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タイムダラー

タイムダラーを取り入れた事業の運営で、行き詰まっていませんか?
 これからタイムダラーを始めたいけど、どうしたらいいのか困っていませんか?
 
 そんな団体のために、オンライン上で、タイムダラーの無料のご相談に応じます。

英国でのタイムバンクス

[2010年06月07日(Mon)]
1990年の後半にFairshares(フェアシェア)としてマーティン・サイモン氏によって始まったタイムダラーはその後英国、ウェールズ、スコットランドに広がり、現在では総称してタイムバンクと呼んでいます。全英での最近の活動を分野別にご紹介しましょう。

1. 活発な市民としての活動

●タイムセンター事業::市営の会場費をタイムバンクの時間で支払う

  それまであまり活用されていなかった、公共の建物や、事業などに参加
  者が増え、同時に会員も増えた。
  連絡先: Geoff Thomas 01443 777823


●コミュニティ・カフェ事業

  1週間に1回、オープンするカフェでは、食事代をタイムバンクで支払う。
  食事の準備、カフェの掃除など経営に携わる人たちの労働報酬は、
  タイムダラーで支払う。地域コミュニティの活性化につながり、少ない
  予算で活発な運動が展開できる。
  連絡先: Naomi Casserly 0207 639 4506


●ボランティア・センター事業

  従来ボランティア活動をしていた人たちに、一方的に援助することは、
  与える側として受ける側のパワー関係が生まれることを説明し、相互
  扶助の社会的意味を理解してもらう。特にスコットランドのボランティア
  センターではタイムバンクを積極的に取り入れている。
  連絡先:Tam Cassidy 01786 479593


●若者たちの活動

  地域で責任を持って、コミュニティでのリーダーになりための養成講
  座を若者たちを対象に行う。タイムバンクで得た時間はドライビング
  レッスンの費用、小旅行などに使用できる。
  連絡先: Bec Booth 01443 777823


●若い家族のために

  子供たちのベビーシッターを、若い両親たちだけでなく、子育てでは
  経験豊富な高齢者も含めて、日常のさまざまな役割を助け合うやり
  とりをする。「子どもは村で育てよう」が会のモットー。
  連絡先:Jo Goldie 01608 812338


●高齢者のために

  日本でも一般に利用されている、将来に向けての預託方式が使わ
  れている。ベビーブーマーに向けての新しい企画。
  連絡先:Jim Rollinson 01452541439


●精神保健のために

  精神医療について、“自分たちの問題/US and THEM”と捉え、病
  院と連携している地域の小規模のタイムバンクと組み、コミュニティ
  全体で取り組もうと言う動き。
  連絡先:Sarah Allner 020 3228 2965


●地域イベントとの連携

  地域イベントへの参加費はタイムバンクで支払い、イベントを会員
  獲得の場と捉える。地域映画館との提携、コンサートやカルチャー
  イベントなどとの提携をし、多くの住民に、参加費の有無を通じて
  タイムバンクの存在を知ってもらう。
  連絡先:Kieran Dodswell 079 0042 7902


2.地域の安全のために

●警察との連携活動

  地域の警察を補佐しながら青少年のための更正プログラムに取り組
  んでいる。
  連絡先:Gloria Murray 0141 6311888


●コミュニティ・サービス

  犯罪者の更正プログラムのコミュニティサービスをタイムバンク方式で
  行う。サービスした時間は、彼らが選んだサービスを必要とする個人、
  またはグループに寄付される。このように留置された時点で社会に貢
  献するチャンスを得ることで、彼らの立場が変わり、社会への接点が
  生まれる。
  連絡先:Reyaz Limalia 01452 415900


●刑務所

  刑務所内の仕事として、寄付された自転車を再整備し、イラクに送る
  活動を開始。この整備に費やす時間は、囚人の家族に送られ、必要
  なサービスに使うことができる。
  連絡先:01452 415900


●火災防止活動

  Merseyside地区の火災救助班は、火災に関する予防処置をしている
  地域住民に対してタイムバンクの点数を支給している。
  連絡先:Jim Rolinson 01452 541027


●避難民、移民労働者、亡命希望者に対してのプログラム

  さまざまな経験、技術を持ちながらも、これらの人たちは差別の対象
  となり、なかなか職に就くことができない。そこで、タイムバンクをクッ
  ションにして、地域にとっては有望な働き手、また彼らに取っては地
  域との接点を作る事業。
  連絡先:Hazel Swan 01522 551683


3.生涯学習事業


●学校

  仲間同士の指導プログラムでは、高学年の指導する生徒も、指導さ
  れる生徒も同様に時間を貯めることができ、その点数でリサイクルの
  コンピュータを得ることができる。
  連絡先: David Boyle 0208 7610968
   
   また、市街地の小学校では、‘Buddies bench’と言う訓練を受けた
  高学年の生徒が、聞き役となって、複雑な子どもたちの問題やいじめ
  っ子などの問題を解決している。聞き役の子どもが貯めた点数は乗馬
  レッスン代などに利用されている。
  連絡先:Jonies Henry 020 7281 5940


●異世代交流事業

  高齢者から地域の昔話を聞きだし、子どもたちに自信とアイデンティ
  ティを与えるプログラム。点数を得た子どもたちのほとんどが、自分た
  ちが稼いだクレジットを寄付し、若いときからフィランソロピストとして
  の意義を体験している。
  連絡先:John Garces 020 7263 3151


●再就職への訓練と事業計画

  タイムバンクでのお互いのやり取りを通じて再就職への必要条件で
  ある新しい技能、仕事の仕方、文化的意識、自信、などが自然に身
  についてくる。タイムバンクでは、見失っていた才能を見つけ出し、そ
  れらを集結して新しい事業に結びつけることができる。
  連絡先:Martin Brennan 01912450663


●チャイルド・センター

  タイムバンクを地域の子どもたちを見守り、昔あったビレッジのような
  環境で育てようと言う思いは、タイムバンクの推進者には大きな課題
  である。幼児期の価値観づくりに地域が大きく関わる事業。
  連絡先:Julie Cigman 01453 752171


4.住宅関連


●住宅協会

  住宅居住者との話し合いで、公共の場のメインテナンス、例えば簡
  単な修理、新しいスキルの習得、住宅内での趣味の会などをタイム
  バンクで行う。
  連絡先:Terry Mace 01443 424231


5.健康とウェルネス


●医者

  医者の待合室は、身寄りのない淋しい人たちで満ち溢れている。
  彼たちにとって必要な薬は、社会に役立つ新しい自分を見出す
  きっかけになるタイムバンクかもしれない。この人たちの活躍の場
  づくりをし、忙しい医者に少しの余裕を与えよう。
  連絡先:Maria Meska 020 7138 1888


●健康な生活

  病気予防のために、タイムバンクを駆使してコミュニティを支えて
  いるプログラム。
  例えば、禁煙運動、健康のための食事と体操、タイムバンクを使
  っての家庭菜園、分配によって野菜、果物など安価に購入できる。
  菜園で知り合った仲間たちはお互いの健康を思いやり、ケアリン
  グに関係が生まれてくる。
  連絡先: Sherry Clarke 0203 228 9006


