• もっと見る
« トヨタたたき問題 | Main | 自衛隊次期主力戦闘機 »
<< 2023年03月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
まいける東山
中国の腐敗と天罰 (05/21)
最新トラックバック
日本人記者射殺 2[2010年04月13日(Tue)]
前回の「日本人記者射殺(1)」では、犯人は政府軍側とは限らず、タクシン派(赤シャツ隊)のデモ隊や、別の何者かによるテロ、スパイ破壊活動等の可能性もあるとか書いた。その後の報道を見るに、そんな私の疑いを裏付ける?ような情報も届き始めた。 
 殺害された記者が最期に撮影した映像には、かなり強力な武器で政府側兵士が攻撃される場面があり、デモ隊側が素人的でない武装を持つ事もわかる。デモ隊側が政府軍より銃(M16等)を奪っていたと、映像入りで報じられてもいる。
 また、倒れた記者のビデオカメラがデモ隊側に拾われた(押収された)後に返還されたため、映像に記者が銃撃された直近の場面が残っているのか不明との事。単にデモ隊側にいた所を兵士に撃たれたのかもしれないが、消された最後の部分にデモ隊側に不利な映像があった、という可能性すらある。撮影されたくない者が排除した、脅しで撃った弾が当たったといった推測も成り立つ。真偽は別だが。
 テロ等の可能性も指摘され始めた。タイのテレビでは、黒服?らしき者たちが、デモ隊排除の混乱の中で射撃する映像が流れている。熱帯で、葬式以外は上半身にクロは着ないタイでは滅多に見ない服の色だから、余計に異様に映り、目立つ。軍でも黒の制服は特殊部隊(レインジャー)等に限られるようだが。その暴徒?が装備する銃は、以前ここでもとりあげた自動小銃「カラシニコフ銃」との報道もある。元は第二次大戦中のドイツ軍の「突撃銃」だが、ソ連がコピーし自分の発明品のように宣伝、大量生産し、共産圏に広まった。米軍が開発したタイ軍装備のM16等とは一般的に出どころが違う。中国やラオス、ベトナム等の共産国がタイの周辺に多く存在する。デモの混乱に付け込むテロや共産スパイの破壊活動の話は現実味を帯びている。逆に、それを狙った偽装や、単なるウソや間違いという可能性もある。政府はそんな疑いを強調しているようだが、それが日本人記者殺害に直接関係するかどうかなども、現時点では分からない。

 このような情報が入り始めたため、事件の真相解明が難しくなったと感じる。単純な兵士の銃撃による射殺だった可能性も依然として消えないが・・・。

 また、例のごとく日本のマスコミでは、説明不足だったり、いい加減なコメントも出始めている。
 テレビ朝日のニュース番組では、現在のタイの政権は選挙で選ばれたものではないので不満がある、とかいう内容のコメントがあったが、私の記憶が正しければ、現在の新憲法発布後に選挙があったはず。選挙で第一党となったタクシン側の政党が不正問題で解散を命じられた為に棚ボタ的に(タイの)民主党中心の現政権となったが、日本の一般人は、例えば軍事クーデター後の元軍人を首班とする暫定政権のままで、それに不満が高まっている、とか思うかもしれない。選挙はあったのだから、反タクシン派まで含めたタイの世論全体が政府に強い不満を持っているのではなく、選挙で勝ったはずなのに解散を命じられたタクシン派が不満を持っている、とか説明してやるべきだろうに。小さな言葉の違いにしか聞こえないかもしれないが、タイを良く知らない者が大半の日本では、受け取られ方がズレかねない。
 同じ番組の現地員の報告では「タイ軍は嫌悪されている」といったコメントすらあったが、中国系政治家等の腐敗した政治・行政が嫌われるタイでは「王室と軍隊こそタイのもの」という気分が強く、軍は恐れられても嫌われているかどうか。
 かつては政権が行き詰まるごとに、軍のクーデターが密かに待望されてきた国だった。私は、「タイでは優秀な子供は軍人か僧侶になりたがる(行政やビジネス界ではなく)」と表現した事がある。タクシンを追い出したのはタイ軍だし、軍が嫌いとは、軍と対峙するデモ隊(タクシン派・赤シャツ隊)の中での話ではないのか。それを左翼的なテレ朝の記者が「日本でのように、タイでも軍が嫌われている」と、日本的な左翼ヅレした考えでゆがめて報じた可能性もある。反共の王国タイでは、日本では右翼的とされた考えが常識で、日本で常識とされる考えは左翼的な異常なものとされかねない。それを分からないか伝えないかなのだろう。
 この件でも、左翼思想が常識であるかのように言う日本のマスコミの言の偏った部分には振り回されないよう注意したいものだ。
日本人記者射殺 ータイの騒乱ー[2010年04月12日(Mon)]
タイ王国でのタクシン派(赤シャツ隊)による大規模な反政府デモで取材中の日本人記者が射殺された。大変に憂慮すべき事態となった。だが、誰が撃ったか、まだよく分からない。日本のマスコミは「政府による弾圧」とかいう記事を書きやすいし、私も当初は政府側、タイ国軍、治安部隊と単純に考えた。が、タイ政府側の意見では違うようだ。政府側の言い分、政府軍兵士以外による射殺の可能性について考えてみよう。

