤さん、早坂さん、谷口さん、加藤さん、佐藤さん、薄井さん、小口さん)を中心に、子どもと向き合い続ける方々に取り組みや想いを聞かせて頂いた。 “もっと知りたい” 彼ら学生ボランティアは大学で医療・福祉を学んでいるということもあり、日頃からこどもに関する問題意識はあったという。その上那須こどもの家は大学構内に併設されており身近であった。ボランティアを始めたきっかけはそれぞれであるが、ある一人の学生はこう語る。「勉強していても知らないことだらけ。もっと現実を知りたいと思った。いろんな背景を抱えるこどもたち一人一人のことをもっと知りたい。」 “楽しさの日常を取り戻す” 専門的な知識と豊富な経験を有する専門職員が対応しているこの施設で、学生たちがこどもたちと関わることは難しいのではないか。また問題が生じたときの責任なども考えると、学生ボランティアに関わらせることで生じる問題の方が多いのではないか。ではなぜそうまでして施設は、学生ボランティアを受入れるのか。それはこどもたちの背景が関係する。 この施設にやってくる多くのこどもたちが家庭で虐待を受けてきた。心に傷を負うこどもたちにとって大事なことは、何気ない会話であったり、楽しい時間を過ごすことであったり、自分の世界が平穏であることを実感できることだ。 しかしそうした関わりが大事であると認識しつつも施設の職員も全員のこどもたちとゆっくり遊ぶ時間など多くとれない。そこで学生たちが授業外の時間を利用しこどもたちと外へ行きスポーツを楽しんだり、室内でペーパークラフトをして一緒に遊ぶ。 こども達にとっても年の離れた大人よりも年齢の近い学生の方が心理的な距離が近く話しやすいのだと職員の丹羽さんはいう。こういった点で学生のできることと施設が必要としていることが一致しているのである。 ”楽しませるために、自分達が楽しむこと” 学生ボランティアが活動の中で大事にしていることは、こどもたちが楽しく活動できること。 こどもたちを楽しませるには、まず自分たちが楽しむことであるという。ボランティアにおいてはこの要素も大切だという。彼らの活動のモチベーションとなっているのは楽しさに加えて、このような活動を通して仲間ができたり、感謝されたり、こどもの「今度いつくるの?」というときのこどもたちの笑顔だったりする。これらのことが活動を継続するチカラにもなっている。 ”一歩ふみだす学生に向けて・・・” “どんな活動でも自分が本当にやりたいのであれば挑戦すべきだと思います。そしてよくやる前から結果を考える人がいますが、まず行動を起こすことが重要だと思います。そこから何かが見えてくるキッカケをつかむことができるのではないでしょうか。学生にできることには限界がありますが、こういった活動が自分の将来の扉を開くことになるので積極的に取り組んでほしいと伝えたいですね”。 編集後記 「活動していくうちに自分たちの意識が変化していった。ものごとの伝え方が変わったり、気がつくことが多くなった」と学生ボランティアたちはいう。これらは結果論ではあるが、こういった予期できないことがたくさんある中で自分の扉を開くキーは何にでもチャレンジしてみることではないかと思う。そして彼ら、学生ボランティアのキッカケが何かスキルを身につけたい・経験をつみたいといった考えからではなく、純粋な想いからその結果にいたったのを聞くと、自分自身まだまだたくさんのことを学び、吸収できる可能性を感じた。 取材日/2013.2.6 取材者/高橋秀哉(ユースインターン6期生・白鴎大学法学部2年) |