●病院

  退院後のケアをタイムバンクで行う。家の掃除、買い物、訪問、
  話し合いなど。
  連絡先:Martin Simon 01452 541338


●仲間同士のアドバイスや、支えあい

  糖尿病、喘息などの患者同士がお互いを支えあう。脳卒中クラ
  ブでは、健康になった元患者たちとの支えあいが行われている。
  連絡先:Chris Lee 01768 245 413


●環境衛生

  タイムバンクを使って、さまざまな健康のためのサービスを提供。
  健康予防から介護まで。障害を持つ人たちも加わって、それぞれ
  の持つ才能を交換している。
  連絡先:Dan Grainger 0121 5533110


6. 環境関連


●コミュニティ間で、リサイクルの奨励、収集、ごみ拾い、空き地の
  有効利用、食品コープ配達、植林、町並み美化のために花いっ
  ぱいのバスケットを吊らす、菜園などの作業をタイムバンクで行う。
  連絡先:Kirsty Burns 0207700489


7. 緊急対策


●最近のグロスター州での水害の際、タイムバンクの会員がいち
  早く救助に駆けつけ、被害のあった人々への緊急対策、食事、
  住宅の手配など迅速に行われた。また世界中のタイムバンク会
  員からの応援もあり、ハリケーンや、地震の際の助け合いなど、
  世界レベルで行われている。
  連絡先:Lawrence Hughes 01452 541337
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Posted by 大年 由美子 at 17:53 | 外国での事例 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

タイムダラーの理念

[2009年06月06日(Sat)]
タイムダラーの理念
 
 タイムダラーは、お互いの能力と時間を会員の間で交換する新しい形の相互扶助システムです。「この世の中に役に立たない人はいない」という理念で地域に埋もれている人の能力や善意を掘り起こし、地域の再構築をしようという運動です。その理念を支える考えは以下のようなものです。

1.双方向の助け合い

 地域社会での日常生活の中には、大小の困った事や不便な事があります。そんな時、地域の人々同士の間で、ちょっとした助け合いや支え合いがあれば、不安のない、楽しい日常生活が送れます。今までのボランティア活動では、助ける人は助けるだけ、助けられる人は助けられるだけといった形が多く見られます。それは、一方通行の助け合いです。その仕組みを変えるには、ある時は助け、ある時は助けられる事が大事です。これが「双方向の助け合い」です。
 サービスをする側と受ける側では、気持ちの面で大きな差が生まれます。与える側には優越感が、受ける側には劣等感が生じかねません。同じ人間としての誇りや優しさに差が生じるのです。これでは個人の尊厳や人間性が損なわれます。タイムダラーではこのサービスをする側と受ける側とを固定しないのです。
 これは助けられるだけと思っていた人々に“生きがい”や“生きる喜び”や“生きる自信”を呼び起こす事になり、極めて大切なポイントです。これまでのボランティアの考えを根本的に変えるものです。

2.支え合いを生むタイムダラー

 双方向の助け合いを仲立ちするのがタイムダラーです。お互いの助け合い(一応、この行為をサービスと呼びます)をお金で置き換える事はしません。タイムダラーではサービスに使った時間の長さで置き換えます。1時間のサービスを1点とします。大事な事はサービスの内容によって点数が決まらないという事です。お金で全ての価値を決める「市場経済」と基本的に違うところです。お金と違って誰にも平等にあるのが時間です。だからこそ誰でもどんな事でもサービスを提供して点数を得られるし、その点数を使って気兼ねなくサービスを受ける事ができるのです。
 この点数が「信頼の通貨」なのです。この助け合いを進める事で地域の人々の心がつながれ、助け合いの絆(きずな)が多くなれば、地域の人々が信頼で結ばれます。これまでの報酬やお礼の品でつながった関係ではない「大きな家族」が生まれ、地域が変わっていくのです。

3.この世の中に「役に立たない人」はいない

 「世の中に役に立たない人はいない」−これはタイムダラーを創設したアメリカの市民活動家エドガー・カーンさんの言葉です。年齢や身体の障害で「役に立つ人」と「役に立たない人」を分けるのではなく、誰もが持っている知識・経験や才能を生かせば、世の中は大きく変わるのです。問題はどうすればその知識や才能が生かせるかなのです。
 ボランティア活動という言葉は、今や子供もお年寄りも知っています。困っている人や弱い人を無償で助ける行為です。個人だけでなく、いろいろの団体やグループが福祉施設を訪問したり、独居のお年寄りを訪ねたり、慰めたりしています。しかし、助けられたり、慰められたりする人は果たして「世間では役に立たない人」なのでしょうか?
 どんな人もいろいろな知識・経験や能力を持っています。ただ、それを提供する場がないのです。誰かがそれを提供して欲しいと願い、また本人が他人のために自分の能力や才能を使おうと思わなければ、何も起こりません。その「場」づくりができるのが「タイムダラー」です。

4.善意の行為が「通貨」に換わる

 「タイムダラー」という言葉はどんな意味を持つのでしょうか?直訳するとタイム(TIME)は時間、ダラー(DOLLAR)はお金(ドル)です。「時は金なり」という言葉がありますが、これはちょっと違います。普通、どこの国でもモノ(品物やサービスなど)を買うにはお金が必要です。お金がすべてのモノの仲立ちをします。こういう仕組みを「市場経済」といいます。世界のモノの流れはお金(貨幣)で成り立っています。これは、一言で言うとお金がなければ、モノやサービスは買えないということです。お金がなければ物々交換しかありません。もっとも、相手にとって欲しいモノを自分が持っていなかったら、たとえ相手が自分の欲しいモノを持っていても交換はしてもらえません。
 しかし、毎日の生活の中では、ちょっとした事で困ったり、手助けが欲しかったりする事が多くあります。でも、誰にでも頼むわけにはいきません。また一方では、少しの手間や時間を使って他人に役立ちたいと思う事があります。しかし、誰が困っているのか分かりません。
 このお互いの「して欲しい」「やって上げたい」という気持ちをうまくつなげる方法はないのでしょうか?お金で動く「市場経済」では、お金で「買う」しかありません。貧富に関係なく、善意の仲立ちをする「新しい通貨」があればいいのです。円やドルのような「お金」でなく住んでいる地域の仲間の間で善意の橋渡しをする仕組みがタイムダラーです。

5.地域を再構築(リ・デザイン)する絆(きずな)

 タイムダラーは、お互いにサービスを提供し合い、利用し合うメニュー(内容)に特徴があります。メニューは介護など福祉に限りません。むしろ、日常生活の中の些細なことも重視します。旅行中のペットの世話、洗濯物の取り入れもです。近所や小さな地域での助け合いこそ、「安心して暮らせる大切な要素」なのです。タイムダラーの目的は、新しい形の共同体、助け合える地域に再構築(リ・デザイン)する、もっと分かりやすく言うとこれまでの地縁や血縁を越えた「拡大家族づくり」なのです。
 ところで、タイムダラーは地域ごとにふさわしいやり方が考えられます。そのためにいろいろと工夫を凝らし、お互いに考え、そんな作業を進める中で、地域のあり方を改めて見直すキッカケになります。これが本当の「地域づくり」なのではないでしょうか。

タイムダラーの仕組み

[2008年08月20日(Wed)]
 タイムダラーは、助け合いのサービス1時間を1点と定め,お互いの能力と時間を会員の間で交換する新しいカタチの互助システムです。「No More Throw Away People」(この世の中に役に立たない人はいない)との理念で、地域で埋もれている人のパワーを掘り起こし、地域の再構築をしましょうとの運動で、一方的な、奉仕活動ではありません。
 