 「タイ政府側の言い分」
 タイ政府は威嚇(いかく)射撃はしてもデモ隊への直接射撃は抑えている、直接に発射したのはゴム弾だけ、という事らしい。記者の射殺はデモ隊側等の発砲によると言いたいのか? そういえば、タイでも、このような大規模デモではカネで雇われたデモ要員が多く登場する。以前の反タクシン派(黄シャツ隊)によるバンコク新国際空港「スワンナプーム空港」占拠の折にも世界に報じられたが、デモ隊の中には自衛と称して勝手に武装し、空港への道で検問(交通を遮断)する者などもいた。中国系移民の影響もあってなのか、底抜けに豊かで欲がなく、敬虔な仏教徒が大半を占めるタイ人なのに、政治的には過激な場合がある。デモ等の中にはゴロツキまがいの者も混じるようだ。
 こんな状況では、タクシン派と反タクシン派、デモ隊と反デモ派のいづれでも、一般人、非公務員による銃の発砲の恐れがある。

 「隣国ミャンマーとの違い」
 同じく日本人ジャーナリストが殺害された隣国ミャンマーは、軍部独裁の非民主主義国で、遅れた貧しい後進国。スーチー女氏軟禁などで世界的な非難を受け、国際的制裁を破る形で中国の属国化が進む国だ。兵士への人権教育など、あったものではないし、報道関係者への接し方など考えた事もなかろう。殺害事件を起こしたのは、クツでなくサンダルをはいた田舎の部隊で、特に状況がひどかったようだ。
 それに対し、タイの国軍は一応は民主主義国家の中進国(後進国と先進国の間)の軍隊で、ミャンマー軍ほどひどくあるまい。タイは日本人が尊敬される親日国でもあり、中国・韓国のように対日本人犯罪が英雄視される反日国でもない。

 「何者かのテロ?」
 大変に緊迫し混乱した状況では、どこに兵士の銃口が向くか分からない。が、その状況を悪用しタイを更に混乱させ、評判を悪くしようとする何者かによる発砲の可能性すらある。親日国のタイと日本の間を裂こうとする者もいるかもしれない。現段階では何も断言できない状況だが。単なるゴロツキなら、まだ良いのだ。
 赤シャツ派に支持されるタクシン元タイ首相は中国系移民の子孫。首相就任後に最初に訪問したのは同じ民主主義国の米国でも日本でもなく、中国だった。本人が意図せずとも、一連の政治的混乱を中国やそのスパイに利用されている可能性は大いにある。そこが、あれだけ人気があったタクシンへの不信の一因でもあったようだし・・・。
 いずれにせよ、この件も注意して報道を聞く必要があるようだ。

 「タイも日本もダメ」
 あの野蛮で遅れた下請け国の赤色帝国・中国なんぞに(たとえ水増し数字ででも)GDPで抜かれそうな時に、民主党は真逆(まぎゃく)な政策ばかりしている。日本の事が気になってタイにもゆけない? と言っては大げさだ、政情不安定やカネの節約等の為だから。だが、今度は逆にタイが大騒ぎとは。
 東南アジアは赤色帝国の経済植民地化や直接的軍事侵攻の脅威を大変に強く受ける地域。特にタイは共産党に目の敵(かたき)にされる「尊敬される王室」をいただく「反共の王国」だ。国民の愛国心、特に王室に対する尊敬の念は極めて強いはずなのに、これでは王室を赤魔の中国人から守れなくなる。それがわからないのか。日本以上にしっかりせねばならないはずが、長期の大規模な「仲間割れ」とは。日本も私と和解せずか? 何をやっている、いい加減にせよ、日本もタイも。

 「王室の仲裁」
 このような場合に望まれる「王室の仲裁」、プミポン国王の絶対的権威にもとづく王の仲裁も、タクシン追放クーデター後の一連の騒乱では、どうもできていない。最近はプミポン現国王の高齢による体調不良の為との説明もできようが、王室が反タクシン派(黄シャツ派)に肩入れしたようで、この件では純粋に客観的な立場ではなくなってしまった、とも見れる。前にも述べたように、タイでは黄色はプミポン国王の誕生日のシンボルカラーであり、黄色のシャツは国王への敬意、(タクシンより)国王が大事というメッセージでもある。
 では、どうする。タイ王国の政治上の特色である「苦しい時の王様頼み」が通用しないとなると・・・。今まで表に出なかった別の有力王族にでも裁いていただくか? 国王後継者や王女様にでも。

 「副王 −タイ王室増強案ー 」 
 それとも、二番目の王様、副王にでも、お出ましいただくか。最近はあまり聞かないが、タイ王国(現王朝)には伝統的に、国王を補佐する「副王」(第二王)の制度がある。私が似ているという五代王(チェラロンコン王)が、四代王(モンクット王)のマラリアでの急死後、少年期に即位した当初も王族から副王が選ばれた。もっとも、四代王を支えた有力貴族達が選んだ副王は、やがて五代王の急進的な改革についてゆけなくなって退けられている。以後、五代王の改革は兄弟(親王)や息子(王子)達によって支えられるという、王族独裁、というより五代王の家族による独裁によって推進され、タイは欧米的な国家となり、植民地化をまぬがれ、現代にいたる。
 もし現在も副王が設置されていても、あまり表に出ない形式的なものか。新たに選びなおしたり、王の下の「副王」でなく、より王に近い政治総監(監視者)的な「第二王」の設置が望ましいか。そういえば、日本の幕末の動乱期、幕政改革の為、一橋慶喜(御三家・水戸徳川家出身)が「将軍後見職」、松平慶永(御三卿・田安徳川家出身)が大老でなく幕府の「政事総裁職」とかいった肩書だったと記憶する。二人とも徳川家康の血をひく、いわば徳川の「王族」だ。欧米列強でなく赤色帝国という野蛮な帝国主義者の膨張・侵略という動乱期に入る現在の東アジアも、幕末の動乱期に似ているが・・・。
 かなり大規模な王室増強案となる。王室不敬罪の関係でタイ国内ではあまり語れないかもしれない。仮に実現するとしても、現在の混乱の収拾策としては間に合わないか、これも。


 いずれにせよ、日本人記者まで殺されては、言い訳も通用しにくい。手詰まりのようだが、打開せねば。今年5月のタイフェスティバルまでには、何とかしてほしい。
プロフィール

高橋洋一さんの画像
リンク集
https://blog.canpan.info/thaikingdom/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/thaikingdom/index2_0.xml