 仕組みは簡単です。会員間でできること、してもらいたいことを話し合って合意のもと作られたサービス・メニューをコーディネーターの仲介で交換し合います。点数は貯めることをしないで、できるだけ会員間で活発に使えるよう日常生活で使える楽しいメニューを考えるといいと思います。


タイムダラーの進め方@

[2008年08月01日(Fri)]
「タイムダラーを地域で始めたいのだけれど、どこから、どのようにスタートしたら良いのでしょう」という質問をよく受けます。そこで、基本的なステップをご紹介しましょう。


1.最初の仲間(中核メンバー)づくり  
スタートの第一歩は、活動の核づくりです。理念や目的に賛同する仲間5、6人で十分です。小さく始めて、大きく育てていきましょう。

 タイムダラーを始める第1歩は、活動の核づくりです。今の生活や地域を、もっと楽しく安心して過ごせるようにしたい、という仲間が集まりましょう。そして、タイムダラーの理念や目的を話し合い、それに賛同する人、やってみようという人で、まず中核になるグループをつくります。その数は、最低3人以上、できれば5、6人いれば十分です。
 
 日本国内で初めてのタイムダラーは、愛媛県の越智郡関前村(現:今治市関前)で有志12人でスタートしました。今では70人を超える会員が「だんだん」という名前で行っています。


2.仲間や地域のニーズの確認
 「誰が、どんな手助けを必要としているか」など、地域のニーズを調査(リサーチ)しましょう。調査を通じて活動の目的がみえてきます。

 社会の中で、自分たちが住む地域の中で、また向こう三軒両隣の中で、援助を必要としている人たちがいないでしょうか。それらのニーズは、私たち仲間や家族、友達、近所の人々が手をつないで助け合えば解決できるのではないでしょうか。
 
 「社会が必要としている援助の手」を差し伸べたいと思う人は多いはずです。この思いを一人ひとりの責任として行動に変えることが第一のステップです。まず「誰が、どんなことを必要としているか」をリサーチすることから「それでは、こんなことをやろう」という目的が見えてきます。


3.ゲームで体験しよう
双方向の相互扶助のシステムを体験できるゲームです。先ずは、タイムダラーゲームを体験し、その次には、自分達の地域に合ったゲームを白紙のカードを用意して体験しましょう。ゲームを通じて、コーディネーターの大切さも実感できます。メニューづくりの前に、ぜひ行ってください。

 地域の中でお互いに助け合うシステムを体験できるゲームです。このゲームで、タイムダラーに必要な「助け上手」「助けられ上手」がどんなことかを体験できます。さらに、サービスの提供者と利用者を結び付けるコーディネーター(世話役、仲介役)の大切さを学びます。コーディネーターの働きで、サービスを通して知らない人同士が結び付けられ、またメニューが広がります。


4.サービスのメニューづくり
「して欲しいこと」「できること」をゲームで体験した後、自分達のサービスリストを作成しましょう。

 ゲームでさまざまなメニューを体験した後、自分たちの地域ではどんな内容の助け合い、支え合いをすればいいのかを具体的に話し合い、「メニューづくり」をしましょう。これをする中で、タイムダラーの目的や内容が見えてきます。双方向の助け合いの意味もはっきりしてきます。最初は、自分達の日常生活の中で、困っていること、不便に感じていること、助けてもらいたいことを率直に話し合いましょう。模造紙などにそれらを書き出し、リストをつくります。まず身近なメニューから始め、少しずつ必要に応じ、話し合いの中で増やしていけばいいのです。関前村の「だんだん」のメニューを見ると、車での送迎、荷物の運搬、買い物、子守り、お使い、ネコの世話、家事手伝い、手紙の代筆、モーニングコールなど多彩です。また自分の得意な技術を提供する日曜大工、庭木手入れ、裁縫などもあります。自分の技術や周囲の人たちの能力を発掘し、お互いに利用し合うことが大事です。

 初めから、高齢者の在宅介護とか、高齢者への配食など、誰でもすぐに出来そうもない大掛かりで専門知識の必要なメニューに飛びつかないことです。メニューは一部の人が決めて、会員に押し付けるものでは、活動の広がりも長続きもしません。くどいようですが、タイムダラーが会員同士で行うサービスの基本は、「自分が出来ることをできる時にする」と「困ったときには遠慮なくしてもらう」です。だから、サービスの内容は、高齢者向けだけではなく、身近な生活の中で必要とされるさまざまなことが含まれます。関前の「グループだんだん」では、それまでの島の習慣から、「親しい人にしか頼めない」「あとのお礼がわずらわしい」「してあげるのは気が楽だけど、頼むのは気が重い」などの意見が出ました。しかし、何度かの話し合いを重ねるうちに、心の垣根が低くなり、メニューは次々と増えていきました。


関前村でのメニューは次の通りです。

○ミカン山、病院などへの車での送迎 ○保育所への送り迎え ○荷物の運搬 
○対岸の今治市への買い物 ○子守 ○留守中の猫の世話 ○おつかい
○モーニングコール(朝起こし) ○いろいろの修理 ○村内のガイド ○花の水やり
○食事作り ○手紙の代筆 ○ワープロ作成等々。


 メニュー数も30を越え、子守やモーニングコールなどは、若い会員が積極的に利用し合っておりこのことは「だんだん」が将来の老後のためのサービスの貯蓄ではなく、現在を安心して楽しく生活していくための活動になっていることを示しています。ミカン農業を中心にした小さな離島の地域生活を反映した"関前村らしいメニュー"が生まれています。

5.コーディネーターの役割
サービスのやり取りの「つなぎ役」(世話役)がコーディネーターで、会員同士を結ぶ活動のカナメです。コーディネータの役割について話し合いましょう。

 さて、具体的にグループの進め方を考えましょう。タイムダラー活動は、5人からでも始められます。お互いに「大きな家族づくり」という基本の考えに賛成する人が集まれば、それがスタートです。基本は「私に何が出来るか」「私は何をして欲しいか」です。幾度かの話し合いを重ねるうちに、タイムダラーの本来の目的や意味が見えてきます。先ずは、小(small)+小(small)=大(large)で、顔の見える小さいグループで進めていき、そのようなグループが連携していくというのが理想です。

 ところで、コーディネーターの役割は、会員のつなぎ役(世話役)であり、活動のカナメです。普通、何かの会を発足させると、まず役員を選び、会則を決めて・・・といった旧来の"行政型"組織づくりがよく見られます。会長には、肩書きをたくさん持った人が登場したりします。しかし、タイムダラーでは形式的な役員は不要です。みんなが交代で世話役を務めるのが理想です。上下関係や年齢などは無関係の"仲間"なのですから。



タイムダラーの進め方A

[2008年07月31日(Thu)]
6.名称と表現方法
交換する「通貨」に親しみのある楽しい名前をつけ、サービス交換の表現の方法を考えましょう。紙券にするかチップにするか、コンピュータで記録するかなど話し合いましょう。

 この試行期間中に、活動の単位となる地域にふさわしく親しみの持てる名前を考えましょう。愛媛県の関前村の「だんだん」、松山市の「いまづ」、新居浜市の「わくわく」、津島町の「くじら印のおたすけカード」、玉川町の「バンブー」、徳島・阿波町の「あわあ」、高知県大野見村の「やまびこ」、など地域にふさわしい楽しい名称があります。



 また、交換する時間数(点数)を示すのに、どんな形の「通貨」を採用するかも大事です。紙券(あわあ)、チップ(だんだん)、小石(いまづ)などのほか、米国や英国のように「タイムキーパー」で時間を管理する事もできます。どんな形にするかを話し合うことも、タイムダラーを理解する上で大切な時間です。


7.まず、始めてみよう
理念やシステムを理解して、参加する意思のある仲間が集まれば、とにかくやってみましょう。

 さて、基礎的な準備はできました。だが中核メンバーだけではサービスの交換は十分にできません。そこで、身の回りの友人やいろいろの会、グループで知り合った知人に参加を呼びかけましょう。できるだけタイムダラーの基本的な考えを理解してもらうようにします。参加呼びかけの集会を開くのも効果的です。タイムダラー・ネットワーク・ジャパンは、そのお手伝いも行います。会員は多いほど良いというわけではありません。理念やシステムを理解して、積極的に活動に参加する意志のある人でないと、活発に機能しません。一度に会員を増やそうと、既存の会に呼び掛けて会全体で参加させる方法では、名前だけの会員が多くなります。あくまでも、「この指とまれ方式」で、草の根的に同じ志を持った「同志」を徐々に増やすのが最善です。生活援助が主なサービスですから、年代や性別にこだわらず呼びかけましょう。地域を優しさの絆(きずな)で結びあい、安心して暮らせるコミュニティを作り上げようという人々を集めましょう。とにかく、やってみなければ何も分かってきません。双方向の助け合いには、慣れることが必要です。今までの「助けるだけ」のボランティアに慣れた人たちには、「助けられ上手」になるのには時間が掛かります。しかし、これが第一歩なのです。高齢者も、「サービスの提供者」として参加を呼び掛けましょう。「年寄りだから何もできない」と言う高齢者に「出来ること」を一緒に考え、「あなたたちの経験や知恵が欲しい」と声をかけましょう。

8.運営の仕方
点数の記録方法や、運営にかかる最低限の経費、拠点づくりなどについて、グループで話し合いましょう。

@点数の記録

 記録をするのはコーディネーターにとってかなりの負担になりますが、この記録は、自分達の活動を目で見える形にするだけではなく、行政や企業の支援を得るためにも大切です。この方法には、記録カードを作ったり、コンピューターに記録するなど、色々の方法があります。「ゆうゆうヘルプ・波方」では30分券の裏側に10人の利用者の名前を入れるスペースがあり、簡単に時間の記録ができます。また、「あわあ」ではコンピュータで時間管理をしていますし、TNJでもコンピューターソフトの「タイムキーパー」の日本語化を進めています。 (平成14年8月頃完成予定。ホームページ上でダウンロードできます)。

 ただ、点数は自分のために貯める貯金とは違います。助け合いを行った「証」(あかし)なのです。アメリカのマイアミでは、中高生は点数を受け取らず、事務局に寄付する事を奨励しています。そうすれば、点数は2度役に立つわけです。タイムダラーの展開の仕方は、地域にあった形を取ればいいのです。工夫一つで楽しい活動にできるのです。

 グループがスタートしても、なるべく頻繁に会員同士が集まって、食事会やお茶会をし、話し合うことが必要です。顔の見える信頼関係を築くために、できるだけ多くの集いを持ちましょう。タイムダラーの精神を理解し、親睦を図ることが大切なのです。

A運営の経費
 
 会を運営するためには、最低限の経費が必要になります。電話代、通信費、会議費やサービスを提供する側の交通費、ガソリン代などです。寄付金や助成金などによって資金があれば問題はないのですが、普通は資金なしで始めることになります。

 会の活動が社会に認められ、また法人格を持って活動を始めるようになれば、色々な資金集めも可能になります。小グループでの活動では、まずは、会費で運営を始めましょう。組織が大きくなれば、積極的な資金集めが必要になってきます。また、そうしないとサービスの拡大は図れません。

 小さなグループから始める場合、事務所を構えたり、専用の電話を設けたりする必要はありません。中心の世話役が自宅でコーディネーターをつとめ、自宅の電話を使って役目を果たします。人数が多くなれば、地区ごとにグループ分けをしてそれぞれにリーダーをおいて活動を進める方法もあります。会員には、タイムダラーの考え方をよく理解してもらうことが必要です。そのためには、小さなグループでいつも話し合いができることが大切です。名簿上だけの会員が多くならないためです。

 運営を担当する拠点、つまり事務局は、連絡やコーディネーターのために電話代、郵便代などの経費が必要です。会報をつくったり、会員研修の資料づくりなどの費用も必要です。最初は、最低限の必要経費は個人の負担でやって行けますが、会の運営を特定の個人負担だけで済ましていては、長続きしません。継続的に活動を行い、誰がやっても続けられる会にするには、経済的に自立する仕組みが必要です。費用づくりのためには、会費、企業や個人の賛助会費、寄付、助成金や、自主事業などがあります。話し合いの中で、必要な経費を検討し、まず会費で自主的活動を支え、活動が拡大するのに沿って財政的にも拡大させましょう。

B自立した組織にしましょう

 最初に理念をしっかり持ち、安心して楽しく暮らせる地域づくりという未来像を実現するためのきっかけづくりがタイムダラーです。そのためには、行政や企業の支援も必要ですが、自立した組織でなくてはなりません。安易に助成金や補助金を当てにすると、行政や企業の下請け団体になる危険性もあります。

 また、補助金や助成金が無くなったので活動が停止するというのでは、理念を実現することはできません。行政や企業とは、それぞれの役割を認めながら、理念の違いをはっきりさせ、お互いに対等なパートナーシップ(協働)を組みましょう。そして、活動を始めて半年後、1年後といった時期にそれまでの活動の自己評価をしましょう。うまくいった点、反省点をはっきりさせ、それ以後の活動を勇気を持って修正していきましょう。

タイムダラーの進め方B

[2008年07月29日(Tue)]
8.運営の仕方
点数の記録方法や、運営にかかる最低限の経費、拠点づくりなどについて、グループで話し合いましょう。

@点数の記録

 記録をするのはコーディネーターにとってかなりの負担になりますが、この記録は、自分達の活動を目で見える形にするだけではなく、行政や企業の支援を得るためにも大切です。この方法には、記録カードを作ったり、コンピューターに記録するなど、色々の方法があります。「ゆうゆうヘルプ・波方」では30分券の裏側に10人の利用者の名前を入れるスペースがあり、簡単に時間の記録ができます。また、「あわあ」ではコンピュータで時間管理をしていますし、TNJでもコンピューターソフトの「タイムキーパー」の日本語化を進めています。 (平成14年8月頃完成予定。ホームページ上でダウンロードできます)。

 ただ、点数は自分のために貯める貯金とは違います。助け合いを行った「証」(あかし)なのです。アメリカのマイアミでは、中高生は点数を受け取らず、事務局に寄付する事を奨励しています。そうすれば、点数は2度役に立つわけです。タイムダラーの展開の仕方は、地域にあった形を取ればいいのです。工夫一つで楽しい活動にできるのです。

 グループがスタートしても、なるべく頻繁に会員同士が集まって、食事会やお茶会をし、話し合うことが必要です。顔の見える信頼関係を築くために、できるだけ多くの集いを持ちましょう。タイムダラーの精神を理解し、親睦を図ることが大切なのです。



A運営の経費
 
 会を運営するためには、最低限の経費が必要になります。電話代、通信費、会議費やサービスを提供する側の交通費、ガソリン代などです。寄付金や助成金などによって資金があれば問題はないのですが、普通は資金なしで始めることになります。

 会の活動が社会に認められ、また法人格を持って活動を始めるようになれば、色々な資金集めも可能になります。小グループでの活動では、まずは、会費で運営を始めましょう。組織が大きくなれば、積極的な資金集めが必要になってきます。また、そうしないとサービスの拡大は図れません。

 小さなグループから始める場合、事務所を構えたり、専用の電話を設けたりする必要はありません。中心の世話役が自宅でコーディネーターをつとめ、自宅の電話を使って役目を果たします。人数が多くなれば、地区ごとにグループ分けをしてそれぞれにリーダーをおいて活動を進める方法もあります。会員には、タイムダラーの考え方をよく理解してもらうことが必要です。そのためには、小さなグループでいつも話し合いができることが大切です。名簿上だけの会員が多くならないためです。

 運営を担当する拠点、つまり事務局は、連絡やコーディネーターのために電話代、郵便代などの経費が必要です。会報をつくったり、会員研修の資料づくりなどの費用も必要です。最初は、最低限の必要経費は個人の負担でやって行けますが、会の運営を特定の個人負担だけで済ましていては、長続きしません。継続的に活動を行い、誰がやっても続けられる会にするには、経済的に自立する仕組みが必要です。費用づくりのためには、会費、企業や個人の賛助会費、寄付、助成金や、自主事業などがあります。話し合いの中で、必要な経費を検討し、まず会費で自主的活動を支え、活動が拡大するのに沿って財政的にも拡大させましょう。

B自立した組織にしましょう

 最初に理念をしっかり持ち、安心して楽しく暮らせる地域づくりという未来像を実現するためのきっかけづくりがタイムダラーです。そのためには、行政や企業の支援も必要ですが、自立した組織でなくてはなりません。安易に助成金や補助金を当てにすると、行政や企業の下請け団体になる危険性もあります。

 また、補助金や助成金が無くなったので活動が停止するというのでは、理念を実現することはできません。行政や企業とは、それぞれの役割を認めながら、理念の違いをはっきりさせ、お互いに対等なパートナーシップ(協働)を組みましょう。そして、活動を始めて半年後、1年後といった時期にそれまでの活動の自己評価をしましょう。うまくいった点、反省点をはっきりさせ、それ以後の活動を勇気を持って修正していきましょう。

9.活動を評価しましょう。
サービスのメニューの見直し、貯まった点数の使い方、活発な交換を促すための方法など、定期的に集まって自分達の活動を評価し合いましょう。

 サービスのメニューの見直し、貯まった点数の使い方、活発な交換を促すための方法など、定期的に集まって、自分達の活動を評価しましょう。
「ゆうゆうヘルプ・波方」では、開始後、1年間会員の間で交換されたメニューを元に、サービスメニューの見直しをしています。貯まった点数の使い方は、自分達の地域にふさわしい方法を考えてみてください。

 活動の評価をする際、会員間でのサービスの交換時間を基準にすることもできますが、それよりも、時間はかかりますが、会員間で聞き取り調査をしてみましょう。数値で表すよりも、「タイムダラーを始めて、嬉しかった経験」「自分が変わった点、地域が変わった点」など話し合うことが大切です。

 イギリスのタイムダラー「フェア・シェアーズ」では、会員間の聞き取り調査で1年後の感想として、次の事柄を挙げています。

○お隣同士の助け合いが復活した 
○地域が安心して住める場所になった 
○健康増進につながった 
○異世代間での相互扶助が生まれた 
○高齢者が活動的になった 
○身体・知的障害者との連携が生まれた 
○介護者の休息につながった 
○世代間の理解が深まった 
○地域の大学や企業の理解や参加が始った 
○環境浄化につながった 
○麻薬中毒者のリハビリになった

 会員間の信頼を高めるためにも、定期的に懇親会を持ち、さまざまな意見を交し合うことが大切です。きっと、新しい展開、次の可能性につなげる事ができます。

10.基本ステップに関するQ&A


kihonqa.pdf

タイムダラーってなぁに?(Q&A)

[2008年07月27日(Sun)]
皆さんからのご質問をまとめてみました。
各地でプログラムを立ち上げるときにきっと役に立つと思います。

Q1.タイムダラーは何ですか?そしてそのしくみは?

 タイムダラーは、助け合いのサービス1時間を1点と定め,お互いの能力と時間を会員の間で交換する新しいカタチの互助システムです。『No More Throw Away People』(この世の中に役に立たない人はいない)との理念で、地域で埋もれている人のパワーを掘り起こし、地域の再構築をしましょうとの運動で、一方的な、奉仕活動ではありません。
 仕組みは簡単です。会員間でできること、してもらいたいことを話し合って合意のもと作られたサービス・メニューをコーディネーターの仲介で交換し合います。点数は貯めることをしないで、できるだけ会員間で活発に使えるよう日常生活で使える楽しいメニューを考えるといいと思います。


Q2.タイムダラーと、時間預託の違いを教えてください。

 「時間預託」にもグループによって、方法に違いがありますが、一般には将来に備えて、元気なときにサービスをして点数を貯め、寝たきりになった時に点数を使って、介護をしてもらおうというものが多いようです。
一方、タイムダラーでは、

○メニューは在宅介護だけでなく、育児、地域活動など多種多様なサービスを取り入れている
○利用者、提供者と分けないで、両者を体験できる
○点数は自分のためだけに貯めないで、必要とする団体や個人に寄付をする事を奨励する
○若い人にも参加をすすめる

 目的は自分が困ったときのために点数を貯める事ではなく、サービスを交換することによって、思いやりの交換ができ、地域で目的を一つにした「拡大家族」の共同体が生まれるなどです。

Q3.タイムダラーを始めたのはだれですか?

 タイムダラーは米国ワシントンDC在住の弁護士であり、市民運動家のエドガー・カーン博士が、1980年の初めに考案しました。その後改良を重ね、1987年にはロバート・ウッド・ジョンソン財団から、米国6ヵ所の活動拠点に3年間の助成金が出され、パイロット・プログラムが開始されました。現在、全米で約200のコミュニティで実施されており、1997年には英国でタイムダラーの手法を取り入れた「フェアシェア」が開始しました。











Q4.創始者のエドガー・カーン博士はどんな人ですか?


エドガー・カーン博士 EDGAR S. CAHN Ph.D., J.D

 タイムダラーの創始者でもあり、また熱心に世界に向けての普及に努めているカーン博士は、ワシントンDCの郊外にあるNPO法人タイムダラー・インスティテュートの代表理事で、以前はNPO法人タイムダラー・ネットワーク・ジャパンの理事として、日本の活動も支援してくれていました。
 エール大学卒業後、同大学で、H.A.Ph.,Dを取得し、その後、LL.B(Bachelor of Law)を取得。教授としてコロンビア大学で教えるかたわら、行政との協働で数々のプロジェクトに関わっています。
 特に、前夫人と共に創立し、学長を務めていたANTIOCH SCHOOL OF LAW では、マイノリティ、女性、低所得者層など広く門戸を開いた弁護士専門学校として、話題を呼びました。
その他、CBS制作のドキュメンタリー『アメリカの飢餓』の企画委員、アメリカ先住民の権利を主張した本『Our Brother's Keeper, the Indian in White American』(1960年代)を執筆するなどAdvocate (市民運動擁護者)として数多くの運動に関わっています。
 2000年6月には『No More Throw Away People』が出版され、1992年に出版された『TIME DOLLAR』でのタイムダラーの理念、各地での活動に加えて、今回は、社会資源を使ってのコミュニティづくりを中心に執筆されています。

Q5.タイムドルとタイムダラーはどのようにちがうのですか?

 英語でのDOLLARは、日本語に訳したときに「ドル」となりますので、単純にタイム・ドルと訳した人もいますが、これは一般用語で、カーン博士が始めたTime Dollarは「タイム・ダラー」です。
 なぜこのようにこだわるのかと言いますと、始めは、Service Credit(サービス・クレジット)と言う一般用語で呼んでいましたが、10年くらい前、市民運動化で親友のラルフ・ネイダー(Ralph Nader)さんとカーン博士がテレビのトークショーで"信頼の通貨"について討論する事になり、一般名でなくもっとインパクトの強いものとして、「タイム・ダラー」と2人で命名したわけです。ですから、命名者はカーン博士とネイダーさんという事になります。

Q6.会員はどんなことをするのですか?サービスの内容は?

 タイムダラーではこれをしないといけないという規則のようなものは何もありません。その仕組みは「1時間一点でサービスの交換をし合い、お互いの能力を引き出しながら、支えあいの地域づくりをする、目的は、コミュニティの再構築」と言う理念さえしっかり持っていればいいのです。 
 まず、あなたの地域をじっくりとみつめ、歩いてみてください。「いま、何が必要とされているか」「私は何ができるだろう」と、身近なことから、したいことを具体化してみましょう。たとえば、環境に関する事、異世代交流、子供たちの健全育成、地域福祉の充実など最初は身近な課題に取り組み、少しずつサービスの内容を増やしていくのが良いでしょう。
 「できる人が」「できる事を」「できる時にする」というのが基本です。気負わず、まず数人でやってみる事が大切です。

Q7.タイムダラーの対象者は主に高齢者ですか?

 1987年に、ロバート・ウッド・ジョンソン財団の助成で開始されたときは、高齢者による在宅支援プログラムが主でしたが、今では、すべての年代の人たちが参加しており、異世代間でのやりとりも活発に行われています。

Q8.タイムダラーは誰が保証してくれるのですか?

 会を開設するとき、会員同士で次にあげるような項目を納得するまで話し合う事が必要です。例えば、
 会の目的はコミュニティ活動であって、自分のために点数を貯めることではない。
 会が何かの理由で存続不可能になった時、点数の保証はない。
 ただし、近隣のグループに再加入できるよう、日ごろから、他のグループとの連携をしておく事が大切。
 期限を決めて、1年間で使いきる方法、点数で"買う"ことのできるリサイクル・バザーの開催、地元の企業に支援してもらって割引券として使用するなど、使い方の工夫を徹底的に話し合う。
 最悪の場合、会が消滅し、近隣の会に加入できない場合でも、お互いに助け合った体験、誰かの役に立った活動は心の中に刻まれ、次のステップの原動力になる。

Q9.会員でない人にもサービスは提供できますか?

 はい、できます。

 会に寄贈された点数、また家族の点数を使ってサービスを提供できます。ただ、タイムダラーの理念はお互いに助け合う事の出来るコミュニティづくりですから、今までは、サービスを受けるだけの人と思われていた人たちから、何か社会に貢献できる才能を見つけあう事も大切です。「No More Throw Away People=世の中に役に立たない人はいない」をモットーに、利用者だけと思われている人たちが、提供者になれる可能性を見つける事で、さまざまな内容のサービスが生まれてきます。

Q10.点数を誰かにプレゼントする事もできますか?

 はい、できます。

 プレゼントする事で、2度サービスができるわけです。米国マイアミのデイド郡では、小中高校生の点数は地域のグループに寄贈することを奨励しています。小さいときから、地域への関わりを持ってもらうためです。

Q11.誰でも会員になれますか?

 もちろんです。ただし、プログラムによっては(米国のケースですが)10代の母親のグループとか、HMO (民間の会員制健康維持組織)の会員だけのサービスなど、限られているものもあります。

Q12.サービスの希望があった時、それを実施するかどうかは誰がどのように決めるのですか?

 マイアミの場合、各地域にコーディネーターがいて、50〜100人位のリストを持っています。このリストには、どんなサービスをしたいか、いつできるかなどの個人情報が記入されており利用者と提供者を組み合わせる事ができます。
 タイムダラーは「信頼の通貨」とも言われ、顔の見える範囲での活動が基本になっていますが、コーディネーターの仕事は会員間の組み合わせに加え、地域に埋もれている人達の掘り起こし、そして、その人たちがエンパワーできるための環境づくりなども大切になってきます。

タイムダラーってなぁに?(Q&A)

[2008年07月26日(Sat)]
Q13.タイムダラーは「時は金なり」とボランティアをお金で返すみたいで、いいイメージではないのですが…。

 この場合の「ダラー」は一般にいう「ドル=お金」とは違います。ドルは市場経済でやりとりされている国民通貨ですが、タイムダラーは非市場経済でのみ使える「信頼の地域通貨」です。ですから次のような地域通貨の特徴を備えています。

顔の見える地域内で、人と人との信頼関係を前提として使われるもの。
利子はつきませんから、将来のために貯めるよりも、地域を活性化させるために、今、使う事を奨励します。
 限られた地域、特定な地域で、財やサービスなどと交換される事もできます。
基本的には国民通貨(日本では円)との交換性はありません。

 地域通貨の特徴をあげましたが、タイムダラーでは従来の時間とサービスの交換に加えて、点数と引き換えに中古のコンピュータがもらえる「Cross-Age Peer Tutoring Program=子供たち同士での家庭教師プログラム」や、フードバンクで食料品と交換できるマイアミでのプログラムなど、地域のニーズに合わせて、点数の使い方を考えているようです。

Q14.引越しをするとせっかく貯めた点数も使えないかもしれません。全国でのネットワークはあるのですか?

 よく聞く質問です。全国展開を進めている「時間預託」の団体もありますが、タイムダラーでは貯める事よりも使う事を奨励する運動ですので、いまのところ全国で点数を使うためのネットワークを作る予定はありません。ただし、各地域での活動を情報として交換する相互支援のためのネットワークはぜひ作りたいと思っています。 
 点数の使用を促す方法として、
「サービスのメニューは在宅介護だけではない」
「利用者、協力者と分けないで、両者の側を体験できるよう、双方向性をもたせる」
「点数は自分だけのために貯めないで、他人やグループに贈る事もできる」
「若い人にも参加をすすめる」
「点数は2、3年で使いきる」
など、会員で話し合う事が大切です。

Q15.点数はどうやって記録するのですか?また、その単位はどうやって決めるのですか?

点数の記録の方法は次のようにいろいろあります。

通帳を会員各自が持ち記録する。
チップを1時間1枚もしくは30分1枚で交換する。

上の場合、コーディネーターにも点数のやりとりの報告をし、事務所での記録を取るのが良いでしょう。

米国でのタイムダラーのように、コンピュータ上で記録する。

 Time Dollar Instituteでは、使用したい人には無料でタイムキーパーというソフトを提供しています。
 点数の単位は地域にふさわしい単位にするのが、親しみを感じていいと思います。例えば、愛媛県関前村の「だんだん」(重ね重ねありがとうの意味)などいい例です。

Q16.愛媛県関前村(現:今治市関前)の「だんだん」はタイムダラーなのになぜ名前が違うのですか?

 タイムダラーはカーン博士が始めたシステムですが、その手法を取り入れて、地域にふさわしいシステムを作っていく過程で独自の名前を付けることはとても大切な事です。
 米国でも、マイアミの「フレンド・トゥ・フレンド」・ニューヨークの「メンバーズ・トゥ・メンバーズ」など、目的や分野によってさまざまな名前がついています。あなたの地域にふさわしい、楽しい名称を考えてください。

Q17.地域で始めたいと思うのですが、実際にスタートする場合のステップについて教えてください。

 それでは、基本的な流れを簡単に説明します。これはマニュアルではありませんので、順番が多少違っても構いません。大切なのは、理念・ミッションは持ち続けることです。

1.理念・ミッション
 まず、理念・ミッションを持つことが大切です。タイムダラーの基本理念は、コミュニティの再構築です。

2.中核になるメンバー作り
 3人〜10人位で、理念・ミッションについて話し合い、勉強会を開きます。

3.体験ゲーム
 上のメンバーで、お互いにできる事、してもらいたい事などをゲームをしながら体験します。

4.目的と事業内容の確定
 タイムダラーを取り入れる目的、タイムダラーを使ってする事業など話し合います。

5.サービスのメニューをつくる
 最初から多くの事をしようとしないで、やりながら、増やしていく事が大切です。

6.リーダー(コーディネーター)
 リーダーを決めましょう。リーダーはボスであってはいけません。グループをまとめるコーディネーターです。

7.さぁ、はじめましょう
 まずは、実験的に実践してみましょう。人数は10人位でかまいません。やりながら、賛同してくれそうな人を仲間に加えていきましょう。

8.拠点づくり
 民間で、少人数でするときは、コーディネーターの自宅からはじめましょう。会員間で経費負担のための会費を集める事も大切です。できるだけ、自立して運営できるよう、会員間で話し合いましょう。

9.他のグループと情報交換
 運営をしながら困った事、疑問などお互いが話し合う事で、解決する事もあります。私たちタイムダラー・ネットワーク・ジャパンでは、ブログなどで地域の情報などお知らせしています。皆さんのご意見をお待ちしています。

10.活動の評価
 1年毎に、自分たちの仕事を評価しましょう。理念、ミッションに沿って事業が行われたか、目的に沿った事業ができたかどうかなど、次のステップに進む前に、ぜひ実行してください。時には、外部の目で組織を見、冷静に成果の評価をする事が大切です。

Q18.米国、英国でのタイムダラーの情報を知りたいのですが、ホームページはありますか?

はい、ぜひ一度のぞいてみてください。

●米国:タイムダラー・本部 (Time Dollar Institute) 
http://www.timedollar.org

●英国:フェアシェア ( Fair shares) 
http://www.fairshares.org.uk

さまざまな事例

[2007年10月04日(Thu)]
1.アメリカでのタイムダラーの歩み

 アメリカでのタイムダラーの動きを考える時、大きく分けて3つの波があります。まず第1期は1987年ロバート・ウッド・ジョンソン財団から120万ドルの助成金を受け、米国内6ヶ所で3年間のパイロットプログラムを開始した時です。その当時はタイムダラーではなく「サービス・クレジット・バンキング・プロジェクト(SCBP)」と呼ばれていました。余談ですが、タイムダラーという名称は市民運動家のラルフ・ネイダー氏がテレビのトークショーでカーン氏とその活動を紹介する際、「SCBPではインパクトにかけるなぁ」と考え出したのが「タイムダラー」だと言われています。こうして、3年間のパイロットプログラムの活動は、さまざまな新聞やテレビで報道され、40,000以上の問い合わせが全米からあり2、3年後には58のプログラムが27の州で展開されました。

2.英国での展開

 さて、米国でのさまざまな活動は遠く英国にも報道されていたようで1997年の第1回のコングレスには、英国からも参加者がいました。英国グロスター州の福祉課の職員マーティン・サイモン氏は年々削減される福祉予算では何も変わらないとコングレス後、いさぎよく退職。タイムダラーで地域を変えようと地元で「FAIR SHARES=フェア・シェアーズ」を始めました。
 グロスター州で7つのフェア・シェアーズが立ち上がっています。名称も「タイム・バンク」「タイム・マネー」「タイム・エクスチェンジ」「タイム・スワップ」などとまちまちですが、フェア・シェアーズのコンピューターにリンクして活動しています。
 英国全域ではフェア・シェアーズも含め14の団体がネットワークを組み「TIME BANK UK」として合同で、タイム・ブローカー(タイムダラーのコーディネーター)の養成塾を実施しました。こうしてネットワークを組みながら全国での普及を目指しています。

Posted by 大年 由美子 at 15:12 | 外国での事例 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)

関前村での活動

[2007年10月03日(Wed)]
愛媛県越智郡関前村(現:今治市関前)の「グループ だんだん」誕生までを紹介します。


●瀬戸内海に浮かぶ離島・関前村 
 
 日本で初めてタイムダラーを地域住民が取り入れたのは、愛媛県と広島県の県境の瀬戸内海にある小さな離島からなる関前村(現:今治市関前)です。村は3つの島に分かれていて、人口は986人。特徴は全国で3番目という老齢比率です。65歳以上の高齢者が人口の46%を占めています。(平成11年4月1日現在)まさにお年寄りが半数近くを占める島なのです。
 
 ところが、島の人々には暗さがなく、お年寄りは生き生きとしています。独居老人はいても、寝たきりの人はごく少ないと言います。そこには、高齢者問題への足掛かりがあるので
はないだろうか、と考えた私たち「長寿社会を考える研究会」(現タイムダラー・ネットワーク・ジャパン)では、1993年に島内で聞き取り調査を行いました。
 
 その結果、高齢化が進む島に欠けているものは人口のバランスだけでなく、それ以上に「異世代間の心のつながり」だったのです。


●「地域の助け合い」は昔からあった? 


 
 そこで、平成6年度に社会福祉・医療事業団の助成金を得て「超過疎の島でのボランティア推進事業」が始まりました。その年の夏には、タイムダラーの創始者、エドガー・カーン博士や事務局長の女性、アナ・ミヤレスさんを島に招いて島民と夜遅くまで話し合いを行いました。たくさんの島民が集まり、耳を傾けてくれましたが、アメリカ生まれの耳慣れない活動に戸惑いや反論もありました。
 
 その一つは、「島には、昔から『結(ゆい)』とか『こうろく』とかいって、不慮の災害、事故や葬祭には集落全員が助け合う習慣があるのに、何で今さら?」という声でした。
 しかし、この「結」や「こうろく」は、家父長(制)を中心にした「家」を基礎にした地域のしきたりです。地域をまとめるための昔から続いている掟(おきて)でもあります。住民の個人個人を人間的な優しさでつなげる相互扶助(助け合い)とは出発が違います。言い換えると、地域をまとめるための手段としての相互扶助と、地域の住民を優しさで結びつけ、地域を大きな家族にする相互扶助との違いと言えましょう。


●アメリカでのタイムダラー・プログラムでは、次のようなサービスのリストを掲げています。

 在宅介護、話し相手、入浴の手伝い、食事の世話など家事、軽度の家事、庭仕事、家の修理、洗濯など家の外での援助、送迎、買い物、医者への付き添いなど、電話サービス、健康状態などを尋ねる定期的な電話サービス、その他、翻訳・通訳、手紙の代筆など。
 
 関前の「グループだんだん」では、それまでの島の習慣から、「親しい人にしか頼めない」「あとのお礼がわずらわしい」「してあげるのは気が楽だけど、頼むのは気が重い」などの意見が出ました。しかし、何度かの話し合いを重ねるうちに、心の垣根が低くなり、メニューはどんどん増えました。
 
 平成8年から9年にかけての1年間で見ると、サービス内容の多い順は、ミカン山への送迎、運搬が多く、車が少ない島の事情や高齢者の多い離島の特徴が出ていて、次の通りです。
 
 ミカン山、病院などへの車での送迎、保育所への送り迎え、荷物の運搬、対岸の今治市への買い物、子守、留守中の猫の世話、おつかい、モーニングコール(朝起こし)、いろいろの修理、村内のガイド、花の水やり、食事作り、手紙の代筆、ワープロ作成・・・等々。

 メニュー数も30近くなり、子守やモーニングコールなどは、若い会員が積極的に利用し合っており、このことは「だんだん」が将来の老後のためのサービスの貯蓄ではなく、現在を安心して楽しく生活していくための活動になっていることを示しています。会員数は、発足して3年足らずで70人を超えました。


●チップに託す「ありがとう」

 ところで、タイムダラーは、時間を通貨に換えることなのですが、アメリカでは点数に置き換えています。例えば、1時間1点というように。ところが、「だんだん」では、「チップ」と呼ぶ一種の通貨を使ってやりとりしています。トランプゲームなどで使う、プラスチック製の10円硬貨ぐらいの大きさのおもちゃの丸い板です。それには「だんだん」というシールが貼ってあり、30分のサービスに対して1点の代わりにチップ1枚を支払うのです。

 ことに田舎でなくても、他人に何かをしてもらうことは負担になり、お礼か何かで負担を軽くしたくなります。その気持ちを、このチップで済まそうという、関前村のタイムダラー「だんだん」のアイディアです。もしチップが足りなくなれば、事務局に言えばもらえます。

 チップがいっぱいたまったらどうなるか。年1回の総会の時に、全部を事務局に返し、また改めて20枚もらうのです。「だんだん」ではチップを貯めるのを目的にしているのではなく、大切なことは、自分の出来ることでお互い助け合う、困ったときは悩んだり遠慮したりしないで気楽にグループの仲間にお願いすることなのです。そんな、家族のようなつながりを地域の中につくること、つまり、チップのやりとりは『遊び心』なのです。
 このチップは、アメリカのマイアミ市にあるタイムダラー事務所でも、よいアイディアだと感心しています。



●自分の弱さを素直に引き受けよう

 「グループだんだん」の世話人で島内の善照寺住職の真城義麿さんはこう言っています。
「我々は、子供の時から『迷惑をかけるな』『弱音を吐くな』『努力しろ』『がんばれ』と言われ続けてきた。しかし、これからは隣人を仲間と信じて安心して頼り合おう。明るく豊かな共生を実現しよう。背の高い人は上の方のものを取るのに都合がいい。低い人は小さな穴の中のものを取るのに都合がいい。それだけのこと。優劣も強弱もない。皆、足りないところを持っているもの同士。だから『お互いさま』と助け合おう。『平等』は、頑張って努力して勝ち取るものではない。自分の弱さに気付いて、弱い自分を引き受けてみると、すでに開かれた世界なのである。本来、平等だったのを、強がりと見栄と浅知恵などで、差別の世界にしていたのだ」


● 会員のつなぎ役(世話役)が交通整理

 さて、具体的にグループの進め方を考えましょう。タイムダラー活動は、3人から始められます。お互いに「大きな家族づくり」という基本の考えに賛成する人が集まれば、それがスタートです。基本は「私に何が出来るか」「私は何をして欲しいか」です。幾度かの話し合いを重ねるうちに、タイムダラーの本来の目的や意味が見えてきます。

 個人同士でサービスのやりとりをするのでは、会員数が増えれば無理ですし、知らないもの同士をつなぐこともできません。そこで、世話役が必要です。まとめ役と言ってもいいでしょう。各会員が集まって、お互いに「出来るサービス」「受けたいサービス」を出し合います。その記録を保管して、サービスの申し込み(希望)が出れば、そのサービスが提供できる会員を見つけてあげます。つまり、会員のつなぎ役です。つなぎ役の活動によって、会の運営がスムーズになっていきます。

 普通、何かの会を発足させると、まず役員を選び、会則を決めて、といった組織づくりがよく見られます。会長には、肩書きをたくさん持った人が登場したりします。しかし、タイムダラーでは、形式的な役員は不要です。みんなが交代で世話役を務めるのが理想です。上下関係や年齢などは無関係の"仲間"なのですから。

 世代を超えた交流の場に、「だんだん」では、年1回の総会を開いています。会員の拡大や会員外の人との助け合い、独居高齢者へのひと声運動、サービス内容(メニュー)の開拓などが話し合われます。今では、着物の着付け教室、ギター教室などが、新しいメニューで登場しています。会員同士の日常の交流や総会での話し合いの中で、さまざまな生活の知恵が受け継がれることも多く、目に見えない副産物を生んでいます。

 かつては「異世代間の心の過疎」が見られた島ですが20代、30代の若者と、70、80代の人が気軽に話し合う貴重な場として「グループだんだん」が確実に動いているのです。
 総会の場では、ユニークな表彰式が行われます。基準は、「サービスをした」時間数と「サービスを受けた」時間数の合計が一番多い人が表彰されます。「してあげる」よりも、「してもらう」方が勇気がいるからです。ちなみに、表彰状は、マイアミのタイムダラー本部の代表で、関前村は「生まれ故郷のキューバにそっくりなので、私の第二の故郷」というアナ・ミヤレスさんから送られます。これも楽しい遊び心なのです。

●明日の関前へ広がる夢

 瀬戸内海の小さな離島・関前村は、わが国で初めてのタイムダラーが行われている地域として、アメリカから発信されているタイムダラーのホームページにも紹介されています。

 最初は「まるでままごとみたいな遊び」と言われた「グループだんだん」の活動が、今ではメニューの中に在宅介護の手助けまで考えようと言う声になってきています。一人ひとりの住民の自主的な考えで生まれ、行動するグループの意味と力は大きいのです。

 善照寺住職の真城義麿さんは、「私たちは『グループだんだん』の活動を通して、あるいは『グループだんだん』の基本的な考え方を学び合う中で、今まで自らがつくって自らが縛られていた『常識的人間関係』が、実は本来もっと自由で開放的で、そして願いを共有していく素敵な関係だったことを再発見している。また、私たち自身の生きている意味や価値を再認識することに繋がっていく大切な場であることに大きな喜びを得つつあるのである。このようにして、関前村のモットー『安心して楽しく老いる村づくり』が、一歩ずつ現実へと近づいていけば、と願っている」と、話しています。

Posted by 大年 由美子 at 10:19 | 日本での事例 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
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